表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人の求婚  作者: 花ゆき
2/6

獣人の耳飾り

本日二回目の投稿です。

 ライルとリーシャは宝石店にいた。婚姻の証である耳飾りをお互いの目と見比べながら、時間をかけて選んでいる。なんでも、少しでも色が違うだけで夫婦喧嘩になると聞いているので、二人して慎重だ。


 ライルが碧色の宝石を私の目元にもってきて、確認している。何だかくすぐったい。ライルにも深緑の宝石をもっていって同じようにしたら、少し照れたようだ。シッポがそわそわ揺れている。お互い耳飾りを選び終わった。ライルが碧色の宝石のついた耳飾りを私の手にのせた。


「リーシャのつがいだって印だ。耳飾りにはリーシャの名前が刻んである。リーシャがつける耳飾りには、俺の名前が刻んである。世界に一つしかない。俺とリーシャみたいなもんだ」

「うん、大切にするね」

「つけてくれ」


 ライルは私がつけやすいようにかがんでくれた。両耳につけると目がキラキラと輝き、ぱたぱたとシッポが揺れる。次はライルが耳飾りを手にした。私は耳飾りがつけやすいように、髪をよける。ひんやりとした金属の感触がするんだろうなと身構えていたら、耳たぶをライルに甘噛みされた。


「こら、ライル!」

「もっとリーシャに俺の匂いつけないと。あぁ、初夜が今から楽しみだ。早く夜になればいいのに」

「耳飾り、自分でつけちゃうけどいいの?」

「だめだ。俺がつける」


 彼の手が耳たぶをなぞって、耳飾りをつける。かすかに首筋に手が触れ、ゾワッとなった。思わず睨む。その反応すら彼は喜んでしまう。


「今までアピールしても伝わらなかったから、反応してもらえるのがこんなに嬉しいとは思わなかった」


 体を擦り付けるようにぎゅっと抱きついてくる。リーシャちゃん、リーシャちゃんと背中を追ってきた子は、私をすっぽりと抱きしめてしまえるほどに大きくなった。大人しくされるがままにしていると、彼は満足したように笑った。


「うん、俺の匂いでいっぱい。夜はもっといっぱいマーキングするから」

「私は?」


 きょとんと頭を傾げるライル。伝わっていないようだ。クスリと笑って、もう一度言う。


「私もライルに匂いつけたい」


 目を丸くして固まっている彼の太い首に腕を回して、すりすりと体をなすりつけた。うまくいっただろうか。彼に問うように見上げる。


「私の匂い、ついた?」

「ついた……けど、刺激強すぎて、……はぁっ……その、ヤバい。落ち着くまで、このままでいさせてくれ」


 彼の荒い吐息と、落ち着かない心音を聞きながら、熱が移ったかのように火照る体を二人して落ち着けた。それは耳飾りを交わした日のこと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