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第4話 恐怖の学園と苦しすぎる言い訳

 前世の記憶では、カミラは学園でそりゃあもう嫌われまくってた。


 ヒロインのリリアンヌちゃんを執拗にいじめるから、攻略対象の王子様たちからは蛇蝎のごとく嫌われてるし、他の生徒たちからも白い目で見られて、陰では「悪魔公爵令嬢」とか「性悪女」とか、散々な言われようだったはず。


 そんな場所に、今から私が行けと? 無理無理無理無理!絶対に無理!


 想像しただけで胃がキリキリしてきた。


 教室に入った瞬間に浴びせられる冷たい視線。


 聞こえよがしに囁かれる悪口の数々。


「ほら、カミラ様よ」「また何か企んでるんじゃないの?」「リリアンヌ様が可哀想だわ」


 うわああああ、やめてえええ!脳内再生余裕すぎる!


 前世の私だって、クラスで浮いてて、周りの視線とか陰口とか、そういうのにめちゃくちゃ敏感だったんだから!


 人より倍くらい気にするタイプなんだから!


 それが、悪役令嬢カミラとして、全方位からヘイトを集めてる状況で学園生活とか、拷問でしかない。


 私なんて……無理……


 前世からのネガティブ思考が、今の絶望的な状況と相まって、大爆発。涙がじわっと滲んできた。


 いや、むしろさ、ここまで皆に嫌われてるのに、今まで普通に学園に通えてたカミラのメンタルが強すぎるんじゃない?


 鋼鉄か何かで出来てたの?


 私には無理だよ、そんなの。豆腐メンタルどころか、今はもう水分だけのゼリーくらい脆いんだから。


「お、お嬢様……?」


 さすがのアンナさんも、私のあまりの狼狽ぶりに少し戸惑っている様子。


「あ、あのね、アンナさん」


「はい」


「なんだか、昨日の夜会でちょっと……その、はしゃぎすぎちゃったみたいで……頭が、ズキズキするの。だから、今日の学園は、お休みさせて、もらおうかなって……」


 我ながら苦しすぎる言い訳。でも、これしか思いつかない。


 アンナさんは、じっと私の顔を見つめてくる。その無表情の奥で、「またいつもの気まぐれか」とか思ってるんだろうな……


「……かしこまりました。旦那様と奥様には、そのようにお伝えいたします。医師をお呼びいたしましょうか?」


「ううん、大丈夫!ちょっと寝てれば治ると思うから!」


 食い気味に断ると、アンナさんは「さようでございますか」とだけ言って、静かに一礼して部屋を出て行こうとした。


 あ、待って。


「あ、アンナさん!」


「はい、お嬢様」


「その……朝食は、部屋に運んでもらってもいいかな? 食欲、あんまりなくて……」


「承知いたしました。軽めのものをご用意させます」


 パタン、と静かに扉が閉まる。



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