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第5話 悪行の数々と思い出したくない記憶

 ふぅ……


 とりあえず、今日の登校は回避できた。けど、こんなの、ただの問題の先延ばしでしかないよね。


 どさりとベッドに逆戻り。ふかふかの羽根布団を頭まで被って、現実逃避を試みる。


 お父様とお母様か……


 カミラの父親はエルヴァーン公爵。確か、厳格だけど娘には甘い、みたいな設定だった気がする。母親の公爵夫人も、カミラを溺愛してたはず。


 でも、日頃の行いがアレだからなぁ……突然の登校拒否なんて言い出したら、「また何か計画をしているのでは?」って静観されちゃうのがオチかも。むしろ、変に心配されて無理やり医者に診せられたり、問い詰められたりするよりは、そっちの方がマシだけど。


 ベッドの中で、改めて前世のゲーム知識を必死に思い返す。


『クリスタル・ラビリンス』


 平民出身だけど、実は特別な魔力の持ち主だったヒロインのリリアンヌちゃんが、名門アステリア魔法学園に入学して、そこで様々な困難を乗り越えながら、イケメン攻略対象たちと恋に落ちていく、王道乙女ゲーム。


 そして、私ことカミラ・フォン・エルヴァーンは、そのゲームにおける悪役令嬢。


 第一王子の婚約者候補筆頭っていう立場を利用して、王子に近づくヒロインに嫉妬して、ありとあらゆる嫌がらせをするんだよね。


 具体的に、カミラがやった悪事ってどんなのがあったっけ……


 布団の中で指折り数えてみる。


 まず、一番最初の方でやったのが「ヒロインの教科書を隠す」


 あれは確か、学園に入学して間もない頃。リリアンヌちゃんが、初めての魔法薬学の実習で使う教科書を、カミラがわざと隠したんだよね。


 実習室の隅にある薬草棚の、一番奥の見えないところに押し込んで。


「あら、リリアンヌさん? 教科書をお忘れになったのかしら? 平民の方は、そういう基本的な準備もおろそかなのねぇ」


 とか言って、クラス全員の前でネチネチと嫌味を言ってた。あの時のカミラの、唇の端を歪めて嘲笑う顔! 思い出すだけで鳥肌が立つ。


 リリアンヌちゃんは真っ青になって「そ、そんなはずは……確かに鞄に入れたはずなのに……」って半泣き状態。そりゃそうだよね、初めての実習で教科書がなかったらパニックになるよ。


 結局、その日は教科書がないせいでリリアンヌちゃんは実習に参加できなくて、担当の先生にも厳しく注意されてた。


 周りの生徒たちも、「カミラ様が何かしたんじゃないの?」ってヒソヒソしてたけど、誰もカミラには逆らえないから、見て見ぬふり。最悪だ。


 後日、掃除の人が偶然教科書を見つけて、リリアンヌちゃんに届けられたんだけど、その時にはもう遅いっていうか。カミラの仕業だって、みんな薄々気づいてた。


 今の私がその場面にいたら? 全力で土下座して謝る。いや、そもそもそんなことしないけど! あーもう、なんであんな子供っぽくて陰湿ないじめを……! 当時のカミラ、どうかしてたよ!



いつも応援ありがとうございます!


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Webで楽しんでくださっている皆様にも、書籍という形でこの物語をお手元に置いていただけたら嬉しいです。

皆様からのご購入が、今後の創作活動の大きな励みとなります。ぜひ、よろしくお願いいたします!

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