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戦いのあと

 セシリー達のもとに戻ったラルフはまずはフレディのいる横穴の入口を開ける。


「お待たせしました」

「ラルフくん! 魔物はどうなりましたか?」


 フレディさんはおっかなびっくりといった様子で横穴から顔を出す。


「全て討伐しました。もう大丈夫です」

「そうですか。ラルフくん怪我は?」

「僕は大丈夫です」

「良かった。よくぞご無事で」

「約束しましたから」


 心底安心したというフレディに手を貸し横穴から引っ張り出す。


「あとのお二人は?」


 キョロキョロと周りを見渡し姿が見えない二人のことを聞いてくる。


「こちらです。怪我はしていますが二人とも無事です」


 二人のいる横穴までフレディを案内してその入口を開ける。中を覗くとラルフが寝かせた時のままだ。意識はまだ戻っていないらしい。


「【(ライト)】」


 灯りを用意し中に入る。二人の傍に膝をつき状態を確認する為【診察】を発動する。

 ジェイクはいくつかの骨にヒビが入っているが、思ったよりダメージが少ない。さすが防御に特化した天職なだけある。ジェイクにはこれ以上できることは無い。意識さえ戻れば動けるだろう。

 セシリーの傷は血は止まっているがやはり深い。しかし、ラルフの【回復魔法】ではこれ以上の治療はできない。それでも、できることがない訳では無い。


「失礼します」


 服をまくり上げて傷口をだす。フレディが慌てて目を逸らすのが横目に入ったがラルフは気にしない。治療の事で頭がいっぱいで気にしている余裕が無いのだ。


「【(アクア)】【浄化】」


 水魔法で水を作り出し、【浄化】のスキルで清める。その水を傷口に少しずつかけて傷口の汚れを洗い流す。きれいに流したら【アイテムボックス】から自然治癒を高める軟膏を取り出し傷口に塗りこんだ。


「ッ!」


 セシリーが痛みに身をよじる。片手で肩を押さえる。


「少し我慢して」


 軟膏を傷口全体に塗り、【アイテムボックス】から出した包帯を丁寧に巻いていく。


「これで終わりです」


 服をもとに戻して、立ち上がった。こうしておけばとりあえずは大丈夫だろう。


「……良い手際だな」


 後ろからした声に振り向くとジェイクが体を起こすところだった。


「ジェイク! 目が覚めたんだね。でも無理に起きないほうがいいよ」


 ジェイクの近くに寄り起き上がるのを手伝う。


「いてて。それでどうなったんだ?オールダーは?」

「全部討伐したよ」

「……一人でか?」

「うん」

「はーマジかよ。Cランクの魔物二頭を一人で討伐とかとんでもないな」

「えっと、実は……」

「?」


 ジェイクに最終的には五頭だったことを伝えるとあんぐりと口を開けて黙ってしまった。

 フレディさんも同じような顔をしている。


「あなたの治療を見て驚くことばかりだったのですが、さらに驚かせてくれるとは」


 先に正気に戻ったのはフレディさんだった。


「治療? 何かおかしな所がありましたか?」

「おかしな所ばかりでしたよ。最初に使った【診察】って『医者』や『回復術師』が使うスキルですよね? 【浄化】は『神官』とか聖職者系統が使うスキルですし、見たこともない薬を使いますし……」

「あれは自分で作ったもので……」

「それは『薬師』の領分です。というかしれっと【アイテムボックス】使ってましたけどあれも『運び屋』とか『行商人』の一部しか持ってないレアスキルじゃないですか! 私も欲しいです!」


 なにを言っているのかわからないのでストレートに聞いてみたらすごい早口でまくし立てられた。最後はただの願望だったな。


「あはは……まあ落ち着いてください。怪我人の前ですし」

「はっ! これは失礼しました。つい興奮してしまって」

「いや、フレディさん。仕方ないって、ラルフはなんてことないって顔してるけどかなりぶっ飛んだことしてるって」


 一般的に見るとおかしいのか。基本的なスキルばかりだから気にしてなかった。今後は気を付けよう。


「さて、フレディさんたちは休んでいてください。僕は魔石を回収してきます」

「手伝いたい所だが、ちと無理そうだな」

「気持ちだけで。セシリーを見ていて下さい」


 そう言って横穴を出た。

探査(サーチ)】の範囲内には魔物の反応はないけど念のため横穴の周りに【結界】を張っておく。

 ラルフはクレーターの方に向かっていった。

 魔石とは魔物の核で高濃度の魔素の塊である。ランクの高い魔物の魔石ほど大きく、含まれる魔素の量が多い。この魔石を他の魔物が取り込むと大幅に強化されるという。そのため、倒した魔物の魔石は回収しなければならない。


「これで最後かな」


 ウルフの魔石を【アイテムボックス】に放り込みながら、辺りを見渡す。見える範囲に魔石はないようだ。


「念のため。【探査(サーチ)】」


 対象を魔物から魔石に変えて発動する。拾い忘れは無いようだ。


 横穴に戻るとセシリーが目を覚ましていた。


「ラルフくん!!」

「わっ!?」


 セシリーは入り口をくぐった僕にいきなり抱き着いてきた。とっさのことでバランスを崩し、セシリーと一緒に後ろに倒れこむ。


「セシリー、目が覚めたんですね。でも急に動くと傷に悪いですよ。痛くないですか?」

「すごく痛い……」


 セシリーはラルフに抱きついたまま肩がプルプル震えている。ラルフはしょうがないなと頭を軽くなでる。するとセシリーはラルフの胸に頭を押し付ける。ラルフが困惑しているとグスッと泣いている音が聞こえる。


「よかった……ラルフくんだ。ちゃんと生きてる。本当によかった……」

「起きたらジェイクとフレディさんはいるのにラルフくんがいなくて……私、怖くなって」

「すいません。心配させてしまいましたね」

「ううん。いいの。生きててくれたから」


 ラルフはセシリーの背中を優しくさする。彼女の気の済むまでこうさせておこう。ジェイクとフレディさんの何か言いたそうな視線がなんとなく恥ずかしかった。

毎日の更新って大変なんですね。

毎日更新したいですが、不定期に1~2日開くかもしれません。

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