016 開くべきではない穴②
――盾!
赤くて煌びやかな一つのビーズが大きな壁になる。穴は横向き。その盾を押しやる。
その艶々の側面でスプーンが弾かれる音がした。
ただ、端からするりとこちらに来るものもあった。巨大化したスプーンが視界の隅から向かってきて――
――そのまま弾丸に!
思うのは一瞬、操作も一瞬。盾に念じると、ボクサーのフックのような軌道で――
高速な移動。形を変えながらサッカーボールくらいになったビーズが相手のあごに当たる。そう願った、焦りながらも。
一秒後、銀髪は沈んだ。
――よし。やっぱりこれが一番、かも。
目を覚まさせるのに時間を掛ける訳にはいかない。――確かこういうのは脳への後遺症があったような…。
とにかく、漫画みたいに簡単に気絶させる方法なんてそうはない。だけど、このくらいにしないと、抵抗する敵の身動きも封じられない。
一人は気絶……したはずだ。待っても動かない。
あとは気を失っている間に相手から武器を遠ざける。衣服を漁る。と、彼のジャケットの中のホルダー状のものに刺さっているスプーンが数本見つかった。ポケットも見た。ポケットにはない。それで全部らしい。
全て大窓から投げ落とす。
「てめえコラ不意打ちなんて卑怯だぞ! 直接やる気あんのかッ? どうなんだ!」
青髪が言った。戦えさえすれば僕を倒すか逃げるかできると踏んでいるんだろう。――生憎こちとら守りたいと思った人を守るためならこのくらいやる。
望み通りトラック級のドでかいビーズを消してやった。
すると、こちらに拳を向けてきた。ほくそ笑みながら。
その中指が光っている。指輪だ。
これまでの全ての動作から考えるに、それに念じれば氷が出てくる、恐らくそういう礎術。つまり操作対象自体は指輪。それを動かしてこないなら発動型の礎術しか持っていないのかもしれない。
……把握に一秒も掛からない。感覚で解る。
――盾。
敵の拳から氷の矢が。だがこちらの盾に防がれる。
「予測しないワケがないんだよ」
言ってすぐ、盾の向こうにビーズを大量に出現させ浮かせる。
腹部への弾丸の嵐。人は時に、これでも気絶する。
ただ彼はそうではなかった。なので苦しんでいるところで近付き、指輪を奪う。
これを大窓から外に投げた――ように見せ、ポケットへ入れた。礎球の指輪が地球にあるのもどうかと思ったからだ。スプーンに関しては、隠し持っていたら、意識を取り戻した銀髪に操られ兼ねない、窓から捨てざるを得なかった。それに証拠としても扱えそうだし、少しはこんな風に持っておいた方がいい。できればスプーンは回収もしたいが……
「く……げほ……」
青髪が呻く中、次にすべきことを考えた。ここに自分がいなくてもいいようにしないと――
――あ、そうか、コレがあった。
急いで考えてから思い付いて、まず、青髪を壁際から引きずった――広間中央辺りまで。
そして巨大化したビーズの中に彼をいさせる。湯でもあれば浸かるような形だ。
「楽な姿勢を取っておきなよ」
「う、ぐ、ぐぅ……っ」
と、青髪は、このビーズでできた樽の中から出ようとする。
青髪の肩を押さえつつ、手に念じた。
手から礎力の黒い液が出る。込めれば込めるほど勢いよく。大きな蛇口からの水のように強く出た。それが溜まって彼の首から下が浸かる。
十数秒が経ってから手にもビーズにも念じるのをやめると、ビーズは、縮まろうとして割れてそこら辺に散らばった。
青髪は黒いコンクリートで固められたかのようになった。ヤクザなんかはこう言いそうだ。『どこの湾に沈めようか』――僕は言わないけど。
銀髪にも同じ処置を施した。
――これでいい。
あとで、ゲート化の礎術か、ゲート状態で操れるドナさんの鏡でカットすれば、この拘束は解ける。
よし――と意気込んで。
「そこから動かないでね」
再度ハーミットに言った。ハーミットは無言でコクコクと頷いた。なぜ無言なのか今一判らない。
そいつらを背に、まずは上の階を目指して走り出した。
――全員心配ではあるけど、一番はドナさん……!
