表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽園地アヒルファイターズ  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第一話『激走!! アヒルファイターズ』
9/10

#9

 ここを越えればきっとゴールがある、そう信じて彼らは気力を振り絞る。


「「ぬおぉぉおおおおおおおおおおおおお‼」」


 野太い雄叫びと共に桃次郎とレッドフレイムが足を踏み出す。斜め前方を見るとイエローボルトがふらつきながら坂を登り切っていたところだった。


「いけーー! イエローボルト!」

「桃次郎! もう少しよ!」

「負けないで! レッドフレイム!」


 いつき達も激アツのラストスパートに熱い声援を送っていた。


「これ・・・・・・で、坂も・・・・・・終わ・・・・・・・・・み、水ぅううううううう‼」


 やっとこさ坂を登り切ったイエローボルトの目の前にはゴール・・・・・・ではなく、給水エリアの水飲み場が設置されていた。爆発寸前の心臓、マグマのように煮えたぎる血液、ガクガクブルブルと痙攣する全身の筋肉。今のイエローボルトには目の前の水飲み場がキラキラと輝くオアシスに見えた。

 勢いよく水飲み場に飛び込むイエローボルト。ゴールは水飲み場と目と鼻の先にあるが、限界を迎えた肉体の前ではゴールより、目の前の水。


「おおーーーーい! イエローボルト! マジかよー! 走れ! 走れ!」


 いつきの父親はイエローボルトに檄を飛ばす。


「桃次郎! いまよ、今のうちにゴールして!」


 いつきの母親は隣の夫にニヤリと笑いながら、桃次郎を応援する。しかし桃次郎も坂を登り切って気力が切れたのか、目の前のオアシスに勢いよくダイブした。

 これにはいつきの母親も桃次郎が水飲み場に張り付く光景にガックリとうなだれた。

 桃次郎から遅れて、レッドフレイムもフラフラと坂を登りきり、顔を水飲み場に突っ込む。


『地獄の坂の後のオアシスには絶対に誰も逆らえない! イエローボルトも桃次郎も・・・・・・そして少し遅れてレッドフレイムも、水飲み場に首を突っ込んだ!』


「レッドフレイムーーーー‼ 頑張れーーーー‼」


 それでもいつきは諦めない。最後までレッドフレイムの勝利を信じて応援する。

 レッドフレイムもイエローボルトも桃次郎も、水飲み場から動けないらしい。イエローボルトと桃次郎は、力なくだらんと水に浮かび、レッドフレイムも指一本すら動かせないでいた。

 しかし突然、レッドフレイムが水飛沫を上げて水面から顔を離す。


「・・・・・・・・・・・・」


 レッドフレイムは無言のままフラフラと立ち上がり、よろけながらゴールに進む。その姿は何度やられても、諦めずに立ち上がり続けるヒーローのようだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