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【蘇生スキルで世界最強へ】 無能だと思っていたスキルが進化して最強になりました 〜蘇生スキルを手にした俺は蘇った仲間たちと共に冒険者ライフを楽しんでいく〜  作者: ああああ
第二章 叛天の黒覇龍

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吸血王 VS 黒覇龍


満月の光に照らされて淡く浮かび上がるブエナ平原。その一部はラングラント王国の中でも極めて広い牧草地帯であり、厳重に管理されたその場所は王都の牧畜業の大部分を担う重要な拠点であった。

夜間の盗賊や魔物の影響により人気ひとけは無くなっているが、普段は冒険者や商人たちが行き来する活気のある場所となっている。


そんな月明かりに照らされた大草原を、二つの影が横切った。



「やはり飛べるというのは便利じゃのぉ」



片や黒髪金眼の龍人族の少女。その褐色の背に生えた黒翼を使って悠々と空を飛んでいる。



「………………」



片や銀髪赤眼の吸血鬼の美少女。その白磁器のような白き背には血の粒子によって形成された翼があった。

両者ともかなりの速さで飛行しており、ブエナ平原の上空を気持ちよさそうに進んでいる。



「してクルエラよ。我は一つ気になることがあるのじゃが……」



「…………風で…………聞こえない」



「わぁぁれぇぇはぁぁ!気になることがぁぁ!あるのじゃがあぁ!?」



「………………やっぱり、聞こえない」



「お主わざとじゃろ!?吸血鬼は耳がいいはずなのじゃぁぁあ!」



飛びながら身振り手振りで事を伝えようとする小さな龍人を見て、吸血鬼はクスリと小さく笑った。



「…………で、気になってることって何?」



「やはり聞こえておるではないか!……ぐぬぬ、我が無理やり誘ったことへの当て付けなのか!」



「別に…………本当に聞こえ辛かっただけ」



「うぅむ、まぁそんなことはどうでもいいのじゃが。クルエラよ、お主自分がどうやって死んだかは覚えておるか?」



妙に真剣な顔をしているリノの問いに、クルエラは少しだけ考える。しかしすぐに首を横に振った。



「ない。最後の記憶はモーラスの丘」



「我はロドカロアじゃ」



「また悪さしてたの?」



まるで射抜くような視線を向けるクルエラ。



「ちちちち違うのじゃ!ただ腹が減っておったからな!?悪いことはしておらぬ!」



それに射抜かれたように動揺するリノ。



「リノは悪い子」



「やめるのじゃぁ!」



首をブンブン振り回し、空中を暴れ回って抗議し始める。その様子を眺めながら、クルエラは不意に立ち止まった。それに気づいたリノも旋回しながら彼女の元へと戻る。



「確かに、どうやって死んだかはわからない……」



「我はともかくクルエラは不死のはずじゃ。記憶が無いのも怪しい気がするが…………我も死んでいた事に関してはなぜか認識しておるが、その付近の記憶はない」



「ん…………でもさほど気にならない。思い出せなかったらそれまでのこと」



「むぅ、己が死んだ原因に疑問を持つのは当然の事だと思うのじゃが…………」



呆れたようにため息をついたリノは、しかし自身の発言と反して少しだけ神妙な表情をするクルエラにそれ以上深くは追求しなかった。


両者は再び進み始めるとお互いに無言でブエナ平原を縦断していく。幾許いくばくもぜずに目的地であるフェブル山脈が見えてきた。



「ふむ、ここがカインの言っておった場所か。確かに人の気配はなさそうじゃな」



黒い龍翼をはためかせながら、彼女は満足そうに地面へと降り立つ。



「ここなら問題ない……と思う」



その傍らで真っ赤な血翼を解除するクルエラ。



「くっくっく……力は抑えられておるが、久方振りに本気が出せそうでワクワクするのじゃ!」



絶えずせわしなく動き回り、準備運動を始めるリノ。それを横目にクルエラも静かに呼吸を整えていた。


遠くから乾いた風が吹き荒れ、両者の頬を撫でる。平原を凪ぐ草のが心地よく響き渡った。

もはや言葉はいらないのか、互いにしばし見つめ合う時間が続く。

先にその静寂を破ったのはリノの方だった。



「クルエラ、死ぬでないぞ」



「冗談言わないで。血斬剣ロクトエーチ



その剣の出現が戦闘への合図となった。

────爆発音とともにリノの姿が消える。



「…………っ!」



一瞬の風圧。懐に潜んできた脅威。リノの腕が唸り、剣を構えるクルエラの腹部を狙った。


────ギンっ!


