2 美の女神アフロディーテ
「エロスは、どこです!?」
強烈な怒気を放ち、最強の美魔女こと、美の女神アフロディーテは、ブチ切れていた。
「この神殿だけでなく、自宅の神殿にすらいないとは!?
職務怠慢ですね!」
よく言うよと、ニンフのティスティアは思う。
「あ・・・あの〜」
「なにかしら!?」
「人間の女性に嫉妬される気持ちは、わかりますが・・・
「呪い」をかけなくても、よいのではと・・・」
「おや・・・
ならば、あなたには「亀の呪い」をかけてあげましょうか?」
「も・・・申し訳ありません!」
亀の呪いとは、人間のとある暇人の呪術師が編み出した呪いである。
しかし、この場合どうでもいい。
ここ数百年・・・
かつて、いたずらで力をふるっていたエロスは、母の下請けでめんどくさい仕事ばかりを引き受けてきた。
この前も、とある国民人気のお姫様に呪いをかける仕事を言いつけたのだが・・・
エロス神殿
「エロス様ーッ!」
書類を抱えたキューピッドたちが、右往左往している。
キューピッドとは、エロスの眷族の準神族。
つまりは、愛の天使と言う奴だ・。
「こんなに決済の書類が・・・
アテネの王子様の縁談に、クレタのお姫様の結婚・・・
案件が多すぎて・・・!」
エロスの秘書クピトが、わめく。
「あんのいたずら坊主は、どこ行きやがったーッ!」