思いながら、階段を急いで上がっていった。
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チェーンとバンドは形状が似ている。似た戦い方をする者同士。ただし相手はゲート化が使える。
長い戦いになる、そして恐らく次第に不利になる、そう予想していた。
解っていた。だから何度も弾かせ合った。どこかで相手が隙を見せないかと。必死に武器同士をぶつけ合う。
隙あらばナックはチェーンを環状にしゲート化させこちらのバンドをたまに切る。こちらはポケットから別のを取り出し操作する。
……じりじりと、壁際に押しやられた。そして。
――これが最後……!
それを、今、放とうとして……ゲート化した相手のチェーンの移動先の枠として出現する鎖……それが、目の前に現れた。
あまりの変化に、びくりと体が固まった。
その一瞬に、目の前の鎖がゲート化解除された。つまりはフェイントだった。
そして本体の鎖がこちらへと――
勢いよくしなったソレが、腹に当たった感触があった。
いつのまにか、私は宙に浮いていた。階段がある側の大窓から、それよりも外へと。投げ出されていた。このまま落下すれば恐らく死ぬ。この手にあるのは一本の結束バンドのみ。
確かに手に対象物はある。が、一瞬でそれを足場にするように操作するのは、無理があった。
――ああ、終わる。ここで。ジオガードへの、彼らの裏切りのせいで…?
そんなのは御免被る。
必死にこの手にある最後の結束バンドに念じた。落下する自分よりも速く自分の下へと――巨大化させてそれに乗れるように――操作した。そして乗る。
そのために乗った瞬間転がらないように。姿勢を維持する…のが、できなかった。
落ちる。手で掴もうとする。掴めない。
――そんな! 彼らのせいで死にたくない!
その時だ。何かに支えられた感触があった。少しだけ強く左脇腹から背中に掛けてを打ったが、四階から真下の硬そうな地面には落ちずに済んだ……
私の下になぜかある床のようなもの。
暗い色のビーズだった。
横を見た。階段を上がってくる彼がいた。
――助かった……助けてくれた! ユズトく……いやユズト様が、私を! お手を煩わせた……! 私の手で奴だけは……!
巨大化したこの濃紺っぽいビーズの上に、私の結束バンドも落ちていた。白いからよく解った。
それに念じる。とにかくナックへ反撃――超高速の一打を。
暗がりの中、白いバンドを、横に伸ばしながら向かわせた。
ナックからも攻撃は来ていた。一本の鎖が縦になって私に向かってまっすぐ――
向かってくるそれを、横から来た何かが遠くへ一瞬で押しやってしまった。多分黒っぽいビーズの砲弾。あれらは遥か彼方へ行けば礎力を込められなくなり小さくなって落下するだけとなる。
――また……! 救ってくださった!
感動しながらも攻撃への集中を欠かず、むしろ強めた。巨大化した結束バンドの中腹が、全く動かず押し返すゴールテープのように、ただナックの腹を……たった今押した。
その勢いを少しも殺さなかった。
恐らくは攻撃を阻止されて驚いたナックが、多分そんな表情のまま押しやられて背後の壁に激突したことだろう。
ビーズを大窓に近付けられたので、四階の床の端に立つ。そして眺めた。ナックはすぐそこに伸びていた。
――終わった……のか?
