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ウニ食べたい!  作者: ふくろう
2/6

2話

誰も踏みしめていない 新雪の上 歩き出す勇気

それでも私は待っていた

私の手を引っ張ってくれる人を 引っ張ってくれる手を

前回のおさらい

誰か来たね

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「すみません でかけるので、内容は聞きますけど

 もう一度来てもらっても・・・」

ハルは謝罪しながらドアを開け放つが

来訪者の姿を見て、言葉が続かなくなってしまう


「お前が 杉流 春斗だな 私は明坂 陽美子という名前で

 お前の上司になるものだ」

そこには、仁王立ちの小学生が立っていた


ハルは無言のままにドアを閉めようとするが

「それはもう体験済みだ」

少女は靴を素早くドアの隙間に差し込んでくる。

その場にガチンという音が響く


やたらと固い感触は、少女の差し込んだ靴が安全靴だからなのだろうか

ハルは、ドアを閉められないでいた


「ちょっとキミさぁ 室長の可愛すぎる御足がドアに挟まれたら

 痛い思いをさせてしまうかも・・・とか思わなかったわけ?」

ドアの上の方に手を差し込んで、無理矢理開こうとする女が怒鳴りこんでくる


「香菜 私は二度 同じ失敗をしないよう

 常日頃から、心掛けているから 大丈夫だぞ」

再び仁王立ちの体制をとる少女が

見上げるようにドアを閉めさせない様 動いていた女に言い放つ。


「ですが室長・・・」

まだ少女の事を思う気持ちを、納得させられないと

香菜と呼ばれた大女は食い下がる。


「香菜 私を思ってくれるのは嬉しいが

 お前は笑っている時の方が何倍も可愛いのだから

 あまり怒った顔をみせてくれるな」

少女の可愛いと言う言葉に嬉しそうな反応を見せる大女

彼女は、ドアをこじ開けようとする力をソッと弱めた。


「やはり突然押し掛けると言うサプライズは

 あまり喜ばれないようだが

 今後は、控えた方が良いと思うかい?」

少女の尊大な物言いは続いたが


「そうした方が良いと思います」

ハルも何故か正直に答えてしまっているのだった。


「わかった ありがとう」

少女は素直に理解を示し感謝を述べる。

その笑顔に、ハルは不覚にも少し可愛いと思ってしまっていた


そして

「今から御社に伺うつもりでしたので

 迎えに来て貰えたと、思っても宜しいでしょうか?」

ハルは、普通そんなことあり得ないだろ・・・と

内心でツッコミをいれつつ訪ねた。


「迎えに来たことに相違はないのだが、それプラス

 ハードの方はPS4だけか?

 他にも有ったら、見せてもらえると

 話がはかどると思ってな」


デスクと軽作業がメインの仕事って書いてあったはずなのに

どうしてゲームのハードの事ばかり、聞かれるのか納得はできなかったが


「PS2は妹にあげてしまったので

 あとはPS3だけですが、長い間使っていないですね」

ハルは正直に答えた


「なるほどスイッチみたいな別機種は持ってないと・・・」

何かを考える少女

「急がなくて良いから、PS3も持ってきてくれないだろうか

 もちろん帰りも送らせてもらうので

 移動の心配はしなくていい」と付け加えた要求を出してくる


「それは構いませんが、それが仕事と何の関係が有るのか

 聞かせてもらっても宜しいですか?」

ハルは、とうとう我慢しきれなくなり

確信に迫る質問をしていた


「詳しく教えることは出来ないが

 貴方の為であるとは、はっきりと言ってやろう」

やけに自信満々に話す少女に、無理矢理納得させられる形で

今度はPS3のハードのコードを、ハルは抜きに戻っていた


「なんだか働くことが決定している流れにのまれてるけど

 これで良いのか?」

なかなかに特殊そうだし、見学だけで断ろう

ハルは、見学したあとの予定を考えながら

PS3の入った鞄を担ぎ、玄関で靴を履く。


ドアノブの前に立ち一呼吸

再びあの激流に飛び込む覚悟を決めると

ドアを開けた。


「おはようございます 杉流春斗さん

 私たちのお仕事は、説明で聞くより実際に見てもらった方が

 ご理解いただけると思うので、早速参りましょう」


ヒラヒラのドレスに着替えた少女が

先程までの尊大な態度をとる少女とは、まるで別人のように

優雅にハルを見学に連れ出そうとしている


ドアを開けたままのハルは、無言のままドアを閉める

一応、足が挟まれてないかのチェックはしつつ。


「あれ?さっきと服装違うんだが?」

ハルには、正直いって意味が分かっていなかった


「だから言ったではないか、服装は変えなくてもいいって

 靴も、安全靴じゃないから挟めなかったし

 このまま彼が出てこなければ、変人扱いで終わってしまうぞ」

ドアの向こうで、少女が取り巻き達を怒鳴り散らかしていた


「でも すごく可愛いですよ?

