13話 ずっとここにいたいの?
「……寿命で死ぬまで、ずっとここにいたいの?」
「え?」
そこに居るのは、本当に同じ人物――猿渡久遠さんなのか?
そう言いたくなるほどに、そこにいる【うずまき】女店長こと猿渡さんは、悲しそうな顔をしていた。
「……さって、と! とりあえず、洗濯機の中から残りの洗濯物を持ってきてくれる?」
「え、へ、あ、は?」
「手伝い、してくれるんでしょ?」
「あっ、はい喜んで!」
と、叫べばすぐに振り向いて、【うずまき】の中へとダッシュ。
初めて入る店の奥で迷いながらも、洗濯機を見つけて中から洗濯物を取り出――
「あれ?」
――なんだっけ、この水色のフリフリがついていて、タグにアルファベットが一つとか書いてあって、立体的な丸みを帯びている布は――
「ごフッ!?」
……深くは考えないようにしよう。
だって今、深く考えるべきは、先ほどの猿渡さんとのやりとりなのだから。
時間がかかりすぎてしまうから歩きながら考えるが。
「寿命まで……?」
思えば、最初から不思議だった。
なんで、猿渡さんは現実の僕の状況を理解していたんだろう。
僕ですら知らなかった、現実での悲惨な光景を。
本人が、自分の境遇を知っている。
……それ、普通なの?
荒谷の境遇、は猿渡さんの口から出てきていたから分からない。
でも、アリスは自分から語っていた。
どうやら、猿渡さんは現実の自分がどうなっているのかを知っている。
どうして?
と。
「あ、やっと来た」
そこまで考えていた時に、僕は猿渡さんの所にたどり着いていた。
どうやら、もう僕の思考タイムは終わるらしい。
まぁ、仕方ない、のだろう。
「でも、わざわざありがとうね」
洗濯物入りのかごを受け取りながら、猿渡さんは笑顔を浮かべる。
「もうすぐ私もそっち戻るから、冷蔵庫のお茶でも飲んで待ってて?」
……この笑顔を曇らせてまで、自分はでしゃばりたいか?
答えは、ノーだ。
なら。
「分っかりました!」
僕は、足元の海水を跳ねさせながら、駆ける。
シリアス(に似た何か)が続いていましたが、次回からはまたギャグ(に似た何か)に戻ると思います。
ここまで応援ありがとうございました。
まぁ、まだまだ続きますが。できれば、まだまだお付き合いください。




