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65.出立★

 それから色々と旅支度をした俺達は翌朝、メルチアの東門の前に集まっていた。


「それでは、行ってきます」

「楽しみに待っててねー」

「頼んどいてアレですけど、危なそうだったら中断してくれて構いませんので。鎮魂祭には来年出してもいいですし。どうか、安全第一でお願いします」

「もちろんです」


 そうしてデシレアに見送られメルチアを発った俺達。

 見通しがよく魔物も弱い平原を小走りで通り過ぎる。

 高《パラメータ》の恩恵もあり、森には息も切らさず到着した。そこからは警戒を引き上げて進んで行く。

 マロンも《潜伏》を使わず気配を全開にしているためか襲撃はほとんど起こらず、浅部を抜け深部へ。

 かつて犀の変異種、《クラッシュライノ》と戦った辺りまで来て小休止を挟む。


「順調だね」

「そうだな」


 ここまでの旅は本当に、何の問題もなく進んでいた。

 いつもより多い荷物も《パラメータ》の力でほとんど気にならない。


「じゃあ、そろそろ行こうか」

「ああ、頼んだぞ、チョコ」

「グラァウ」


 首を縦に振るチョコの背にマロンが(またが)った。

 翼を広げて飛び立つチョコに続いて、俺も《称号》効果で飛行を始める。

 森の木々が足元を流れて行き、クレン山が迫って来る。


「やー、気持ちいいぃねぇー!」

「楽しそうだな」

「まあねー! おとぎ話の竜騎士みたいに、ドラゴンに乗って空飛ぶのって夢だったんだ」


 リュウジ君とパーティー組んだのも《双竜召喚》って《スキル》を持ってたからだし、と冗談めかして付け足すマロン。


「……」


 《鑑定系スキル》を持たないマロンが俺の《スキル》を知っているはずないので冗談だろう。

 ……いや、フレディやユーカ辺りから聞いたのかもしれないな。


「あ、チョコちゃんチョコちゃん、あんまり高度上げないでね」

「グルァ」


 その会話の通り、俺達はあまり高度を取っていない。学校の屋上くらいを進んでいる。

 遠距離型の変異種の射程内ではあるが、他人の《スキル》任せで飛行するのは怖いというマロンの言い分には一理ある。

 マロンの身体能力ならよっぽど高くから落ちない限り大丈夫かと思われたが、巨大樹エリアでの様子を見るに、まあ、そういうことなのだろう。

 誰にでも得手不得手はあるのでそこに突っ込むのは野暮だろう。


 さて、そんな風に飛行をしているが、魔物の襲撃は依然ない。今の内に《ステータス》を確認しておこう。


===============

人間種―魔人 Lv58

個体名 リュウジ

職業 風魔銃士 土魔銃士 火魔銃士 光魔銃士 水魔銃士 闇魔術見習い

職業スキル 魔風の銃弾 魔術強化 儀式魔術 砲術強化 火器強化 魔土の銃弾 魔火の銃弾 光魔術強化 魔光の銃弾 魔水の銃弾 闇魔術強化


スキル 剣術(下級)Lv1 体術(下級)Lv9 砲術(上級)Lv4 棒術(下級)Lv7 風魔術(上級)Lv8 土魔術(上級)Lv4 火魔術(上級)Lv1 光魔術(上級)Lv3 水魔術(上級)Lv4 闇魔術(中級)Lv5 暗視Lv7 気配察知Lv8 職権濫用Lv4 双竜召喚Lv6 竜の血Lv--


称号 竜の体現者(ザ・ドラゴン)Lv5 迷宮攻略者Lv4 竜骨Lv3

===============


 《レベル》も《スキル》もまずまず成長している。

 《火魔術》が《上級》になったことで《火魔銃士》の《職業》も得た。

 《魔術系スキル》の中で《土魔術》だけ変化がないが、元々伸びが悪かったので何ら不思議ではない。《上級Lv4》は一般的には一人前相当の能力であるし、これからは気長に鍛えて行こう。


