寮生活の始まり2
制服をまじまじ見ていると、すれ違いざまに見てきた制服とは何か違う気がした。
間違い探しをするように、制服を眺めるとある事に気付いた。
「胸のロゴが無い」
私は明菜のものも同じなのか横目で確認すると、同じようにロゴがない事が分かった。
「それはクラス分けの時に渡されるから、それまで待っていてね、その時に説明するから」
クラス分け?先生の言葉に明菜と目を合わせる。明菜と一緒に授業に参加出来なくなってしまうのかな?
私は少し心細さを感じた。
「それよりさ……」
明菜が唐突に口を開いた。
すごく困ったような表情で私と先生に視線を向ける。
「まこにはものすごく似合いそうな制服なんだけど……私にはちょっとフリフリ過ぎて」
明菜の言葉に、先生は驚いた表情を見せた。
制服まで貸してくれると言うのに贅沢だよ!たまには可愛い服着なさい!
と、思っていたら、先生から思わぬ返事が返ってきた。
「え?もしかして男の子だったの?!ごめんなさい、どっちかなーとは思ったんだけど」
先生の言葉に私は吹き出して笑ってしまった。
明菜は不満そうに私に視線を向ける。
「先生ごめんなさい、彼女、スカートが苦手なだけで、このまま着させますので気にしないでください」
私は笑いながら言うと、明菜はえーっと叫びながらフリフリのスカートを困ったように眺める。
その様子を見ながら、先生は少し考える仕草をする。
「そうね、ちょっとまっててね」
先生は部屋を後にし、しばらくするとまた戻ってきた。
「じゃあ、こういうのはどうかしら?」
先生がもう1箱持ってきて明菜に手渡した。
明菜が箱を開けると、箱の中にズボンが入っていた。
「それは男子用のズボンよ。上着と重ねて着れば、女の子だとも分かるし良いと思うんだけれど」
「わぁ、ありがとうございます!!」
明菜はホッとしたようにお礼を言った。
今日現れたばかりのよそ者に、こんなに親切にしてくれるなんて、本当に出会いに恵まれている。
私は本当に嬉しかった。
「明日、8時に迎えに来るから、それまでには制服に着替えてここに待機していてね。明日は学園の案内をするから」
「「はい!お願いします!」」
私達は先生の言葉に元気よく返事を返す。
その返事を聞くと、先生は満足そうに部屋を出ていった。
昔、今通っている高校で、初めて学校の見学をする時はすごくワクワクしたな……。まるで探検をしているような、そんな気分だった。
今日、学園を見て回ったけど、図書館くらいしか見て回れてないから、他にどんな施設があるのか楽しみだった。