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魂と記憶の欠片  作者: りりぃ
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寮生活の始まり4


食べても良いんだよね?っと、私達はオズオズ配給の列に並び、みんな決まったメニューの夕食のプレートを受け取った。プレートの中身はご飯と煮た魚とサラダだった。

空いた席を探し、4人掛けの席が空いていたので、私達はその席に向かい合わせで座った。

フォークを使い、メインのお魚に口を付ける。シンプルな感じだったけど、魚の煮物はよく味が染みていてちょうどいい塩加減で美味しかった。


「お腹に染みるぅ」


美咲は大袈裟に喜びを露にした。

お腹空いていたのは私も同じなので、この気持ちはよく分かる。大袈裟に表現しようとは思わないけどね。


食事が終わり、プレートを返却口に返したその時、寮を最初に案内してくれた先生が、紙袋をぶら下げて私達のところに歩いて来るのが見えた。


「良かった、見つかった」


私達の前に立つと、先生はホッとしたような表情をした後、ニッコリ笑った。この生徒で溢れた中で、特定の人物を探すのは大変だと思える。


「これからお風呂でしょう?これ、未使用品だから使って」


先生から差し出された紙袋を覗き込んで見ると、中には着替えのパジャマと下着が2人分入っていた。先生は女神ですか?!寮に入る時に、荷物を持ってきていないという話をしていたけれど、まさか覚えていて、しかも着替えまで用意してくれるなんて!


「先生ありがとうございます……何てお礼を言ったらいいか」

「ありがとうございます……」


2人で感動しながらお礼を述べると、先生は何ともないというように、笑いながらひらひら手を振る。


「良かったら使って!また明日ね」


「「はい!また明日お願いします」」


頭を45度に下げた私達を後に、先生はスタスタ食堂から出ていった。

本当にいい人だ……。こんなに至れり尽くせりでいいのだろうか?

貰ってばっかりで、ちゃんと返す事が出来るんだろうか。そう考えたら少し不安になってしまった。


「次は裸の付き合いをしようね」


「言い方がエロい」


美咲がニコッといやらしい笑みを浮かべながら言うので、私はすかさずツッコミを入れた。

お泊まりした時や温泉に行った時は一緒に入る事があったので、さほど恥ずかしさはないけれど、そんな言われ方をしてしまうと、恥ずかしさが増しますよね?





そうして、2人でお風呂に入った後(実際には共同なので2人きりではないけれど)頂いた着替えを着用し、私達の部屋へと戻ってきた。

知らない人達に囲まれた空間というのは、やはり疲れるもので、自分達の部屋がなんだかんだ1番落ち着く。


「今日だけ一緒に寝ていい?」


美咲がそう切り出してきたので、ベッドに視線を移して少し悩んだ。シングルなので、2人で寝ると落ちてしまいそう。

だけど、今日は1人で寝るのは心細い気持ちだった。


「今日だけね」


私は布団をめくって横になり、美咲の入れるスペースを開けた。すると、美咲は待ってましたと言わんばかりに布団に潜り込んできた。


「まこの温もりが……」


色々言いたいところだけど、幸せそうな美咲の表情を見て少し笑ってしまった。いちいち大袈裟なんだから。


「おやすみなさい……」

「おやすみ」


私達は向かいあわせになったまま瞳を閉じる。

私が眠りに落ちるのに、さほど時間はかからなかった。

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