え
特別棟の一階、それの一番端の教室に図書室はある。
僕の何度か利用したことがあるが、利用者は殆ど見たことが無い。
そんな図書室の扉を開く。
ガラガラ
入って直ぐ、右にカウンターがある。貸し出し、返却をするところだ。
真ん中には、大型の机が三台あり、そこで、本を読んだり、勉強したりする。
そして、窓の所を除いて、囲むように本棚が置かれている。
今日も利用者はいないようだ。
と言うより、図書委員の姿も見えないが……。
本棚の陰にでもいるのだろうか。
「あのう、どうかしました?」
「うわああ!」
「わあああ!」
宮下先輩と僕は同時に悲鳴を上げる。
驚いた、心臓が止まるかと思った。
右を向く。
カウンターの向こうに女子生徒が立っていた。
「あ、すみません……驚かすつもりは無かったんです。しゃがんで作業していたので」
宮下先輩より少しだけ高い身長、目元を長い髪で隠した暗い雰囲気、言うなれば影のような女子生徒は、律義にも頭を下げて、謝罪をする。
「大丈夫だよ、君が、図書委員長だよね?」
宮下先輩が顔を上げて、と言い、図書委員長かと問う。
「はい、私が、図書委員長の橋本ですが、何か用ですか?」
「ああ、ちょっとね、おっと、申し遅れたね私は二年の宮下、たまに図書室は利用するから顔ぐらいは知ってるかもしれないけど。そして、こいつが」
「僕は一年の鈴木です」
僕は軽く頭を下げる。
「少し時間大丈夫かな」
「はい、丁度仕事が一段落したので」
「よかった、立ち話もなんだし座らないか」
「はい」
図書委員長という事は二年生だよな、宮下先輩と同学年の筈なのに先輩と後輩の会話のような、聞いていて不思議な気分になる。
僕たちは、教室の中央にある大きな机に行き、僕と宮下先輩が並んで座り、橋本先輩が向かいに座る。
「いきなりだが、私達の同好会に入らないか」
「同好会ですか?」
「ああ、あ、もしかして他に部活動に入ってた?」
「いえ、別に入っては居ませんけど、何をする同好会なんですか?」
「生徒会に審査を通す時はボランティアをするって書いたけどな。本当は能力者が集まれる部活動にしたいんだ、けれど人数が足りなくて、部費も出ないしな、それで今は同好会になっているんだけれど」
「能力者ですか」
「はい、僕も宮下先輩も能力を持ってるんですよ」
僕がそう言うと宮下先輩は近くにあった文庫本を指差す。
そしてそれを浮かせて見せる。
「わあ、凄い」
「実は昨日、君が能力を使う所を見てな、昨日電車で痴漢に会ってただろう?」
「あ、見てたんですか」
「ああ、大丈夫だったか?」
「はい、心配してくださって有難うございます。私こんな見た目なので標的にされやすいんですよ、この子なら大丈夫と思うんでしょうね。まあ、だから、わざとこんな見てくれにしてるんですが……」
「「え」」
僕と、宮下先輩の時が止まった。
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