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イケメンはご遠慮いたします。  作者: 紫野 月
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お久しぶりでございます。

ずいぶんと長い間お待たせしてしまいました。ごめんなさい。

ある程度ストーリーが固まったのでしばらく連載していけると思ってます。


「やりましたよ奥村さん。今ので仕事が全部終わりました」

「やったわね鈴木さん。まだ五時台よ。いつ振りかしら五時台で終わったの」

「果てしなく昔すぎて思い出せません、奥村さん」

「私もよ、鈴木さん」

 私の目の前で、営業の事務員二名が手に手を取りあんばかりに感激していらっしゃいます。

 五時台っといってもほとんど六時ですけどね。

 寸劇そんなことをしているうちに六時になりそうですけどね。

 だけどそんな些細なことを言って水を差すのもなんですし、ここは一緒に喜びを分かち合っておきましょう。

 奥村さんがくるりと私の方へ振り返ると満面の笑みをたたえておっしゃいました。

「ありがとう千葉さん。あなたが来てくれたお陰で溜まってた仕事が全部片付いたわ。私、もう、嬉しくって…」

「泣かないでください奥村さん。私まで涙が出てきそうです」

「……」

 どっ、どうしましょう。私、お二人のテンションについていけません。

 喜びを分かち合ってるよ感をどう表現したらいいのでしょう。気の利いた台詞はもちろん、涙を流すことも出来そうにありません。

 うーん。とっ、とりあえず笑顔で頷いておきます。


「奥村さん、まずいです。早く上がらないと営業達が帰って来ちゃいますよ」

「えっ本当? せっかく終わったのに面倒ごとを頼まれたら帰れなくなるわ。さあ、急いで撤収するわよ!」

「了解です」

 変わり身はやっ!

 やはり二人のペースについていけず固まっていた私に鈴木さんが「ほら千葉さんボケっとしない」と声をかけて下さいました。

 外回りをしている営業さんが帰ってくる前に事務所を出ないと、次から次へと仕事を申し付けられてしまうのです。これはお手伝いに来てからいやというほど味わいました。とはいってもまだ一週間も経ってませんけどね。

 営業部ここでの事務員のお仕事は営業さんのサポートをする事。だから営業さんに仕事を頼まれたら嫌とは言えないのです。


 どうにか営業さんに会わず事務所を出ることに成功し、上機嫌な事務員二名+二人のテンションに戸惑っている事務員一名は連れ立って廊下を歩いた。

 二人は楽しそうに会話をしそして時々私を気遣うように話し掛けてくれる。

 私は仲良くじゃれあっている二人を眺めながら思わず嬉しさがこみ上げてきた。

 これよ。これです。これが欲しかったんです。

 仕事終わりの仲間内でのたわいないおしゃべりタイム。どうでもいい事からとても重要な事、そして仕事上で溜まってきたうっぷんを晴らす愚痴大会。ああここ数ヶ月夢にまで見た状況が今ここに。


 私が感慨に耽っているとお二方から同時に声を掛けられました。

「ねっ、千葉さんも行くでしょ」

 えっ…と、あれ、すみません。ちょっとトリップしてました。えーとどこに行くのでしょう?

「あれ、都合悪い? 今日早く上がれたしこれから三人でご飯食べに行こうって話してたんだけど」

「私も一緒でいいんですか?」

「もちろんよ千葉さん。千葉さんはもう私たちの仲間なんだから当たり前じゃない」

 ……泣いてもいいですか。

 今まで辛かった分幸せがやって来た感じです。人生楽ありゃ苦もあるさ。そう、涙の後に虹が出たんです。

「あっ、そうだ。せっかくだから千葉さんの歓迎会にしない。今更かもしれないけど」

「いいですねぇ。さすがです奥村さん」

「私達だけじゃ人数的に淋しいかもしれないけど、営業の人達に声を掛けたら逆に大事になるし… どうかしら?」

「っていうか、営業を誘ってもどうせ来てくれませんよ。この月末の忙しい時期に無理とか言っちゃってさ」


 いいです。営業の人達はどうでも… いや、どうでもいいなんて言っちゃいけないけど、私が仲良くなりたいのは同じ事務員のあなた方ですから。

 というわけで、女三人で食事会にGOです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

楽しんでいただけたでしょうか? 

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