第6話 悪魔的所業と罪悪感
次に、「パーティーでヒロインのドレスを汚す」
これはもう、つい昨日の出来事。アンナさんが教えてくれた、私が意識を取り戻す直前にやらかしたてホヤホヤの悪行。
夜会で、リリアンヌちゃんが第一王子アルフレッド様と親しげに話しているのを見て、カミラが嫉妬に狂ったんだよね。
「まあ、リリアンヌさん。そんな安物のドレスで、よくアルフレッド殿下の前に立てますわね? まるで、美しい殿下の隣に、薄汚れた雑草が生えているようだわ」
とか、とんでもない暴言を吐いて。
それでもリリアンヌちゃんは健気に「申し訳ありません、カミラ様……でも、このドレスは私にとって大切なものなんです」って言い返したんだけど、それがまたカミラの癇に障った。
「あら、口答えするのね、平民の癖に生意気よ!」
そう言って、手に持っていた真っ赤なワイングラスを、リリアンヌちゃんの淡い水色のドレスに、わざとらしく「あら、ごめんなさい。手が滑ってしまったわ」とか言いながら、ザバーッとかけた。
うわあああああ!悪魔!悪女!鬼!なんでもいいけど、酷すぎる!
リリアンヌちゃんのドレスは、お母様が徹夜で縫ってくれた、たった一着の晴れ着だったんだよ!それを……!
アルフレッド王子も、さすがにその時はカミラに「カミラ!いくらなんでも度が過ぎるぞ!」って怒ってたけど、カミラは「あら、アルフレッド殿下。わたくしはただ、殿下の隣にふさわしくないものを排除しようとしただけですわ」とか言って、ケロリとしてた。その神経、どうなってんの!?
当然、その場にいた他の貴族たちもドン引き。カミラの悪評が、さらに確固たるものになった瞬間だった。
……私がやったんだよね、これ。私が。
信じられない。リリアンヌちゃん、本当にごめんなさい……!
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