最後のこの結束バンドでナックの脚を拘束していく。それが終わればユズト様を追い上の階へ――向かうと決めた。
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ベレスさんが相手の拘束を順調に進めているのを見て、自分はほかの様子を見るべきだろうと思い、より上へと……五階へと駆け上がった。
五階のガランとした空間に、倒れている男を見つけた。緑髪の男。息は? と確認してみる。どうやら気絶しているだけだ。
それならと上の階へ向かった。
六階――には誰もいない。そう感じて更に上へ。
七階には三人の姿があった。ドナさんとアデルさんと黒髪。
黒髪は動かない。全員の無力化が終わっていると知った時、声がした。
「私、アデルのことも失いたくないよ」
「解ってますよ……。大事に思われて、光栄です……」
「早く病院に――」
そう言ったドナさんがこちらを振り返るように見た。
涙目のドナさん。敵かと思って僕を見たのだろうその顔に最初にあったのは怒りや恐怖で、今は、安心と悲しみ……
「全員、行動不能にはできました。急いで拘束して急いで運びましょ」
こちらがそう言うと、ドナさんが「ええ」と頷きながら手で涙を拭った。
全員を三階に運び、ハーミットともベレスさんとも合流。
「よし、じゃあ」
フィンガーズが持ってきた拘束パーカーで彼らを拘束していった。まさに皮肉だ、自分たちが捕らえられるとは思ってもいなかったんじゃないか……そんな気がしてしまう。
彼らはバッグも持ってきていた。何が中に……とジッパーを開け、覗いてみた。
入っているのはショベル。それも五個。
――そんな気はしたよ。本当に最低だな。
すっかり大人しくなったハーミットと一緒に、彼らと証拠品を運ぶ。ドナさんの八角形の鏡のゲートで、まずは、礎球へのゲートが開く鳶木公園脇の芝生い茂るあの林へ。
白いリンクゲートを通ったら、ベレスさんが言った。
「シミーズ市警察署へ」
ドナさんのゲートがまた開いた。その行き先をベレスさんがまず確認した。恐らく、通行人や車の通りがないか確認した、ということだろう。安全だと知ってから通り、署の前に到着。
ゲートが消えてから提案してみた。
「明け渡しは僕らでやれますよね。二人は病院に」
「ありがとう」
ドナさんがそう言って新たなゲートを開け、アデルさんと共にここを去った。
それが閉じてから、何かあったと察知してか、白シャツに紺の上着の男性が駆けてきた。上着には黒のラインが袖と襟に入っている。ネクタイとズボンが深緑。多分制服だ。
前に病院で見た制服とは違う。あれは重装備に見えた。目の前のこれは軽装。
駆けてきた男性が口を開けた。
「え、彼らは? フィンガーズじゃないですか、ジオガードの」
「ええ、そうです」とはベレスさんが答えた。
「なんで縛られてるんですか? あ、ブルケムス・ハーミット! 彼を捕まえて……なぜこんなことに?」
答えようとした。それを別の声が止めた。
「手柄を横取りしようとしたんだ! こいつらが! 俺たちは返り討ちに遭っただけで何も悪いことはしちゃいない!」
青髪の声だった。
「それもこれも、あんたたちが用意しただろ、なのにそう言うのか?」
と、こちらが問うと、青髪は、
「何のことだ。バッグを持ってきたのはお前らだろ! この拘束パーカーも!」
と必死に無実を訴え、なすり付けてきた。
さっきよりも疑問を呈した顔で、制服の男性が聞いてきた。
「待ってください。じゃあ、フィンガーズが貶められようとしているんですか? これは――」
「いや、違います。彼らが言い逃れをしているだけです」
僕にはこれ以上言えることはない。ジオガードと警察の関係性についてよく知らないし、彼らのやったことの――礎球での――証明方法が、地球のやり方と同じとは限らない。似ていても、どこかで誤解を生むかもしれない。
と何も言えずにいると、ベレスさんが。
「彼らの捕まえた犯人の被害者を調べてください、共通した何かが見付かると思います、傷跡、もしくは……遺体が見つからない、など……監視カメラの死角での出来事だったり……。現物はあります。あの中にあるのはシャベルです。拘束パーカーも、常に予定より多く持っていた可能性があります、今回そうでしたから。放っておけば繰り返します。だから捕まえました。私たちは逃げませんので、ぜひ照合を」