 無駄にしないために、記念撮影しましょうか」

取り巻き達が、一斉にカメラを構えているらしく

急に静かになったかと思うと

シャッター音が重なって聞こえてきた


「室長 白いフリル付き傘とか持ってみませんか?」

「うわ、香菜 お前どこからそんなもの持ってきたんだよ」

「いえいえ 私は、最初から考えていたことですので」

大女と少女のやり取りの他にも

「室長 私の方にも笑顔を向けてほしいです」

人数が増えて、撮影会が始まっているようだった。


「あのー すいません 他人の家の前で

 撮影会とか止めてもらっていいですか?」

ハルは少し静かになった瞬間を狙って

ドアを開けて注意しようとするが


「ちょっと今ドア開けたら、光の感じが変わっちゃうから

 もう少し待って」

誰とも判らない取り巻きから、叱責を受け

すいませんでした・・・と、ハルは思わずドアを閉めてしまう


「・・・ ・・・」


何故、そんなリアクションを取ったのか

解せないまま数分待ったあと

迷惑受けているのはコッチだろと、注意すべく

毅然とした態度で、ハルはドアを開け放った


「杉流 春斗さん、準備は出来ましたか?」

先程までの撮影会など、まるで無かったかのように

少女が燐として立っている。


理解が追い付かず

非難すべく開けられた口はパクパクするだけ

なんとか唾を飲み込むことは出来たが

「はい」ハルは素直に従うことしかできなかった。


「では乗車をお願いします」

少女に車に乗るよう促され

促されるがままに車に乗り込むこもうと近づく

雑にならないようにハードを入れた鞄をシートの上に置くと

その横に、静かにハルは座った

頃合いを見計らってか、車が動き出す


「先程は申し訳ありませんでした

 少し、騒がしくしてしまったこと 謝ります」

少女が率先して頭を下げると

その横の大女も頭を下げる


「あっ いや あの大丈夫です。 気にしないで下さい」


車は住所通りの方向に向かって走る

朝の通勤ラッシュは少し前に解消されていたようだ

スムーズに車が走っている


そんな車内は誰も何も話さず

気まずさすら感じる空気だったが

大女のスマホに着信が入る


少女に視線で許可を求めると頷き返されたので

「では失礼致しまして」

ここでようやく 一番の部外者であるハルにも

最低限の配慮が成される


大女は スマホを操作して

耳にあてがい 会話を始めようとする


「こら 香菜

 アンタまた室長と出掛けよっとちゃろ?

 何で 私も連れていかんとよ?」

突然の怒声に大女はスマホを耳から遠ざけていた


「か~も 本当 寂しかとよ

 私も一緒に行きたいっちゃ 知っとるはずやがとに

 私ばっかり除け者にして あ~寂しい も~淋しい」

やや福岡訛りの混ざる声で騒ぐ通話相手だったが


「フィー・・・ 何時ですか?」

先程までの勢いが完全に無くなり

香菜のたった一つの質問に答えることが出来ないらしく

「何時ですか?」

もう一度 静かに問いただされると


「すいませんでした・・・」

スマホの向こうからは

すっかりと牙を折られた子犬の様な声で

謝罪を表明する言葉が聞こえる


「あとで少々お話をしなくてはなりませんね」

静かに しかし威力は絶大な宣告を与えて

香菜はスマホでの会話を打ち切った。


微かに もう一度謝罪する声が漏れて聞こえた気がするが

フィーと呼ばれた通話相手に、同情の念を送るしかなかった


通話を終えた香菜は

「平和です 問題ありません」

少女に、そう報告していた


「少しは、手加減してあげてね」

毎度の事なのか、少女も特に気にしている様子もない


その後

到着するまでは、特に会話などはなく静かだったが

四方から視線を向けられているようで

ハルは居心地が悪かった


そんな状況の中

車は、地下に有るらしい専用駐車場に入っていく。


「あのすいません

 住所がココになっているのは、分かったのですが

 このビルの何階になるのか聞いても良いですか?」

窓から見えた大きなビル

こんな建物に入るくらいの会社なら、大手なのかもしれない

そんなところに 自分が中途採用で採用はされないだろう

開き直った気持ちで、ハルは訪ねていた


車は、ハルの答えを待たずして停まる

シンとした静けさの中


「君の部署は、地下と最上階のどちらかだ」

香菜と呼ばれた大女が答えてくれた


「地下か一番上って、また極端ですね

 ちなみに その間の階層に配属されるなんて事は?」

答えの内容に不安しか感じられず

一応 別の道も聞いておく


「何も不安がることはない 今からきちんと説明するが

 簡単に言うなら、地下と最上階がスタッフルームだ

 そして それ以外の階層は、担当部署が違うのだ」

  

車は、外から扉を開けられ

促されるがままについていくハル

説明は続く


(終わり)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


姿は見えぬが 影は濃厚

謎の美少女  ふ た た びぃ~


今回も私の出番はココだけね

でも、存在感ばっちりだから 今は我慢するね


では 今回のおさらいね

ハルが 気になる会社に電話を掛けたら

迎えに来てくれたね

スゴいね 最近の就職事情は 働き手に優しいね

・・・と思っていたら、家の前で撮影会が始まったね

ばえってやつね 私 流行詳しいね

因みに 今年の夏はサマーサファイアがお勧めね

おっと、話がずれてしまったね

時間も無いみたいだから一気にいくね


車にのって 会社について 説明を聞きに行くね

どんなお仕事なのか とても楽しみね


今回はここらで お開きね

私も早く 皆さんとお会いしたいので

また見に来てね


以上 まだ姿の見えぬ美少女のコーナーでした~

ばいばい~



全然中途半端ですが毎週日曜日(時間は毎度違います)に、600文字前後書き増していく予定なので

続きを読んでもいいと思ってくださるなら、月曜日に見に来てください

文章が下手なので読みにくいかもしれませんが、暖かい目で見守っていただけるなら幸いです

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