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つながった

 ブチブチと音がした。


 不思議に思って音のした方を見てみると、穴兎の胴体が千切れ落ちてふたつに分かれていた。下半身は穴に突き刺さり、上半身は地面でもぞもぞと動いている。僕らは兎の耳を掴んでぐるぐると振り回し、じゅうぶんに水気を切った上で美味しくいただいた。


 しばらく進んでいると道はだんだん広くなり、空気の流れを感じられるようになった。


「さ、そろそろ出口になるはずだよ」


 田中はそういったが前方には壁があった。どうみても行き止まりである。道を間違えたのではないかと田中に問うと、彼は僕らの真上を指差した。その先はずっとまっすぐに空洞が伸びていて、天井のほうに白い明かりが差しこんでいた。


「これで」田中の言葉を僕が継ぐ。

「ペニスも戻ってくるというわけだ」

 田中はニヤリと笑ってオーケー・サインを出す。


「しかし、この垂直な壁はどうやって登ればいいんだ?」


 田中はオーケー・サインの指先をそのまま地面に向けた。気づいていなかったけれど、植物の苗が植わっている。明かりが差しこんでいるからだろうか、ちゃんと育っている。風もないのにサワサワと揺れていて、どうやらこれは生きている。


「こいつらを利用するのさ」


 田中は苗のひとつを掴んで勢いよく引っこ抜いた。するとそれは林檎と人参を足して2で割ったような奇妙な根菜であることが判明した。苗の先にだいだい色の丸いふくらみが付いていて、そこに顔がある。その下に胴体と手足がついており、痩せ細った四肢は空中でぶらぶらと揺れていた。


「たくさん抜いてくれ。手当たり次第に」

「わかった」


 田中の言う通りに僕はそれらを根こそぎ抜いていった。それらは全部メスで、あたりに放っておくと、それぞれ頭部を別の個体の股のあいだに突っ込んでからだを繋げ始めた。


「これは『穴倫人アナリンジン』と言うんだよ。媚薬の材料にもなる」


 田中は繋がりの悪い箇所をずぶずぶと押し込みながら僕に教えてくれた。


「繋がった穴倫人を植わったままの穴倫人へ差しこんで、完成だ」


 僕は穴倫人を誘導して、植わったままの穴倫人に座らせた。僕が促すまでもなく、彼女らは股を開きズブブとからだを繋げていく。


「よし、いよいよだ。穴を出るぞ!」


 田中の号令で僕らは出口への生梯子なまばしごに手をかけ、慎重に上り始めた。

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