表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

05

 まずは体力づくりからだった


 術後の経過観察が一段落した後僕はイリナを外へ連れ出した

 森の外れに広がる起伏のある草原

 足場の悪さ、風の強さ、予測不能な自然の変化そこを走らせるのだ

 最初の数日は、五分も持たなかった

 だが構わない

 筋力、持久力、反射神経――全てを一から鍛え直す


 なぜなら魔力の運用には膨大な体力が必要だからだ


 魔力を使う度に体内のエネルギーは消費され魔力切れを起こせば意識すら失う

 そうなったら僕の護衛も助手も務まらない

 だから彼女には、まず基礎体力をつけさせる必要がある


 鍛錬の合間に教えたのは薬の調合だった


 乾燥させた薬草を計量し、砕き、煎じ、冷まし、瓶詰めする

 単純な作業に見えて、その実は極めて繊細なプロセスで成り立っている


 ただの労働ではない

 調合の訓練は、正確さと集中力を要する工程を反復させることでイリナに冷静な判断力と忍耐力を養わせる狙いがある

 繊細な作業に従事させることで、魔力操作に必要な感覚を間接的に育む訓練にもなる

 いずれ複雑な錬金術式を扱わせる日を見据え、段階的に“道具としての資質”を育成する必要があったのだ


 そして、もう一つの大きな理由――資金調達


 錬金術の研究には多くの素材や装置が必要でそのためには資金がいる

 父からの小遣いには限界があるしいつ打ち切られるかも分からない


 薬の調合と販売は僕が独力で研究を継続していくための現実的な収入源だった


 つまりイリナには助手としてだけでなく僕の研究を支える生産要員としての役割も担わせねばならない


 そのための教育であり、訓練だった

 数ヶ月は地道にやらせる予定だ



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