8 海鮮丼
「ポセイドンが、海辺の街で何かおごってくれるらしい。」
「えっ?
ホントですか?」
休日、エロスがプシュケに声をかけた。
スニオン岬の猟師町。
ここで、マッチョな男と、美少年が「海の家」を経営していた。
「ポセイドン・・・!
何やってんですか!?」
客に丼を渡すポセイドンを見て、エロスが突っ込んだ。
「何。
この私も、ペルセウスやアンドロメダの件で人間に畏敬の念を持ってもらったと思ったのだが、やりすぎて逆に「ひどい神」としてなめられてしまったのだ。
そこで、トリトンのヤツに尻を叩かれるようにしてこうしてな。」
見ると、カウンターの奥に、得物の「三叉の矛」が立てかけられている。
「エロス・・・
きっかけはそうなんですがね・・・
この店の看板を見て下さい。」
美少年・・・
トリトンは、頭上を指した。
「海神御用達!「ポセイ丼」」と書かれている。
「父上の好物をかき集めた海鮮丼です。
「人間共に食わせないのはもったいない!」と言って僕の諌言にちゃっかり便乗したんですよ。
ホントは、こっちが本音でしょうね。」
トリトン。
彼は、海の王子として知られる神で、海では下半身が魚のような姿である。
「さあ!
今なら安いぞ!
相場の六割だ!
ポセイドンがお勧めする、「ポセイ丼」!
海の幸をふんだんに使っておるぞ!」
「威厳も何もなく、ただの商売人のオヤジに見えますねぇ・・・」
プシュケが言った。
「それが困りモノです・・・」
トリトンが肩を落とした。




