後編
クロスとシロナは強敵を前にする!!
果たして二人は無事依頼を攻略できるのか!?
私の目の前に突然姿を現した強敵!
名付けるならばゴブリンスライム!!
二つの敵の融合しパワーアップした突然変異種と言えそうな…見るからに強敵の姿だ。
私は身構えるとゴブリンスライムはその巨体を動かし水から上がってくる!!
ザバーーっと水から上がるゴブリンスライムは私達より遥かに大きく五メートル位はあるであろう巨体だった。
「ゴブリン…スライム……。」
クロスもいない今…こうなったら私に出来るだけの攻撃をするしかない!!
「ライトアロー!!」
私が使えるのは基本は回復魔法と聖魔法!
クロスと一緒で私は魔力もほとんどないに等しい…初歩的な魔法しか使えないの!
私はその中でも出来る限りの魔法で攻撃をする!!
光の矢はゴブリンスライムに向かって数本飛んでいく!!
グサグサッと数本の矢は敵の身体に突き刺さる!!
するとゴブリンスライムの身体に光の矢は吸収されていく。
「!?えっ!?効かないの!?」
私は焦る…魔法が効かないなんて!!
するとゴブリンスライムはこちらに向かい巨大な手を振り上げる!!
「にゃんんんーーーっ!!」
その時聞き覚えのある声と共にゴブリンスライムの顔に飛びかかるニャインハルト!!
ぐおおおっ!!
ゴブリンスライムは顔に飛びついたニャインハルトを引き剥がそうと暴れ始めると地面はグラグラと揺れ私の足もふらつく。
「キャッ!!」
「シロナ!!浄化いくよっ!!」
私は膝まづくと杖を構える。
「私のリング…力を貸して……ニャインハルト…お願い!!」
するとニャインハルトはその身体から光が溢れてくると私の手に一本の剣が握られている。
キランッ!!
ピカーーーーーーっ!!!
「双剣の一つ…浄化………。」
私のリングとニャインハルトの光が重なり…そして……。
◇
◇
◇
ゴブリンスライムを光が包むとその身体から水蒸気が噴き出すようにシューッという音を立て水蒸気が溢れ出てくる。
「さぁ…君の邪悪な心は…消え去るんだよ。」
ニャインハルトがそう言うと更に水蒸気は吹き上がる。
シューーーーーーッッ………。
◇
◇
◇
「やった……の?」
私はそう口にすると…ゴブリンスライムをじっと見ている。
ゴブリンスライムはその行動を停止し動かない。
「ニャインハルト…流石だね。」
「いや…!?シロナ!ふせて!!」
「えっ!?キャッ!!??」
ドカーーーーーン!!!!!
私はニャインハルトの声でその場から飛びさける!!
私がいた石床は破壊され辺りに砕かれた瓦礫が飛び散る!!
「あぶなかった!」
「またくるよ!シロナ!アイツ…アイツの足元見て!」
私が足元を見ると何かが入っていた瓶が転がっていた。
「あれは?」
「あれはきっと魔神具アイテムの『魔神薬』あれを手に入れてあのモンスターはきっと魔神化したんだ。」
「魔神化?」
「そう…魔神の力でどうやら特殊なバリアが張ってあって浄化がとどかないみたいにゃ!!」
ニャインハルトが叫ぶ!!
私達の目の前にゴブリンスライムが更に巨大化し襲いかかってくる寸前だ!!
「キャーーーーーーっ!!!」
「指輪よ…今こそ…その力を解放しろ。」
「えっ……クロ…ス!?」
◇
俺の指輪から脳内に声が流れ込んでくる。
(ほう…なんだ…お前か……。)
(ああ…今俺に力が欲しいんだ。)
俺と脳内で会話をしてるのは指輪に宿る魔神…その名は『メフィスト』。
シロナのニャインハルト、そして俺の『メフィスト』は魔神具の中でも双剣と呼ばれる对の力である。
そして…ニャインハルトのスキルは浄化…メフィストの力は滅……。
「メフィスト!…今こそお前の力を解放する時だ……俺はシロナを守る!!」
その時!!
俺と『メフィスト』の魂はシンクロする!!
「いくぞ!ゴブリンスライム!!」
俺は剣を抜くとゴブリンスライムに向かい走り出す!!
ゴブリンスライムは巨大な拳を振り下ろすとその拳をかわし斬りつける!!
シュバババッ!!!
ぐわあああっ!!
ゴブリンスライムの腕を刃で捉える俺!
ゴブリンスライムはきりつけられた傷跡を抑えもがき苦しむ。
「行くぜ!!はぁぁぁっっ!!」
俺は続けて連撃をくわえにいく!!
「クロス!危ないっ!!」
シロナが俺に声をかけた瞬間!
俺はゴブリンスライムの再生した巨大な腕の餌食になったんだ。
ドガアアアッ!!
激しい音と共に俺の身体に強烈な痛みが走り身体は吹き飛ばされる!!
俺の身体はそのまま壁へと激突する!!
ドゴッッッ!!!