「山に入るよ」

「あぁ」


 少ししてクレン山に突入した。斜面に沿って高度を上げて行く。

 ここからは強力な変異種の領域、今まで以上の警戒を要する。

 気配を剥き出しにしている一際(ひときわ)強力な魔物を、マロンの《気配察知》で避けながら、俺達は山の上を飛んで行く。


「あ、あそこ、洞窟があるよ」


 彼女が指さした山の中ほどには暗い穴が開いていた。山は一気に通り過ぎる予定なので寄り道はしないが。

 さて、そんな風にして飛んでいるとあっという間に山頂を越えた。

 その間、襲撃はなかったので、案外、変異種達も大人しいのだなと安心していたのだが。そんな油断を察してか、山同士の合間にて突如、攻撃に見舞われた。


「七時方向、下からっ」

「〈スチールシールド〉」


 準備していた〈魔術〉で防ぐ。後ろからの攻撃を受け止めた鋼の盾は直後、茶色い蔦に巻き付かれて地面に落下していった。

 一体どういう攻撃だったのか、という疑問は脇に置いて先を急ぐ。

 俺達は旅の途中であり余計な消耗は避けたく、また、戦闘になると他の変異種も寄ってくるかもしれない。なので逃走優先だ。


 このまま追撃がなければ嬉しいのだが、そうはならず更なる攻撃が放たれた。

 しかも走り寄って来ているようで、発射地点がこちらに近づいている。このままでは振り切れるかも怪しい。

 二発目の攻撃を〈エアシールド〉で防ぎつつ、足止め手段を用意する。

 三発目を凌いだその場で〈上級魔術〉を発動させた。


「〈サイクロンローラー〉」


 目では見えないが、横倒しになった竜巻が眼下の山に落ちて行くのが魔力感知で分かった。

 竜巻のローラーに巻き込まれた植物達が、ミキサーにでも掛けられたかのように舞い上がって細切れにされ、グルグルと竜巻の一部と化す。

 そうして木々を取り込んだ竜巻が教室一つ分くらいの幅を耕して行くも、魔物には躱されたようだった。姿は木に隠され気配も捉えられないが、巻き込まれていれば俺の視力で見逃すことはない。


「右に避けたよっ」

「〈スプラッシュクラスト〉」


 《ビーストボースト》による補正がよほど強力なのだろう。《スキルレベル》は一つしか違わないのに、彼女の《気配察知》は敵の位置を捉えていた。

 指示に従い即座に放った水の散弾は、今度は無事に当たったらしい。ギシャァッ、といった感じの叫び声がここまで聞こえて来た。

 それに構わず俺達は飛行を続ける。


「追っては来ないみたい」

「それは良かった」


 どうやらさっきの被弾で諦めたらしい。あのまま戦っても負けはしなかっただろうが、無駄なリスクや消耗はしないに越したことはない。

 それ以降は特にアクシデントもなく空の旅は続いた。一度、鳥の魔物の集団が向かって来たりもしたが《気配察知》で実力差を察してか早々に引き返してくれた。

 そうしてクレン山を突破した俺達はその後もしばらく空を飛び、森の中の広場になっているところを見つけて降り立った。


「お腹空いたー」

「用意は俺がするから周辺警戒は任せたぞ」

「はーい」


 太陽の位置を見るに時刻はお昼過ぎ。お腹も減って来たので昼休憩だ。

 持ってきた食料を取り出しパパっと並べて昼食を始める。


「いただきます」

「いただきます」


 二人一緒に手を合わせた。警戒のためには交互に食べるべきかもしれないが、食事中も《気配察知》は発動したままだし、そもそも俺達にはミルクとチョコがいる。

 留まる時間が伸びるリスクも考慮すると、二人で手早く食べ終わった方がいいだろうとのことになった。


「ここって大体三分の一くらいだよね」

「ああ。近くに川の合流地点が見えたからそれくらいだろうな」


 『地図は、特に水場と人間の住む場所は絶対に暗記しておけ』というネグアの教えを忠実に守り、俺もマロンもこの辺りの地理は一通り頭に入れている。


「だよねだよね。これなら予定通り明日には着きそうだね」

「だな」


 そんなことを話しながらの食事を終えて。

 俺達は再出発の準備を整えた。


「ミルク、《若竜化》」


 一応、《若竜化》の存在は秘匿している──《迷宮》内でも他の冒険者の目があるときは隠している──が、ここらに村や町はない。心置きなく使うことができる。

 俺達は再度、空へと飛び立った。

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