疑問
「先輩、思ったんですけど……」
「ん? なんだ」
「僕たちは能力者を探しているんですよね」
「ああ、そうだが、それがどうした?」
歩きながら宮下先輩は僕の顔を横目で見る。
「僕たち能力者ってとても珍しいじゃないですか」
「世間的に見ればそうかもな、後天性はな」
「そう、先天性を入れればそこまでじゃないんですけど、産まれ持っての能力はワクチンで殆ど消されるじゃないですか」
先輩は何が言いたいんだ? と言った顔で首を傾げる。
「この世界には殆ど後天性しかいないってことですよね」
僕は顎に手を添える。
「ああ、そうだな」
「そこなんですけど、この学校に何人も居ることってあるんですかね? 僕と先輩の二人が居ただけでも殆ど奇跡みたいなものだと思うんですよ」
「何が言いたいんだ? 鈴木」
先輩は眉をひそめる。
「いや、だからこの学校を探しても能力者なんていないんじゃ……」
僕は恐る恐る口に出す。
「なんだ、知らないのか鈴木よ」
「え? 何がです?」
「この学校はな、三年前から能力者を積極的に入学させようとな、あることをやり始めたんだ」
「あること?」
なんですかそれは、と僕は先輩の顔を見る。
「能力者の学費をある程度免除することにしたんだ、この学校は」
「え、そうなんですか。全然知らなかったなあ」
僕は天井を仰ぎ、へ~と声を出す。
「ああ、だからこの学校には私達を除けて少なくとも数人は能力者がいる……と思う」
「なんで、不安げなんですか。それはそうと、何でそんなことしだしたんですかね?」
僕は新たにできた疑問を口に出す。
「さあ、知らん」
「ええ」
「噂によると政府が能力者を一か所に集めて監視できるようにしたかったとか言われているな。後天性は封じれないからじゃないか?」
「月一の健診じゃだめなんですかねえ」
「私に聞かれても知らないよ」
「ああ、すみません。ところで僕たち今どこに向かっているんですか?」
「図書室だ。今日はいつもと違うぞ、実はちょっと当てがあるんだ」
先輩は僕に向かって片目を閉じ、ニヤッと怪しく微笑む。
「へえ、今日は何時にも増して準備万端ですね」
「ああ、って鈴木、お前私のこと考えなしの馬鹿だと思ってないか?」
「はい、少し」
「素直だな!」
先輩は前を向き、頬っぺたを膨らませて子供のように拗ねてしまう。
たまにこの人が先輩だという事を忘れてしまう。児童のような、小動物のような。
「悪かったですよ、先輩。機嫌直してくださいよ」
「じゃあ、ジュース奢れ」
「分かりました、百円のパックのやつでいいですか?」
「うん」
「何がいいですか?」
「……いちごオレ」
僕は苦笑して分かりましたと言う。
「よし、図書室の前に自販機に行くぞ鈴木」
僕は、はいと返事をする。
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