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イケメンはご遠慮いたします。  作者: 紫野 月
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 明日も仕事。なので、そろそろお開きということになりました。

「あっ、私ちょっと…」

 鈴木さんが化粧室に消えたので、私と奥村さんはお店の前で待つことにしました。

 いやー、今日は楽しかった。

 奥村さん鈴木さんとたくさんお話が出来たし、営業さん達(といってもほとんど水嶋さんと広田さんの話だったけどね)の話しもいろいろ聞けたしね。

 あーお腹も心も満腹、満腹!


「ねえ、さっきの話し本当?」

「へっ?」

「広田君の方がタイプって言ったことよ。それとも初めの二人ともタイプってのが本音かしら」

 さっきまでにこにこしていた奥村さんの顔から笑みが消えています。

 あれ… もしかして失敗だった? 本当は奥村さん広田さんのことが好きだったとか?

「あっ、いえあれは水嶋さんと広田さんの二択だったので広田さんと言いましたけど、正確にいいますとお二人とも私のタイプからは外れてまして…」

「ふーん」

 あーなんか納得してないわよって表情です。

 どうしよう。でも、ここで変に言い訳するともっと誤解されちゃうかな。

「まあいいわ。あなた一人増えたところでどうというわけでもないし…」

「それはどういう…?」

 すみません。話がよく見えません。私これでも結構察しがいい方だと思っていましたが、勘違いだったのでしょうか。


「いいこと、覚えておいて。私アンフェアは嫌いなの。勝負するなら正々堂々としてちょうだい。よろしくね」

「はあ…」

 勝負ってなんの勝負ですか?

 いえ、分かります。雰囲気で分かります。

 今までの話しの流れでこれしかないですよね。ズバリ水嶋さんと広田さん絡みの色恋。

 卑怯な手を使って割り込んでくんな! ってことですよね。

 そこはわかります。ただ相手はどちらですか? それともどちらもですか?

 ってか、どうしてそんなに牽制してくるんですか?


 営業に応援要員としてやってきてまだ五日目なのに、ソッコーでイケメンツートップにモーションかけちゃう肉食系女子に見られてるってことですか。

 私のドコをドウ見ればそのように見えるのでしょう?

 それとも営業に配属されたら必ず注意される案件なのでしょうか。

 出来ればそうであってほしいのですが、私の直感が肉食女子と勘違いされていると告げています。

 しかも正々堂々と戦えと注意されるくらい危険人物に見られているようです。

 自分ではごく普通の一般女子だと思っているのですが、周りの評価はちがうのでしょうか? 

 はっ、もしかして自分では気付いてないだけで途轍もない魅力を持っているのかも…    って、そんなわけないですよね。ハハハ… 分かってます。ちらっと思っただけです。


 とっ、とにかく、なんでだか全然分からないけど奥村さんにものすごーく誤解されているようです。

 私は肉食じゃないし、イケメンはタイプじゃなくなりましたし、奥村さんと戦うつもりは毛頭ありません。それをちゃんとお伝えしなければ。

「あの奥村さ「お待たせしましたー!」」

 私の言葉に思いっ切り被せて鈴木さんが駆け寄ってきました。

 う、う、うっ。なんて間が悪い…

 奥村さんは鈴木さんがいない時を狙って話を切り出したのだから、鈴木さん込みで話さない方がいいですよね。うん、私は察せる女ですもの。だけど極力早いうちに誤解を解かなくてはなりませんね。下手すると『総務での悲劇再び!』なんてことになりかねない。それだけは絶対避けたいのです!!


 

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