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【2】元始、君は太陽であった【完結】  作者: ホズミロザスケ
気づき
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第16話 気づき4

 翌日。文芸学科の一回生全員出席の英語の授業後、二人の男性が「失礼します!」と教室に入ってきた。

「俺たち文芸学科の二回生でーす! えっとぉ! 来週、芸大の近くの石川河川敷で文芸学科新入生歓迎会やるんで! 参加希望の人は当日十七時に文芸学科棟まで来てくださーい!」

「参加費無料なんで! 飲み物も食べ物もこっちで手配するんで! ホントマジで来てくださーい!」

 と大声で告知して去って行った。残された一回生の我々は一気にざわつく。

「新入生歓迎会ですって。桂さん、参加します?」

「無料って言ってたから行くかなー」

 そういえば、桂さんが他の人と話しているところを見たことがない。ほとんど僕と同じ授業ということもあるんだろうか。僕がいるから、むしろ気になっている人に声をかけに行きづらいのかもしれない。

 歓迎会当日、文芸学科棟前には四、五十人くらいの男女が集まっていた。垢抜けた先輩と思われる人々の方が多い気もしなくもない。

「じゃ、今から石川向かいまーす」

 遠足のように喜志芸術大学から十五分ほど歩いて石川に向かう。歩道のない、一歩踏み外すと田んぼに落ちそうな田舎道を縦一列になって歩いていく。

 石川の河川敷に着くと、大きなレジャーシートが何枚も敷かれ、場所取りをしていた先輩たちが大きく手を振って僕らを迎えてくれた。その近くには缶ジュース、コンビニで調達してきたと思われるおにぎりやサンドイッチなどが山盛りに置かれた長机がある。

「じゃあ、とりあえず、一人一本ずつ飲み物持ってレジャーシートに円作るように座ってー」

 という先輩の指示に従い、僕と桂さんはオレンジジュースを手に座る。


 全員が座ったところで早速自己紹介が始まった。僕も桂さんも名前を言って、「よろしくお願いします」で締める簡単なものだったが、人によっては「好きな本」だとか「趣味」などを加えたり、「いかに文芸学科に入れたことが嬉しいか」を語る人もいた。主役は一回生、主催は二回生だが、三回生、四回生もそこそこの人数が参加していた。むしろ一回生の集まりが正直なところ悪く、半分来ているかどうか。新入生歓迎会というのも不思議な感じだ。

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