10話 有明スミレ
「そういやぁ、他の奴らはどこまで行ってんだ?」
そう言うのは、朝食であるチキンサンドを頬張る荒谷。
「え、雅也と一緒に行ったんじゃなかったの?」
「なんで俺があんな奴らと」
「奴ら?」
何だか二人の会話が盛り上がるのを見ているだけなのも嫌だったので、相槌をうってみたり。
同時にチキンサンドにも舌鼓をうつ。うん。美味しい。
「えぇ。雅也と同じように、ここにずっと前から住み着いているのが何人かいるのよ」
「海の上にボート浮かべて飽きるまで寝てたり、海産物を探して沖まで行くのとか、な」
「はぁ」
なんだ。これ以上キャラが増えるのか。 まだ荒谷の事すらよく知らないのに(別に僕は知りたい訳じゃないけど)。
まだ猿渡さんとお近づきになれた訳でもないのに(しかも、まだ猿渡さんについて知っている事も少ないのに)。
大体、僕はいつまでここに居られるんだろう?
……考えても仕方ない、って事は分かっているんだけどね。
と、溜め息を吐いた時。
ガラッ。
「……」
そこには、スクール水着の上からパーカーを羽織った少女が立っていた。
ジト目、とでも言うのだろうか。ワカメを張り付けた金髪の下の目は眠そうに開かれている。
顔と胸部から判断して、10歳くらいだろうか。
……いや、さ。スクール水着って胸元に名前が書いてあるじゃん? だから胸元ゆ見たんだよ? 本当だよ?
だから、この少女な名前が『ありす』だと言う事は分かる。なんで10歳くらいでひらがななんだ?
「お、スミレの帰還だ」
「アリスじゃねぇの!?」
がばっ、と荒谷に顔を向けながらつい叫んでしまっていた。
「有明スミレ(ありあけ すみれ)……略してアリス。スミレちゃんが始めて来た時、そう自己紹介してたのよ」
「アリスはアリスだからアリスなのです。スミレとは誰ですか店長の友人ですか」
「……違うわよ」
と、グラスに水を注ぐ猿渡さんに対して毒舌なアリス――スミレちゃん。
でも、猿渡さんって毒舌に耐性ないのかな? いや、荒谷の馬鹿には慣れているっぽいし、それはないか。
なら、なんで今、悲しそうな声を出したんだろう?
「で、この子が新入りの雨宮練君」
「死因は何ですか?」
「この子容赦ねぇな!?」
普通、初対面の人間に死因とか聞いちゃう!?
……違うか。生死の境、なんて普通じゃない場所にいる時点で『普通』は通用しないか。
「車に跳ねられました」
「雨宮練は間抜けさんですか」
「フルネーム!? しかも哀れみの目で見られた!?」
「お前、昔は売れない芸人のツッコミでもやってたのか?」
「何で『売れない』って決めつけたんだ今!」
「あ、スミレちゃんはチキンカレーとチキンサンドのどっちが良い?」
「アリスです! ……チキンサンドで」
こうして、また新キャラが増えた。
こうして、また店が騒がしくなる。
でも、楽しくなりそうだ。
作中で練も言ってますが、まだキャラが堀り下がってないのに新キャラです。
どうかお付き合い下さい。
今後、全員きちんと堀り下げる予定ですので。
感想など、ある人はお願いします書き込んで下さい。




