中編
二人の冒険者クロスとシロナ!
二人の冒険はどうなる!?
クロス視点
俺の行き着いた先は洞窟内のきっと地下であろう地下湖のある場所。
シロを呼び叫ぶ俺。
「シロ!いるのかーーーっ!?」
辺りに俺の声がこだまするがすぐさまシン…と、静まり返る。
そして、洞窟内には湖が広がりその湖は青く光りとても幻想的な世界に見える。
俺はどうやら…洞窟湖の岸辺に転移してきたようだ。
ここは湖か…。
気がつくと転移の魔法陣の光は消え去っていた。
足元を見るとそこには見覚えのある物が落ちていたんだ。
ふと…その物を拾い上げる。
「シロ…。」
そこに落ちていたのは俺とお揃いでつけてとしつこいくらい言われつけたシロナの手作りのミサンガが落ちていたのだ。
俺はミサンガを拾い大切にしまうと辺りを見回す。
「シロナ…。」
すると洞窟奥から何かの音が聞こえてくる。
ガタンッ…ゴトッ…。
「何の音…なんだ?」
俺は一歩一歩……音のする方へ歩き出す。
俺はヘッドライトの光の量を小さく絞ると音のする方へ進んでいく。
すると徐々に道に僅かな光が入り込んでいるのが見えてきた。
「出口が近いのか?」
前に前に…シロの事を考えると自然と足早になる。
「シロ……。」
やがて光は大きくその先が開けているのが確認できる。
俺は一歩一歩確実に…きっとシロの元へと歩いていると…そう思いながら……。
そして俺の目の前に現れた光景とは!?
◇
◇
◇
目の前に広がったのは洞窟内のホールの様な大きな部屋。
床は綺麗に石畳が並び周りの壁の所々には炎が灯り中を照らす。
「シロ!?」
俺は叫ぶが中はシン…と静まり返り時々ポタリポタリと水滴が落ちる音が聞こえる。
「どこだ!?シロ!?」
再び叫ぶ俺…暗い洞窟内に俺の声だけが響き渡る。
すると奥の方から何者かの足音が聞こえてくる。
カツ……カツ………。
そして何者かの声がワラワラと聞こえてくる。
ここはスライムが大量に発見されている洞窟…だから声などはするはずも無いのだ。
しかしここにワープポイントまであるとは…スライムだけではないのか…そう考えてしまう。
ここが特殊で異様な場所である事は分かる。
そうなると離れてしまったシロの事が更に心配になってしまう。
するとどんどん何者かの声が聞こえてくる。
人の声ではないが何者かが話している声。
これは…。
俺が物陰から見ているとちょっとした明かりに映る人影のような影が見える!
小さい身体…だが人型のような姿。
そこに俺の目に映った一瞬のその姿とは…。
(ゴブリン!?)
俺の目に映ったその姿は小鬼とも呼ばれるモンスター…ゴブリンの姿だったのだ。
(ヤバいぜ…ゴブリンは一匹なら大した事はないモンスターだけど…大量に居たらやばい。)
ゴブリン…そう小鬼とも呼ばれる初級モンスターではある。
だが…性格は執着心が凄く、食べ物でも女性でも何でも奪い取る、低級モンスターとは言われるが油断していると冒険者も時々襲われたりして被害に遭う事もある。
奴らは意外に頭もよく一度覚えたら忘れず中には魔力を持つゴブリンマジシャンやオーガにもひけをとらない力を持つゴブリンファイター等も存在する。
俺は考える…大量のゴブリンに、もしシロが襲われたら…。
「くっ!行くしかない!」
目に映ったゴブリンをまずはやるしかない!
◇
◇
◇
シロナ視点
私が目を覚ますとうす暗い洞窟内に倒れていたみたい…。
「う…う〜ん……ここは……。」
辺りを見回すとシンと静まり返っている。
「クロ…どこ?」
私は小声で呟くも静まり返る空気は嫌な感覚しか感じない。
すると私に近づいてくる何者かの足音が聞こえてくる…。
「えっ!?クロ?……誰?」
私にひたりひたりとした足音をさせながら近づいてくる何者か…。
「きてみなさい…きたら私は攻撃するわ!」
ギギャッ!!
ガーギャギャ!!
異様な声と共に現れたのは数匹のゴブリンの姿だったの。
ゴブリン達は私にひたりひたりと近づいてくる。
私は覚悟を決めると指輪を握りしめる。
これは私の魔神具…対のリングの一つ『浄』
『出てよ…私の魔神具に宿されし力…『ニャインハルト』!!』
すると私のリングは光り輝く!!
私のリングから飛び出した光は姿を変化させ光の大きな猫になる。
『出てきてくれてありがとう!』
(いやいや…僕は君の為の魔神だからね!)
そう言った魔神である『ニャインハルト』は私にウィンクをしてみせる。
「お願い…あのゴブリン達を…。」
私がそう言うと『ニャインハルト』は宙へふわふわと舞い上がる!
『いくよ…邪悪な心……我の腹を満たすが良いぞ!』
『ニャベリスク!!』
シュワーっとゴブリン達に降り注ぐ光…すると徐々にその身体から湯気のような光が立ち込めてくる。
その蒸気のようなものは『ニャインハルト』の元へ次第に集まってくる!
『吸引!!すぅぅぅぅぅーーーーーっ!!』
シューーーっと『ニャインハルト』が息を吸い込むとゴブリン達から出てきた蒸気は彼の身体に吸い込まれていく。
そう…ニャインハルトの能力は『浄』邪悪な魂を取り込み浄化させる能力。
そしてゴブリン達はあっという間に消え去った。
「さすが…だね!ありがとう!」
(いやいや!お易い御用だよシロナ!ところでシロナが僕を呼び出したって事は…クロスにも何かあったかな?)
