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6 旅人プロメテウス
散歩の帰り道・・・
プシュケは、倒れた男を見つけた。
「まったく・・・
ウチの国で行き倒れられるのは困るのよ。」
彼女は、男の両脚を引っ掴んで、ひきずっていく・・・
「いやー・・・君が噂のプシュケか!」
男は、先ほどの死人同然の様子がウソのようだ。
プシュケが用意させた食事を平らげ、元気になっている。
「うむうむ・・・
私がこうして、若いカップルを見るのは、何千年ぶりかなあ・・・」
「あなた・・・神族!?」
「うん。」
男は、思い出すように語りだす。
「最初はねぇ・・・
私は人間たちに、いろいろ教えていたんだよ・・・
でも、火を操る力を与えた時に、ゼウス様に目をつけられたんだよな・・・」
「確か、太陽から火を盗んだって・・・」
「うん。
鍛冶仕事ができないのはいいとして、寒くても暖がとれない。
おなかが減っても、料理ができないんだよ?
さすがに気の毒になってねえ・・・
君、彼氏の母上に気をつけろよ。
なんせ、冥界の女王ともやりあった人だからね・・・」