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4.よくあるハーレム

 主人公くんのパーティは現在五名で活動している。言うまでもなく、主人公くん以外は皆女性だ。お手本のようなハーレムパーティは、これから先もメンバーを増やしていくのだろう。


 主人公補正のおかげで、主人公くんは女性に好感を持たれやすいらしい。私はそこまで影響を受けていないようで、異性として好きになることは無くただの友人のままだ。


 主人公くんのパーティは、クエスト前の腹ごしらえで、メンバー全員揃って食堂で早めの昼食を食べている。食事前に誰が主人公くんの横に座るかで揉めていたが、一応決着はついたみたいだ。


 今日はギルドにくる冒険者の数が少なくて、受付嬢としての仕事があまりない。今の内にずっと気になっていた汚れた窓の掃除をしてしまおうと、私は掃除用具を持ってギルドの外に出た。


 汚れていた窓を拭いていると、自然とギルド内の様子が目に入る。誰かが抜け駆けしたようで、また主人公くんをめぐってのパーティ内闘争が起きていた。


 彼女達はよく主人公くんを取り合っているが、本気で自分以外を排除しようとはしない。本気で他の人物を排除していない時点で、彼女達はハーレムという現状を受け入れているということだ。


 話の都合だと言われれば元も子もないけれど、特殊な嗜好過ぎて私にはちっとも理解できない。


 良い機会だから、ここで主人公くんのパーティメンバーを紹介しよう。


 一人目はエルフさんだ。エルフといえば今さら説明するまでもなく、魔法が得意な長寿で美人な種族だ。他にエルフというと、長くとんがった耳が特徴として挙げられる。


 今のエルフさんの耳はとんがっているけれど、普通の人のような丸い耳になることもある。耳がとんがったり、丸くなったりするから、原作を知らない勢には何かの重要な伏線と思われていた。原作を知っている勢には、エルフさんには何か原作にも書かれていない、重大な秘密があるのだと思われていた。


 結局ただ作画が安定していなかっただけだった。全くもって無駄な深読みだったね。


 二人目は獣人族の猫耳ちゃん。主人公くんを除いたパーティメンバーの中では、彼女が一番作画崩壊の被害に遭っている。


 なんたって猫耳ちゃんは、見る度に明らかに顔が違う。たぶん猫耳さえついていれば、何でもいいと思われている。あと四割ぐらいの確率で尻尾を忘れられる。


 三人目はオッドアイが印象的な、これまた美人な女性だ。彼女は人でありながら、エルフ越えの美貌を誇っている。


 その美貌は公式公認で、公式の寵愛を受けたオッドアイちゃんの顔は、決して崩れることがなかった。ならば作画崩壊は完全回避と思いきや、この前オッドアイちゃんの腕は三本になっていた。この世界で生きる限り、作画崩壊からは逃げられない定めなのだ!


 原作を知っている勢から見ると、アニメでのオッドアイちゃんの出番は、原作に比べて大幅に減っていたらしい。顔の作画が大変だから大幅に出番を減らされたのでは説が出ていたが、嘘か真かを知るのは制作側のみだ。


 アニメでのオッドアイちゃんは出番があったとしても、後ろ姿での登場が多かった気がしないでもない。


 主人公くんパーティにはエルフさん以外に、高齢者枠がもう一人いる。ロリ枠も兼ねている吸血鬼ちゃんが、四人目のパーティメンバーだ。ロリロリな見た目に反して、エルフさんより年上というひどい見た目詐欺だ。


 吸血鬼ちゃんは吸血鬼でありながら、常に和服風の衣装を身に纏っている。服装に関しては、ちゃんと理由があるらしいのでまあいい。だがほぼ半々の割合で、左前になっているのはとても気になる。


 左前といえば死に装束だ。前世と異世界で常識が同じとは限らないが、前世日本人な私はとても気になってしまう。


 吸血鬼なら一度人としては死んでいるから、死に装束でも問題ない……? いやでも、吸血鬼ちゃんは生まれながらの吸血鬼で真祖なのだと、どこかで語られていたように思う。


 これは擁護の仕様がなく、結局作画ミスだね。


 とりあえず主人公くんのパーティメンバーの紹介はこれで終了だ。


 だが主人公くんのハーレムのメンツは、パーティ内だけでは終わらない。


 噂をすれば、ギルドの前に家紋付きの馬車がやって来た。エンジンなんてないのに、エンジン音を響かせて。けたたましいブレーキ音と共に馬車が停まり、ドレスを着た貴族のご令嬢が馬車から降り立った。


 彼女はこの辺りを治める領主一族のお嬢様だ。お嬢様がギルドに来る用事となると、お嬢様は主人公くんに会いに来たのだろう。主人公くんは私が知らない内に、貴族のお嬢様まで引っかけてきていた。その内どこかの国のお姫様まで引っかけてきそうだ。もしくは私が知らないだけで、もうすでに引っかけているのかもしれない。


 お嬢様は自らの手でギルドのドアを開き、中に入っていった。普通ならお付きの人が開けると思うけど、主人公くんはドアをすり抜けるので、ドアを開けるだけ良しとしたい。


 しばらくしてお嬢様は一人で、ギルドの中から出てきた。主人公くんに会ってきたわりに、お嬢様は浮かない表情をしている。


 お嬢様は優雅さの欠片もなく、なだれ込むように馬車に乗り込み、馬車のドアが自動で閉まった。ドアが閉まると同時に、馬車にありまじき速さで馬車は急発進する。


 本筋に関係ない馬だけ妙にリアルなのは何なのか。あとお嬢様は一人で帰ってしまったから、お付きの人はおいて行かれたね。


 窓の掃除を終えてギルドの中に戻ると、お嬢様において行かれたお付きの人が、何もない場所に突っ立っていた。が、お付きの人は突然跡形もなく消えてしまった。


 目の前で人一人が消えたとしても、私は全く驚かない。これは辻褄合わせの瞬間移動だからだ。


 この世界では、作画崩壊で物が消えるのは日常茶飯事だが、人間の場合だと瞬間移動がよく起きる。人間が消失して戻らなかったら、さすがに事件性が生じてしまうからだね。


 のんびりしていた食事していた先程と一転して、主人公くんパーティは地図を見て真剣に話し合っている。先程のお嬢様が何か厄介ごとを持ち込んだのだろう。


 これは、またハーレムメンバーいわゆるヒロインが増える予感がする。主人公くんは一イベント一ヒロインぐらいのペースで、ヒロインを増やしていっている。最近増えていなかったので、そろそろ増える頃合いのはず。


 正直主人公くんのハーレムがどこまで巨大になるのかは、若干興味がある。その内村一つぐらい作ってしまうのでは? ……ありそう。本当にありそうだ。


 そういえばこの作品のメインヒロインは、一体誰なんだろう? ……たとえ誰であろうと、私には関係ないか。


 私の視線に気付いた主人公くんが手を振ってきたので、とりあえず振り返しておいた。

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