「えっ!?どうして?」
(うん…あいつが力を見え隠れさせてるのを感じるんだ……。)
「クロ……お願い『ニャインハルト』着いてきて!。」
(分かったよ!シロナ!)
◇
◇
◇
そして私達はクロスの元へ急いだんだ!
◇
◇
◇
クロス視点
俺はシロナを探して歩いていた。
洞窟内をシロを探して辿り着いたのはゴブリン達の巣の内部近くだ。
俺は先に足を進めるとふと…身体中にシロナの力を感じたんだ。
シロナが力を使った事を俺の魔神を通して感じる。
「シロナ…待ってろ!俺がすぐ行くから!?」
俺はそういうとゴブリンに向かい攻撃を開始する事にする!
ウロウロしているゴブリンに俺は攻撃を仕掛ける!
ゴブリン三匹は俺に気がつくと弓を構える!!
シュバババッ!!!
ゴブリン達は一斉に弓を構え俺めがけ矢を放つ!!
シュシューっと数本の矢が俺を狙い飛んでくる。
俺は腰の鞘を片手で握り片方では柄を握る。
「はぁぁぁっっ!!!」
シャキィィィーーーン!!
ゴブリンの矢は俺に届く前にカランカランと音を立て地面に落ちる。
「フギャッ!?」
ゴブリンの驚く声が木霊する。
俺の手には黒い刀身の剣が握られている。
「うおおおっっ!!!」
俺はそのまま切り込みゴブリン達を斬り捨てていく!!
そしてここにいる最後のゴブリンを斬り捨てる!!
シュバババッッ!!!
シャキンッ!!!
俺は剣を鞘に納める。
「ふぅ…これでラストか?…いやな予感がするな…シロナの元へ急ごう……。」
◇
◇
◇
シロナ視点
私はニャインハルトと一緒にクロス探しを再開したの。
するとニャインハルトはふわふわと宙を浮きながらついてくる。
「そういや…今日はあれ持ってきてないのか?」
「えっ!?あれって何??」
私はニャインハルトを見るとニャインハルトの口元にはヨダレが垂れていたの。
「えっ!?もしかして…」
「う…ううん……ち……」
ニャインハルトのその言葉に私はピンと閃く!
「もしかして…ちゅーる??」
するとニャインハルトの目が輝く!
「そおーーーっ!!それそれ!!」
ニャインハルトは目をキラキラさせて私にくいついてくる。
「わかったわよ!じゃあ帰ったらあげるからそれまでよろしくね!」
「おおっ!!分かったよシロナ!任せろ!」
ニャインハルトは私よりやる気を出しふわふわ先に飛んでいくのだった。
「もぉ…ニャインハルトったら…ふふ」
◇
◇
◇
クロス視点
俺はゴブリンを退治すると再びシロナ探しを再開した。
ゴブリンの巣穴であろう穴を探索しているとやがて最奥にドアがあるのを見つけたんだ。
「こんな所にドアだと?」
確かにゴブリンにも賢い奴らもいるとは聞いた事はある。
そこにあるのは、さも人間が作ったかのようなドアだ。
俺はゆっくりそのドアを開いていく…。
◇
◇
◇
シロナ視点
私はニャインハルトと一緒にクロス探しをしている。
「クロスーーーっ!!どこ!?」
声をかけてみるも何の返答もないようだ。
「うーん…コレはもしかしたら…」
「どうしたのニャインハルト?」
「うん…もしかしたらこの洞窟にはまだワープポイントが複数あってクロスの所にはワープポイントで行かないと辿り着かないのかもしれないんじゃないかなって。」
私は立ち止まり考える。
(私はあの時クロスの後を着いて行って…突然光が足元から現れてワープしたのよね…クロスはワープしたの…かな?)
「シロナ?大丈夫かい?」
(クロスなら…きっと…ワープしてきてくれるよね……なら…戻ろう!)
私は来た道を戻る事にしたの。
その時!!
突然床に響く地鳴り。
えっ?
ゴゴゴ…と地鳴りは次第に大きくなりやがて床は揺れ始めてくる。
「えっ!?何これ!?地震!!??」
私の足元はグラグラ揺れ立つのもやっとの大きさの地震に思わずしりもちをつく。
「キャッ!!??こんな大きな地震なんて!!」
「シロナ!ひとまず伏せて!止むのを待つんだよ!」
私に声をかけてくれるニャインハルト!
私はニャインハルトを抱きながら揺れの収まるのを待つ。
するとニャインハルトの言う通り…次第に地震は収まっていった。
「ふぅ……もう…大丈夫みたいだね!」
「ひとまずおさまったけど急いで戻ろう!」
「うんっ!」
私はニャインハルトに返事を返すとまた走り出す!そして私が倒れていた部屋までなんとか辿り着いたのだった。
私の倒れていた場所…そこには湖もあり今は地震の影響もおさまり静まり返っていた。
シン…と静まり返る部屋の中……。
すると突然湖面に波紋が広がり始める!!
「えっ!?なにっ!?」
ドシャーーーーーッ!!!
湖から音と水しぶきを上げて現れたのは巨大なスライム…しかもゴブリンを吸収したのかゴブリンの王ゴブリンキングの姿をカタチどったスライムが姿を現したのだ!!
「えっ!!??」
「あれはやばそうだよシロナ!?気をつけて!!」
私達が目にしたものはスライムともゴブリンとも言えないBOSSクラスの強敵の姿だったのです。