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イケメンはご遠慮いたします。  作者: 紫野 月
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大変長らくお待たせいたしました。

季節はもう秋、というより冬。時間が流れるのは早いものです。

お楽しみいただければ幸いです。

 営業部に応援に行くようになって二週間が経ちました。

 はじめの五日間は鬼のように忙しく目が回りそうでしたが事務員三名の気力と根性で乗り切り、二週間かけてどうにか通常モードに戻せたようです。

 行ってすぐの頃の私は奥村さん鈴木さんのつかいぱ…… 補助するだけで精一杯でしたが、今は簡単な仕事なら任せてもらえるようになりました。う、うれしい!


「月末処理が終わるとちょっと楽かな。月初めは営業も休息モードになるしね。でも今月はいつもと違う。なんたって十二月、あっという間に戦闘モードに切り替わってまた忙しくなるよ」

「そうなの。だから千葉さん、頑張ってもっと仕事を覚えてね」

 奥村さんがにこーっと笑いながら書類を机に置きました。

 あっ、奥村さんは意地悪でやってるんじゃないですよ。

 時間に余裕のある今の時期に仕事を覚えてほしいといろいろ教えて下さっているのです。

 えーとなになに今日は旅費精算の作成ですか…… これは総務にいたときにも何度か目にしたことがあります。あの頃は出来上がったものをチェックするだけでしたが、ここでは一から作成するんですね。ではパソコンのソフトをたちあげてっと。




 ああ、仕事があるって素晴らしい。

 仕事仲間に普通に接してもらえるのがこんなに有り難いことだったとは……

 あの総務での日々は辛かったけれど普通なら気付けないことに気付けたのだから、まあいい経験をさせてもらったということにしよう。

 事務員三人での歓迎会で、奥村さんからいきなり「正々堂々勝負よ」と言われた時は前途多難の四文字が頭をよぎりましたが全然大丈夫! 取り越し苦労だったようです。

 みんながみんな松木先輩みたいな人じゃないってことですよね。


 まあ私も必要以上に水嶋さん近付かないようにしてるしね。実は未だに口をきいたことがないんです。

 水嶋さんは営業のエースと言われるだけあって常に忙しいみたいで、朝礼が済むと必要最低限の指示だけしてすぐに外回りに行ってしまいます。珍しく事務所にいたとしても雑談とかする雰囲気じゃない。それに水嶋さん関係のお仕事は全て奥村さんが引き受けていらっしゃいます。なので私は全然接点がないわけで、一言も喋らなくてもなんの支障もないわけです。


 そういえば総務の井口さんが「水嶋さんはクールでかっこいい」って言ってましたけど、私が思うにあれはクールというより不機嫌という感じがします。

 特に事務所でデスクワークをしているときなんか、仕事以外の話をしに来るなってオーラが辺り一面充満しています。そんな雰囲気をものともせず水嶋さんにアプローチをし続けるお姉さま方の鉄の心臓にはあきれ…… 敬服するばかりです。

 鈴木さんが見ていて面白いって言ってましたが、なんか分かります。いや、決して馬鹿になんてしてませんよ。逆に皆すごいなーって思う。


 水嶋さんに熱烈アピールしているお姉さま方は皆さん自分に自信があって、他人の目なんか気にせず好きな人を好きって言える強さがある。どちらも私にはないものだ。

 私は自分に自信が持てないし他人の目が超気になる小心者です。

 そのくせ変なプライドはあって、負けると分かっている勝負をしようとは思いません。当たって砕けろなんて出来ないたちなんです。

 自分をしっかり持ってハッキリ意見の言える素敵女子に物凄く憧れはあるんだけど、だかっらってそうなろうと努力する気はなくて、こんなんじゃ駄目だろうな思う反面いまさらこの性格をどうにかするなんて無理だと諦めていたりする。

 だから本心を隠したり、偽ったり、誤魔化したり……

 はぁ、自己嫌悪……



 ああ、ダメダメ‼ こんなネガティブ思考じゃ!

 人間誰しも欠点はあるものよね。

 完璧な人なんていないんだし。

 気持ちを切り替えて頑張れわたし。

 そう、今は仕事にまじめに取り組むことだけ考えていればいい。奥村さんや鈴木さんの期待に応えなくっちゃ。そしていつか心が元気になったら新しい恋を見つけるんだ。

 待っててね、私の薔薇色の未来!




最後までお読みいただきありがとうございます。


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