表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメンはご遠慮いたします。  作者: 紫野 月
11/25

11

 営業はとても困った状態らしく「今すぐ行け」とのことなので、とりあえず同期の井口さんに引き継ぎをすることになった。とはいっても今の私はたいして仕事をしていなかったのでものの10分で終わってしまった。

「ああ、うんうん。分かった分かった」

 なんかすごく軽いカンジです言われちゃいました。この人メモも取ってないけどいいのかね? そりゃあメモを取るほどの仕事をしてないって言われればそうかもしれないけどさ…… まあこれで私の総務での責任は終わった。後は残った人達がなんとかするでしょう。

 私はモヤモヤしそうな気持を切り捨てて、移動するため机の私物をまとめ始めた。


「いいなぁー千葉さん。営業にいけるなんてさぁ」

 引き継ぎは終わったというのに井口さんは仕事に戻ろうとせず、それどころか唐突にテンションを上げて語り始めた。

「私も営業に行きたいなぁ。ほら、営業にはさ水嶋さんがいるじゃない」

「……」

「私ね一度水嶋さんを見たんだけどさぁ、すっごくカッコイイんだ。メガトン級の格好良さなんだよ」

「ふーん」

「営業成績も常に上位で、営業のエースっていわれてるんだって。すごいよねぇ」

「へえ」

「それでね先輩に聞いた話によると声がね、こう腰に来るカンジの美声らしいのよ。ああ、一度でいいから聞いてみたい」

「そーなんだ」

「いいなぁ千葉さん。これから毎日水嶋さんに会えるんだ。話もしちゃうんだ。うまくすればボディタッチもできるんだ!」


 この後も井口さんの「すごい」と「いいな」は止まらず、私は机を片付け終わったのに席を立つことが出来ないでいた。

『そろそろ雑談を切り上げないとヤバイんじゃないの?』と思っていたら、隣の席の新田先輩がこちらに振り向いた。

 うるさかったですよね。でも、これ、私のせいじゃないもん。ほとんど井口さんが一人で喋ってたんですよ。そこのところ先輩も分かってますよね? でもきっと私に向かって怒るんだよね「静かにしてくれない」とかさ。私が悪者になるんですよね、きっと。でもいいもん。総務での私の立場は地の底だったし、それにもうオサラバだし。

「井口さんは水嶋さん派なんだ。私は広田君の方がいいと思うけどね」

 まさかの新田先輩の発言に、私はびっくり仰天した。

 いいんですか? 朝の忙しい時間帯にこんなこと話してて。ってか広田ってだれ?

「ええっ! 断然水嶋さんの方がいいですよ」

「広田君の方がいいわよ。明るいし人懐っこいし」

「水嶋さんのクールな感じがたまらないんです!」


 私は総務の女子の間での話題についていけないことに少なからずショックを受けた。

 えーとですね、水嶋さんの噂は遥か昔に聞いたことがあるよ。確か五十嵐さんと甲乙つけがたい程のイケメンさん、つまり我が社の3大イケメンのうちの一人だったはず。うんうん、それであっている。間違いない。

 もう一人は初めて聞く名前のようですが、広田君って誰ですか?

 あっ、いや、広田君は広田君ですね。

 私が知らないだけで誰ですかって、失礼ですよね。スミマセン。

 ここで水嶋さんの対抗馬になっているんだから、きっと営業の人でおそらくイケメンさんなんでしょう。

 あちらに行けばきっと、すぐにお目にかかれると思います。


 お二人は水嶋さんと広田君の話題で大いに盛り上がってます。

 私のことなんてそっちのけなのに私を間に挟んで論戦を繰り広げてます。話題に乗れてないんだし私を挟まず二人だけでやってくださいよ。なんて思っていたら主任の思いっ切りよく響く咳払いが聞こえてきて、お二人はそそくさと仕事に戻っていった。フーやれやれ。




 皆さんが忙しそうに仕事をしているなか、私は最後に一礼して事務室を出て行った。

 正式な辞令が下りて移動になったわけじゃなく、表向きは応援に行くだけ。なので、誰にも見送られることはなかった。この半年間私なりに一生懸命やったのにな。あんまりだよね、この扱い。

 これもすべてあの五十嵐(もはや呼び捨て)のせいだ。

 五十嵐とそれを取り巻く面々の娯楽のせいで私は酷い目に合った。

 そしてその前は最低男小林のせいで散々な目に合った。

 というわけでつくづく思った。イケメンというやつはどうしようもないヤツばかりだと。

 きっとあいつらはその上っ面の良さで周りからチヤホヤされていい気になってるんだ。自分は特別な存在だと勘違いしていて、他人の迷惑なんて気にならないとんでもない性格になっちゃってるんだ。


 私は深く反省しここに誓った。

 もうイケメンとは関わらない。

 もちろん好きになんてなるものか!

 営業課には水嶋、広田というイケメンがいるらしい。

 だが、イケメンの本性を見抜いた私には、さっきの二人の話を聞いてても興味すらわかないぞ!!

 3大イケメンがなんぼのもんじゃ! もはや眼中にないわ!

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

前回お知らせしたとおりしばらくお休みさせていただきます。

とはいっても、まだ全然まとまってなくて、書きたい場面やセリフがアトランダムに浮かんでいる状態なんです。これを順序立てて文章にするには一~二ヶ月では無理のような気がする。いったいどのくらいかかるか見当もつきませんが、なるべく早く投稿を再開したいと思っています。

でももしかするとこのままポシャる可能性も… いえいえ頑張って妄想を膨らまし必ず帰ってまいりますので、読者の皆様気をなが~くしてお待ちいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