「グハッ!!!」
身体中に衝撃と痛みが走り俺の口から思わず声がもれる!と同時に口からは赤い鮮血が飛び出す!
「クローーーっ!!」
身体に痛みを覚えるとシロの声が耳に入ってくる!
俺の身体は床に落ち身体は痛みで起き上がる事もままならなかったのである。
「くっ!しくじった…。」
「クローーーっ!!』
動けない俺の元にシロナは駆け寄ってこようとする!!
「クロッ!?クローーーっ!!!」
俺の微かに見える目に映ったのは泣きながらフラフラ俺の元へ走りよってくるシロナの姿だったんだ。
シロナは動けない俺の元へ来ると俺の身体を起こし自分の膝に頭を乗せる。
「クロ…ぐすっ……クロッ……嫌だよ…。」
俺の視界に近づいたシロナの顔はさっきよりはちゃんと見える。
こんなシロナの泣き顔を見るのは本当に久しぶりだ。
「シ……シロ……バカだな…お前が血で汚れるだろ……。」
俺は、なんとか動く口を開き言葉を返す。
「ぐすっ…クロ!もう喋らなくていいよ…。」
「シロ…待ってろ…今に俺が…あんなん倒してやるから…。」
「ううん!バカな事言わないでよ!ううっ…ぐすっ……クロはお願いだから……寝ててよ…。」
「シロナ…。」
シロナの目からボロボロと涙が溢れ溢れる。
「私さ…ずっと昔からクロに助けて貰ってばっかりだったもん…今度は私が助ける番だよ?」
シロナはそう言うと身体は光っていく。
すると俺の身体に癒しの光が降り注いでくる。
「クロ…私まだまだ修行中だから全回復は出来ないけど…今私にある力をクロの為に…。」
シロは俺の手を握り目を閉じ祈る。
俺の身体は徐々にシロナの魔法の光に包まれる。
「癒しの光…今こそクロを癒して!ホーリーライト!!」
すると…俺の身体の傷の痛みを光はゆっくり癒してくれて…小さな傷は徐々に閉じていってるようだ。
(すげぇ…あったかい……光だ…シロナ……。)
そういや…昔もこんな事あった気がするな…。
「シロ…なんか久しぶりにシロに膝枕してもらった気がするな…」
「もぉ!クロのバカ!!」
シロナの顔を赤らめ少し怒った顔は俺の心も懐かしさと癒しで癒してくれた。
俺はゆっくり立ち上がっていく!!
「さんきゅ!シロナ!」
「クロ…勝って!」
「ああ!」
俺はシロナの髪を撫でる…そして再び剣を構える!!
「メフィスト…こっからが本番だぜ?頼む!」
すると指輪から黒い霧が立ち込めてくる!
やがてその黒い霧は形を変えていく!
そこに立つのは悪魔のその姿!!
「ふふふ…私はメフィスト…双剣の魔神の一刀だ。」
俺達の目の前で震え出すゴブリンスライム!メフィストの力を肌で感じたのであろう…。
メフィストは右腕を高々と上げていく!
「ニャインハルト…いくぞ!?」
するとニャインハルトの身体は黒い霧状になっていき『メフィスト』の力に吸収されていく!!
「ふにゃあああーーーっ!!力!!出しすぎぃ!!」
「ニャインハルトっ!!」
シロナも思わず叫んでしまう!!
『メフィスト』は笑いながら答える。
「大丈夫だ!我が相棒の力も借りるだけだ。」
そして俺の両手には二本の剣が使えと言わんばかりに握られていたんだ。
◇
◇
◇
シロナ…お前はいつだって俺の隣を歩いてくれている。
『ニャインハルト』と『メフィスト』も互いの力があってこそ支え合いこうして最強の力になってくれる。
次は俺がシロナに返す番だ!!
俺の力もシロナがいてこそ百パーセント発揮できるんだ!!
そして俺達二人なら…きっとどんな相手でも勝つ事ができる!!
「いくぜ!!!」
「闇魔神メフィスト…今こそお前の力をここに示せ……」
『魔双閃刃!!《まそうせんじん》』
ズババババッ!!!!
俺の放った一撃は巨大な一閃の刃と化しゴブリンスライムに向かい飛んでいく!!!
この光景を只々斬られながら見ている事しか出来ないゴブリンスライムは斬り裂かれシューーーっという音と共にその身は崩れ去っていったんだ。
◇
「クロ……。」
「シロナ……帰ろうぜ。」
「うん!」
◇
◇
◇
こうして俺達二人はゴブリンスライムを討伐!
依頼を完了する事ができたのだった。
◇
◇
◇
それから数ヶ月後。
◇
◇
◇
「クロ!」
そう明るい声で俺の肩をポンッと叩くのはシロの姿だった。
彼女は俺にとびきりの笑顔で見ていてとても眩しい。
「シロ…次の○○遺跡のモンスター討伐依頼なんだけど…ヤバそうだから今回は…」
シロの手が俺の口を塞ぐ。
「んん??」
「一人で行くなんて言わせないよ!相棒がいないと…でしょ?」
シロは俺の口から手を離すとにっこり笑う。
「ああ!行こうぜ!」