ここから、2
「弟は、上級生から嫌がらせを受けていました。友達曰く、弟は先輩を殴り飛ばしたらしいんです。理由は分かりませんが……、弟が生意気に映ったんでしょうね、一年のくせにと」
ありそうな話だ、それこそ不良少年を主人公にした喧嘩漫画で見たことがあるような話だ。一人を数人で虐めるのはやり過ぎだと思うが……。
「弟にも悪い所があるんでしょうけど、家族なんで心配なんですよ、日に日に弟がボロボロになっていくのは見ていて辛いんです。でも、私にはどうにもできないですし……」
そこまで、腕を組み話を聞いていた宮下先輩は突然立ち上がり、目を吊り上げて言う。
「行こう。君の弟を助けに行こう、どんな事情があれど一人を数人で攻撃すればそれは、質の悪い虐めになる。許せない」
「で、でも……向こうは喧嘩慣れしてますし、返り討ちにあいますよ……私のせいであなたたちが傷つくのは……」
「大丈夫さ、私達にはあるじゃないか! 能力が!」
宮下先輩は歯を見せ笑う。ニヤリと。
「でもお……」
「大丈夫、乗り掛かった舟だ、私達が怪我をしても君は責めない、それに個人的にも腹が立つ。こちらにも男は居るんだ」
宮下先輩は横目で僕を見てニヤリと笑う。
「鈴木の能力なら数人は相手に出来るだろう」
あんまり、乗り気じゃないんだけれど。
まあ、いいか、僕もこんな胸糞の悪い話を聞いて何もしないのは釈然としないし。
「弟君の学校はここから、どのくらいかかるんだ?」
「あ、電車で十五分ぐらいです」
「よし、行こう!」
宮下先輩は立ち上がる。
僕も溜め息を吐きながら立ち上がる。
「橋本先輩、行きますよ」
「あ、はい、本当に、本当にありがとうございます!」
宮下先輩は振り返る。
「まだだ、まだ早いよ、今からじゃないか」
本日何度目か、宮下先輩はニヤリと笑った。
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