鈍い金属音が鳴り響く。剣によって防がれた拳は、しかし再び方向を変えてクルエラへと襲いかかる。

────左、右、一拍置いての回し蹴り。

それを剣の腹で全て受け流していく。絶えず繰り出される連撃により、徐々にだがクルエラがされ始めた。



「相変わらずの力……」



「まだまだなのじゃ!」



迫り来る下段蹴りを少し飛んで躱す。しかし宙に浮いた彼女の体にリノの一撃が決まった。剣で受けるが耐えきれずに吹き飛ばされる。


────バキッ!


血剣が折れた。その隙を逃さずリノが飛び、クルエラへと迫る。



「……純血硬剣アンロクト・エーチ!」



頭上から振り落とされた蹴りを、クルエラはなんとか剣で受け止める。

その衝撃で地面が割れ、彼女の足元が揺らめいた。そのたった数瞬の歪みを、その致命的な硬直をリノは見逃さない。

再び姿が消え、背後に迫った黒い影。繰り出された右手の一撃は的確に彼女の右腹部を捉えていた。



「ぐっ…………!」



吹き飛ばされながら痛みで顔を歪めるクルエラに、休む間も与えずリノは突進する。

────手刀、上段蹴り、掌底、突き、繰り出される攻撃は全て致命傷となりえる威力を秘めている。



血堅盾ロクトウルド!」



不安定な体制のまま更に続く連打の隙をついて、クルエラは盾を出現させた。血のように赤く物々しいそれは、彼女の上体ほどの大きさもある。



「そんなもので我の一撃は防げぬ!」



しかし次の瞬間に盾は大きな音を立てて砕け散った。振り抜いたリノの拳には一筋の血が流れている。



「まだ終わりじゃない、血重槍(ロクトランサ)連連大衝(グラール)



一歩引くことに成功したクルエラは左手を空に掲げる。血の粒子が槍の形を成しながら幾重にも連なり始めた。それと同時にリノが飛ぶ。



「完成する前に壊せばいい話なのじゃ!」



次々と出現する血槍をことごとく破壊し尽くすリノ。その砕け散った血の破片は辺りをきらめかせ、一瞬だけだが彼女の視界を狂わせた。


クルエラが右手を突き出す。



「……エーチランサクタルスバールフォルス────血系展開けっけいてんかい



彼女の指先から血の粒子が溢れ出し、それは数多の武器へと変化していく。そしてその矛先を対象へと向けていった。



「行け」



号令によって動き出した武器たちは物凄い速さでリノへと襲いかかる。



「なぬっ!?」



反射的に初撃の剣を防ぐが、背後からの攻撃にリノは対応できず軽く負傷した。しかし間髪入れずに槍や鎌、血の弾丸が迫り来る。



「小癪なァ!」



勢いに身を任せて迫り来る武器たちをがむしゃらに打ち壊していく。全方位から数十もの武器による波状攻撃が確かにリノを傷つけていた。しかし傷を負いながらも一心不乱に彼女は捌いていく。

そして最後の剣を砕いたところで、リノはあることに気が付いた。


────クルエラが目の前にいた。



王血殲天砲エルロクト・スタビリオン



まばゆい閃光がリノの視界を覆う。それは異常なまでの輝きを放つ血の波動だった。圧縮された膨大なエネルギーは絶えずほとばしり、クルエラの右手へと収束されていく。



「なっ…………!?」



死んだ、とリノは本能的に思った。この距離だとまず避けられない。それでも最後の抵抗をするように腕を交差させ、ぎゅっと目を閉じる。


しかし次に来たのは眼前の驚異ではなく頭部への小さな衝撃だった。驚いて思わず間抜けな声を漏らすリノ。目を開けた彼女はクルエラに額を指で弾かれたのだと理解した。



「もう、これで終わり…………疲れた」



「ほ、本気で死ぬかと思ったのじゃ!」



「…………ごめん、やりすぎた」



傷だらけのリノを見て、申し訳なさそうに謝るクルエラ。対して彼女の体は先程の傷が嘘かのように消えている。



「あやまるでない!流石はクルエラなのじゃ!我をここまで追い詰められるのはこの世でお主一人だけじゃろうな!」



「あんまり嬉しくないけど……」



至極興味なさげにそう呟くクルエラは、よく見ると肩を大きく上下させていた。珍しく息が荒い。その様子に気付いたリノは心配そうな表情をする。



「流石に血を使い過ぎではないか?」



「…………あなたが相手だから」



「それは光栄な事じゃが……」



しかしこれ以上心配するなと、そんな雰囲気で後ろを振り向く彼女に、リノはそれ以上何も言わなかった。




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