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始まり

最初です。

実験的な小説なので、よろしくお願いします。


 その日、僕は彼女と一緒に近くの山間の川辺に来ました。

 彼女は、僕の初恋で、小さい頃からの幼馴染みで、共に成長しました。

 そして、15の時に共に一緒になろうと…誓い、教会で秘密の二人だけの結婚式をしました。

 そして、二十歳になり王国騎士になった僕は…彼女と結ばれる数ヶ月前、彼女が山へ珍しい薬草があるとして、僕を誘って山間の川辺に来ると、彼女は後ろから僕を…撲殺しました。

 僕は、何度も何度も彼女に殴打され、意識が消える寸前に見たのは、彼女の醜い悪魔のような顔でした。

 今までに見た事もない悪魔のような顔が…僕、ケイン・マグナスが見た最後の光景です。



 そして…僕が眼を覚ましたのは…液体の中でした。

 僕が入る液体の水槽のガラスを一人の男が叩き、眼を覚ました僕に

「やあ…元気かい?」


 僕は呆然として、男を見詰めます。


 男は笑み

「はじめまして…ファイブ・エクソダスの第一世代の東城 秀幹だ」


 僕が首を傾げると、東城は

「ああ…すまない。ヒデキ・トウジョウだったな。この世界では…」


 僕は、最愛の彼女に殺され、トウジョウさんのお陰で第二の人生を始める事になりました。




 ◇◆◇◆◇◆◇


 ベッドに移されたケインにトウジョウが

「さて…どうして、ここにいるのか?と、聞きたいんだろう」

 

 ケインは頷く。


 トウジョウはフッと笑み

「何から話せばいいか…。まず、ここは私のラボ、つまり研究所 兼 戦艦城だ」


 ケインは戦艦城という言葉を聞いて驚き

「王族なんですか?」


 そう、戦艦城は、王族しか所有できない。

 有数の貴族達は、武力であり巨城でもある戦艦城の所有が一種の貴族としてのステータスでもある。


 トウジョウはニヤリと笑み

「王族の一角と繋がりがあってね。それで…所有を許されているのさ」


 ケインは俯き

「僕は…どうして、ここに?」

と、考えた次に脳裏に彼女エミリアが自分を撲殺している姿が過ぎった。

「う…」

 ケインは震えて頭を抱えた。


 その背中をトウジョウは撫で

「落ち着きたまえ…。君の事情は知っている。将来を誓った幼馴染みの許嫁に殺された…。まあ、こうして生きているんだから、殺されてはいないけど…」


 ケインは頭を抱えながら

「彼女は、エミリアは…どうしてますか?」


 トウジョウは微妙な顔をして

「その…まあ、取り乱すだろうけど…。エミリア・オルコットは…君が所属…していた騎士団長、リシュリア王国の第二王子ケンティスと結ばれてね。二女一男の母親だよ」


 ケインは驚愕の後、思考停止した。

 愛していた彼女の裏切り、そして…まさか…尊敬する上司であったケンティス王子との婚約…。何も考えられなかった…が。

「今、二女一男と…」


 トウジョウは微妙な顔のまま

「その…なんだ。君は…二十五年も眠っていたんだよ」


 ケインが更なる驚愕に包まれていると、トウジョウが正面に鏡の魔法を発動させる。

「ミラー・プレート」

 その魔法の鏡をトウジョウがケインに向けて

「これが…君が助かった要因だ」


 ケインが顔を見ると自分の黒髪の右半分が銀髪となり、右目の銀色になっていた。

 そして、不意に見た右腕の所々に金属が付いている。

 

 言葉に出来ないケインにトウジョウが

「君は、殺された後、河に流された。そして…偶然にも川底にあった金属生命体…いや、この世界ではオリハルコンと融合した。それを偶々、私が拾って回復するまで治療していたんだよ」


 ケインは涙する。

 将来を誓った愛する人に殺され、更に人から外れたバケモノになった自分に絶望する。


 トウジョウがケインの肩を抱いて

「まあ…身の振り方を決めるまで、ここで暮らすといい」



 ケインは、トウジョウの戦艦城で暮らしながら二十五年の間に何かがあったか?を学ぶ。

 まず、ケインは死亡した事になっていた。

 エミリアがケインが薬草を採ろうとして足を滑らせ頭を打ち付けて川に落ちたとなり、現場の調査でもそのように結論され、エミリアは婚約者を失った悲劇のヒロインとなった。


 そこへ、ケインの上司であり、リシュリア王国第二王子ケンティスが支えとなり、二人はめでたく結ばれて、長女、二女の次女、三男の長男の子を産んで、ケンティスと幸せに暮らしていると…。


 ケインは絶望に涙する。

 エミリアは、裏切った。

 おそらく、ケンティスから告白されていたのだろう。

 田舎の小さな騎士より、王族の方が良い暮らしが出来る。

 いや、ケンティスに何か、脅されて…。


 それをトウジョウが調べていたらしい。

「残念だけど、ケンティス王子は、本当に良い人だよ。その…エミリアに告白はしたらしいけど、自分から離れたらしい。

 まあ、ケイン君とエミリア君が結ばれるのを祝福していた」


 ケインは泣きながら

「じゃあ、僕は…」


 トウジョウがハァ…と溜息を漏らすも正直に

「エミリアが脅されていたり、何かの事情があった背後は存在しない。つまり、自分の輝かしい未来の為に、ケイン君…君を殺した。そして、ケンティスへ嫁いだ。それだけだ」


 ケインが泣き崩れて床に伏す。

 

 トウジョウがそこへ跪き

「どうするかね。会ってみるかね?」 


 ケインの瞳に絶望による憎悪の灯が点いていた。


 これは…復讐なのだろうか? 愛なのだろうか?

 ケインの第二の人生が始まった。


投稿は不安定です。

気長によろしくお願いします。

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