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原初の話



 ――これは、正規の歴史の中に埋もれた『真実』の話。



 今よりも遠い昔。黒死病(ペスト)の流行や魔女狩りの連鎖などによる社会的不安、三十年戦争やピューリタン革命などによる戦争・革命などの混乱などが頻発した「暗黒の十七世紀」。

 厄災と戦禍の中、歴史の裏で人間たちは、突如表舞台に姿を現した吸血鬼たちの手によって滅亡の危機に陥っていた。



 吸血鬼の真祖ユークリッド・ドラクリヤ・クレプスクルム。傲慢で強欲で淫蕩な王。圧倒的な力を内に秘める人類の敵。

 真祖に護られ率いられた吸血鬼たちは、彼を絶大に崇拝し、彼の命令のままに世界を蹂躙した。数多の人間の血を啜り人間を虐殺した。数多の国を侵略し欧州の大半を手中に収めた。



 超常的な力を振るう吸血鬼に、人々は太刀打ちする術を持たなかった。無力な家畜(にんげん)たちは、小さな抵抗すら赦されぬまま、何百人何千人と血を搾取され生を奪われた。

 そして吸血鬼によって奴隷化される危機に瀕した彼らは、ある一人の娘に救いをこいねがう。

 娘の名はマリア・アウローラ・シリウス。真白き髪と銀灰色の瞳を持つ美しき乙女。彼女こそが人類の救世主。人類の敵たる真祖を滅ぼす力を神より授けられた白き聖女――『クルースニク』であった。



 二人は互いに争い合った。真祖は吸血鬼の繁栄を、聖女は人類の存亡を賭けて。

 何度も何度も戦場で巡り合う、そんな運命にあった二人の血で血を洗う戦いは延々と続いた。



 やがてその争いは、聖女が真祖の心臓を刃で刺し貫いたことで終結した。

 真祖との死闘によって力を使い果たした聖女も相討ちとなって滅びたものの、吸血鬼の世は滅び人類の安寧が再び取り戻された――





 ――はずだった。





 四百年後、二十一世紀現代。

 滅びたはずの真祖が再びこの世に復活するまでは。



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