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星のバラスト  作者: 弧川ふき(元・ひのかみゆみ)


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051.5 とある、村があった場所の話。

 とある村に、病気のせいかあまり動かない犬がいた。とても苦しそうにしている犬。

 ある時、旅の者が、とあるスモモのエキスをこぼした。

 光り輝いて見えた。そのスモモのエキスに惹かれるように、苦しそうに歩いてその犬が飲むと、たちまち元気になった。

 それをとある少年が見ていた。

 少年の母親は難病に苦しめられていた。

 それもこのエキスで治せるのではないかと想い、少年は旅の者に問いかけた。


「どこでそれを手に入れたのですか」


 少年は、教わった通りに村から南東へ、南東へと向かい、ボロボロになりながらもとある木の前に到達。

 不思議なことに木からは声が。木は少年に質問した。


『何のために来たのです』

「母のために。母の病を治すために」


 あらゆる質問に少年が正直に答えると、木は、桃を一つ地面に落とした。

 それから声は聞こえなくなり、少年は村へと急いで帰った。

 そして、少年の母は元気になり、二人は幸せそうに暮らし始めた。


 話は変わるが――

 その村に住むとある男女が、とても仲よく日々を過ごしていた。

 女はある頃から病に苦しみ始めた。長引きそうではあったが、それは治らない病気ではなさそうだった。

 そんな中、その女性に横恋慕する青年がいた。

 青年は、スモモのエキスで病が治る話を知っていて、振り向いてほしくてそれを取りに行った(のではないかと言われている)のだが……彼は帰ってこなかった。

 その青年がいなくなった理由をなんとなく勘繰って探した者がいた。

 が、その者たちのほとんどが帰ってこなかった。

 村は人が減り衰退し、病気になる者が増えた。

 あの少年は、


「近くの町医者に治せるならそちらに頼った方が」


 と、止めたが、多くの者がスモモを求めた。

 そこへ行った者がことごとく帰ってこない。

 村はとうとう、少年とその母とその再婚相手の男の三人だけとなった。

 ある時怪物に襲われ、少年が、畑で死んでいた。

 心労も相まってか、母親の再婚相手までもが難病に。

 母親は少年から聞いていたスモモの木の所へ、男を看病しながら連れて行った。

 だが、木の前に立ち幾つかの質問に答えた女性は、恐怖を誤解され、木に殺されてしまった。

 あの木は、負の心の動きすなわち精神の信号を感じ取ると、ただ殺し喰う。所詮そういう物でしかなかった。

 男は見た――木が遺体を飲み込んでいるのを。だから誰も見付からなかった。

 その夫が今度は自分で、病の痛みに耐えながら木の前に。

 そんな彼が、


 ――死んでもいい。


 と思いながら、覚悟して答えた。

 彼は殺されなかった。余計な雑念がなかったからだった。

 そして廃村に。

 男の話が語り継がれ、そこは、危険区域とされた――。

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