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プロローグ

 彼は、目を閉じながら味わった。


 それは、故郷の味だった。

 遥か遠く、

 懐かしき、

 星の、

 金色の、

 風の、

 胞子の……

 ああ、こんなに遠いところにいても、この肉は故郷の味がする。

 彼は、あまりの美味さに、落涙した。骨にこびりついた、細かな肉まで。全てを舐め取って、かみ砕きながら、愛おしむように飲み込んだ。

 か細い骨と、肉が纏っていた布を埋めてしまう前に、彼はもう一度その肉の匂いを堪能する。


 さいこうだ。


 さいこうに、うまかった。


 この星独特の、奇妙な灰色の空気の中でも、肉の匂いは輝いていた。



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