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過去編

ボーイズラブです。




ずっと・・・、ずっと好きだった。




彼の事を考えると夜も眠れない日もあった。




たった一言、たった一言だけ言えたら、幸せになれたかもしれない。





でも、それは決して口にしてはいけない一言で、僕は、告げることが出来なかった・・・・・・。












『遙かなる時のロマンス』





“君が好きだ”





考えるだけで切なくて、苦しくて。



彼の声を聞くたびに泣きそうになった。



好きで、好きで、どうしようもなくて、触れた指先からすべて心臓になったように脈打って、

真っ赤になるのを止められなかった。



「・・・・・アヤト様、どうかされたのですか・・・?」

僕のタイを直しながら、必死に赤くなるのを耐えている僕を彼はのぞき込んだ。

「べ、別に何でもない!」

気持ちを悟られたくなくて、また、いつものように強がって見せた・・・。





好きだ


好きだ


好きだ・・・






「・・ったく、やっぱりここにいらしたんですね・・・。」



誰かの声がして、振り返ると、やはりというか、声でわかったんだけれど、

息を切らして走ってきたらしい彼が呆れた顔で立っていた。

「・・・いたら悪いのか・・・?」

そんな姿もかっこいいと思ってしまった僕は、また、憎まれ口をたたいてしまう 。

「悪いもなにもありません!急にいなくなったらみんなが心配するでしょう!? 」

顔は反らしても、声がすごく怒っていることを伝えている。

「・・・“みんな”・・・ね・・・・・・ 。」

聞こえないように囁く。

「何ですか?」

彼の口調はさらにキツくなる。

「・・・別に・・っ!?///・・・」

『何でもない。』

そう言おうとしたのに、次の言葉は出てこなかった。

なぜなら、すぐ傍に彼の顔があったから。

気がつくとこんなに近くまで来ていたのだ。

「な、なんでそんな近くにいるんだよっ///!?」

恥ずかしくて、照れ隠しにそん なことを言って彼の体を押して遠ざけた。

「さっき何を仰ったのか気になったからです。」

人の気も知らないで、真剣な目で真っ直ぐ見つめられる。

「ほ、ほんとに何でもないから離れろよっ///!」

知られたくないのに、知られちゃいけないのに、誰が見てもわかるくらい顔が赤くなってるのが自分でもわかった。

心臓はどうしようもないくらい高鳴っている。

「…顔、真っ赤ですよ?熱でもあるんですか?」

そっと、自然に手で額に触れる。

「//////!?・・・・・・・・」




声が出なかった・・・・・・・。




夢かと、思うくらい、ゆっくりと、風のざわめきが聞こえるくらいの静かな時間だった・・・。







「・・・熱はないようですね・・・。」


「・・・っ!?」

その声にハッとした。

「あ、あるわけないだろ!!」

僕は慌てて彼の手を振り払った。

「っ!・・・それはよかった・・・。」

それに一瞬驚いた彼だったけど、すぐにいつもの顔を取り戻してそう言ったのだ・・・。






その笑顔が、大好きだった・・・。






でも、そんな時間は長くは続かなかった・・・。








戦争は僕達が思っているよりも早く、容赦なく時を奪っていったのだ・・・。









「・・・・ここももう駄目なのかな・・・。」




攻めてきたのは、近隣で一番大きな国で、僕の国じゃ、逆立ちしたって勝てるような国ではなかった。

圧倒的強さで攻められて、敵軍はもうそこまで迫っていた。

でも、それでも戦ってきたのは、人々を守るため。

敵国はすごく非情で、奴隷確保のために戦争をしていたから。

だから、僕達の国は剣をとって戦っていた。

穏やかで、静かで、幸せな国を守るために。

兵士達は必死で戦ってくれていた。

けれど、僕によくしてくれた人も、街も、もう、どこにもなかった。

父である王が殺されて、僕は、悟ったのだ。



「何をおっしゃいます?一国の主になられたあなた様がそのようなお気持ちでどうされるのです!?

戦争で戦って死んだ仲間が浮かばれません!!」

真剣な目で僕を見つめる。

「・・・・・・・でも、もう・・・!・・・」



逃げても、隠れても、もう駄目なことは誰もがわかっていた。



どんなにあがいても、僕達の運命は決まっていた。





「アヤト様!!」





僕を奥へと逃がして、最後に僕を呼んだその声が、ずっとずっと心に残っている・・・・・・。













守ってくれた彼のために逃げたかったが、何もない僕は抵抗空しく、程なく捕まった。

僕の国は全軍破れ、大半が奴隷として捕らえられ、その国のために働かされることになった。



そして僕は、民衆の前で、処刑されることになった・・・。







「これは、見せしめだ、わかっているな?」

王は僕に向かってそう告げた。

「・・・っ・・・」

僕は何も言わず、顔を上げた。

「・・・・・・・・」

国が見えた。

元僕達の国だったその美しい場所はもう影すらなくなっていた。

美しい街が見えるようにと父が立てたのその門の見晴台から見えたのは、疲れきった人々と、壊れた、街並みだった。

「何か言い残すことは?慈悲のある俺がお前の最後の願いだけは聞いてやろう!」

ハハハッ!!と高らかと笑う。

「・・・・・・・・・・・・・いいえ、ありません。」


惨めにはなりたくなかった。

信じてくれた国の人への償いでもだった。

そして、なぜか死ぬことは怖くなかった。

「何!?」

驚いた顔をしている。

「本当に何もないのか!?」

「・・・・・・はい、ありません。」

きっと、彼と会えると思っていたからだろう。

「・・・・ふんっ!『生かしてくれ』と懇願でもすれば、慈悲をくれてやったものを!

なんて、腹立たしい!私の好意を受けぬとは!!!」

王は怒りを露わにした顔でわなわなと震えている。

「・・・・・・・・・・・」

それを、僕はぼんやりと眺めてた。

幾たびの拷問に耐えてきた僕は、もう限界だったのかもしれない。




・・・・ただ、彼に会いたいと。




早く、彼の元へ行かせてほしいと。




ずっと、願っていた。









そして、振り下ろされた剣は、僕の首を容赦なく切り捨てた・・・。










「これで、彼の元へ・・・・」








『愛していた、ユキナ・・・。』












言葉は、届くことなく消えた・・・・。

















エルス王国、最後の王。

“アヤト・リア・エルス”

享年16歳



エルス王国 第一騎士団団長 近衛隊アヤト王直属騎士

“ユキナ・ファイ・アサギ”

享年19歳





歴史になど残らない、小さな国の終焉の瞬間だった・・・。











to be conntinued・・・






どうも、お久しぶりですv

何ヶ月ぶりだろう・・・?

なんとなく、ふと思い浮かんだ、私にしては珍しいファンタジー。

でも、王子とかそういうのは元々好きなので、楽しかったです。

続くので、次も楽しみにしててくださいv

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