「わ、解りました、では、指紋、事件と照合しますので、そこで……本当にそこで待ってくれます?」
「ええ、本気でやればそんなに掛からないと思いますので、のんびり待たせて頂きますよ」
ベレスさんが署の入口前の階段に座った。隣に僕も。
……そして三十分後。
「バッグの中の指紋はほとんどが彼らフィンガーズのものだった」
さっきの男性が上司然とした男性を連れてきた。その男性が言った。そして続けた。
「彼らが過去に担当した二十数件のうち、とある一件では彼らの異常行動が発覚した。ほかに被害が出ないような人気のない所で指名手配犯を逮捕しようとしてし切れず、犯人による殺害の被害者が新たに出てしまい、捕まえようとするあまり犯人を死なせてしまい、犯人死亡にて事件終了……とのことだった。が、その場は、近くの店のために設置されている監視カメラに直接映らない所だった、被害者を殺したのが犯人というのがフィンガーズのメンバーの証言でしかない、当時からその証言が信じられていたが……監視カメラには映っていないように見えるが、映像内の車の側面に本当はうっすらと映っていた、人質もろとも手配犯を殺したのが――そして二人を運んでいるところまでもが」
「なっ……」
「恐らく、ほかの件でもぼろぼろと出てくるでしょうね。お手柄です。どうもありがとうございました」
「いえ」
ベレスさんの返事を聞いてから、目を向けてみた。フィンガーズの連中は驚きや悔しがる顔、といった感じだ。ざまあみろだ。
さて。と去ろうとしてから思い出した。
「ああ、そうだ、これ、その……青い髪の人が礎術に使ってた指輪です」
ポケットから取って差し出すと、詳しく話してくれた男性が受け取った。
「大事な証拠ですね、預かります、どうもありがとうございました」
「あー、ほかの武器の回収とかは、します?」と僕が聞くと。
「地球にあって不自然でなければ特には……ただ、何かに関わるだとか特別な理由がなければ――」
――そうだったのか。よかった。吹き飛ばしたチェーンなんてどうしようかと思ったし。
「あ、じゃあいいです。じゃあ僕らはこれで」
「ええ。ありがとうございました本当に。最初はうちの者が疑ってすみません」
「いえ。では」
互いに一礼して、背を向け合った。
さてこれから帰る前に病院に寄ってみたい……が、ドナさんはどこの病院へ行ったのか、そこへ僕らはどうやって行けばいいのか、そこを悩むことになった。
そんな状況を予期してか、数分後、人の邪魔にならないようになのか上空に一度現れたのであろうゲートが、目の前にスーッと移動してきたのが目に映った。
その向こうにドナさんがいた。彼女が包帯を巻いた手を振る。
僕らはそこへ向かった。
病院は静かだった。急患が手術をされたりするような静かな待合室の雰囲気だけ。まあすっかり夜だし……と思ってから聞いてみた。
「そういやあっちもこっちも真っ暗だ、今思ったんだけどあの廃墟で念のため置いたライト、どうします? 回収は――」
「こちらでやるよ、州知事の娘としての、私と、お父さんの部下のみんなで」
「そっか」
ドナさんは肩にも包帯を巻かれている。
そういえばアデルさんもだ、と思い浮かべた。アデルさんも負傷して少々痛そうにしていた――
聞いて知った。背中を怪我したということだった。
ここまで怪我人が出るとは。やっぱり相手がそれほどではあったという事か。こんな状況にならないように何かほかにできなかっただろうかと、つい考えてしまう。もし、ドナさんの身にもっと危ない事が起こっていれば……
「僕の近くにいても危なかったし、『隠れてて』って言えたらよかった」
「そりゃできたらね? でもあんな一瞬で汚職を見抜いて考えてあれだけできただけでも凄いのよ? もし私たちが仲間を意識しすぎて戦えなかったら……もし連携されて初手から不意を突かれていたらどうなってたか」
「そうですよ、それに私も救われました」
そこでアデルの声が聞こえた。
「俺も、大した怪我ではないですよ」
背中を縫われて戻ってきた彼も含め、みんなで座って話す。待合室にはほかに人がいない。
――大事ではあったけどね……絶対、数日安静だろうな。
「もしかしたら、誰かがやられて、その結果私がやられそうな時に助からないなんてこともありえた。一番よかったのかもしれないよ」
と、ドナさんが言った。
「そうかな……」
うまくやれた感はあまりない。だけど、みんなが生きている。今はそれが嬉しい。
でも。もしかしたら取り返しのつかない怪我をドナさんがして、辛うじて僕が助ける、なんてこともありえたかもしれない。
――更には辛い意味での救いを……という可能性も……あってほしくはないけど……コレはその印なのかも……
自分の手を見た。左手のひら。ドナさんの礎術による探される対称としての印が……まだある。
「でも、ホント、みんな無事でよかった」
みんなに対して、最近やっと砕けた話し方ができそうな感じがしていた。そんな僕の声を聞いて、ベレスさんが言った。
「不甲斐ないです。相手がジオガードとは言え。それにあんな人たちだったなんて……! そんな人たちと解って戦いながら、私は……あんな……。あまりにも弱かった、私は……」
「そんなことない。十分だよ、それにベレスさんの方がよっぽどジオガードだった。そういうコトでしょ?」
僕はそう言って反応を待った。すると。
「いえ……私なんて……」
そこまで思い詰めるベレスさんを見て、思うことがあった。
「相性もあるし、経験の差もあったよね、きっと。彼らが得意なのは強引な戦い方で、一発一発の重さとか瞬発力とかが凄かった……そりゃそうだよね、今まで前線で戦ってきた人たち――ではあるんだから。そういう事でしょ? まあ僕は予想しながらだからか、戦えたけど……でもさ、ベレスさんは部下として警備とかばっかりで、そういうのが、その……あまりできていなかったりしていたら、その差があっての、この結果なのかも? って思えるんだけどさ。もしそうだとすると、それって逆に凄くて、これからに希望が湧くかも? なんて……僕は、そう思った方がいい気がしなくもないよ、って思うんだよ」
思い知ること、気付くこと自体はいいことかもしれない。でも思い詰め過ぎていると思った。
だから希望の光みたいなものを見てほしかった。
この言葉が届いていたらいいんだけど……――
「ん? もしかしてベレスさん、ジオガードになりたかったんじゃ……。というか今も」
「……わ、私は……」
ベレスさんが、何か言いたそうにして、やめた。迷っているようにも見える。
言葉を待ってみた。
するとベレスさんが、遠くを見ながら紡いだ。
「兄は、なりたがっていました。でも、ある日大怪我を負って、義足生活をするはめになっていて……私がそれを知った頃には、兄はもう別の夢を追っていて……。だからという訳じゃないですが、憧れは元々あって、より強くなっていた気がします。でも、リーダーシップを発揮できず、チームを組むのもその中で立ち回るのもうまく行かず……ただ黙々と従うことでしか自分を保てない……だから私は人の部下になると決めたのです」
「それでお父さんの」
ドナさんが言った。
ベレスさんも、そちらに若干顔を向けたりする。
「ええ。……そんな私に、ジオガードの資質なんて……」
「そんな。酷く思うことなんてない」
僕はそう言ってから、何かがピンと来た。自分の中で、何かがしっかりと填まったと言ったらいいのかな、そんな感じだ。
「解った。僕、解ったよ、自分がやりたいこと。それは少なくともベレスさんのためにもなる」
「……?」
「僕、ジオガードになる。目指すよ、だから、ベレスさん、もしなりたかったら、僕のチームに入ってよ」
「い、いいんですか? こ、こんな私でいいんですか?」
「いいんです、そんなベレスさんだからこそ。今日の彼らの考えを否定していたベレスさんだからこそだよ」
「ユ、ユズト様……あ、ありがとうございま……っ!」
最後まで聞こえなかったけど、それは、信頼と感謝の声で間違いない。これは絶対だ。
ベレスさんには夢がある。あんなジオガードがいたくらいだ、これは、敵わない夢じゃないはずだ。




