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51.自信過剰★

「これで終わりかぁ。呆気なーい」

「まあ一昨日のレギオンに比べるとちょっとしょぼく感じるな」


 目の前で《ドロップアイテム》に変わりゆく区間守護者を見ながらそんな感想を言い合う。

 ここは第十五階層。鳥人の聖騎士が守護する階層だ。

 守護者の《レベル》は五十。単純な戦闘力ではカラスの鳥人を凌駕しており、剣技に〈魔術〉を織り交ぜ戦う強敵ではあった。

 ただ、結局は単騎でしかなかったため、マロンと若竜が足止めしつつ俺が〈魔術〉で援護するだけで危なげなく勝てた。


「あのレギオンのお陰で私達の《レベル》も上がってたからねぇ」

「それもあるか」


===============

人間種―魔人 Lv45

個体名 リュウジ

職業 風魔銃士 光魔銃士 水魔銃士

職業スキル 魔風の銃弾 魔術強化 儀式魔術 砲術強化 火器強化 光魔術強化 魔光の銃弾 魔水の銃弾


スキル 剣術(下級)Lv1 体術(下級)Lv6 砲術(上級)Lv4 風魔術(上級)Lv3 土魔術(中級)Lv7 火魔術(中級)Lv8 光魔術(上級)Lv1 水魔術(上級)Lv1 闇魔術(下級)Lv9 暗視Lv4 気配察知Lv7 職権濫用Lv4 双竜召喚Lv5 竜の血Lv--


装備 巌魔の首飾り

   シークレットリング

   ジェネラルヘルム

   スパークラークエンブレム

   遁走の蹄靴

   濡羽の王笏

   風魔術師の指輪

===============


===============

《濡羽の王笏》ランク5:装備者の魔導力を大きく引き上げる。装備者の風の魔術を強化する。装備者の闇の魔術を強化する。

===============


 レギオンは最高の《経験値》稼ぎになった。その他《スキル》も上がっているし、《装備品》には指揮個体の落とした《濡羽の王笏》が増えている。

 これが楽に勝てた要因の一つだろう。


「あとリュウジ君の強化(バフ)系〈魔術〉、あれも助かったよ」

「それは良かった」


 強化(バフ)系〈魔術〉は自身や他者を強化できる便利な〈魔術〉だ。《光魔術》が《上級》になったことで使えるようになった。

 まだ効果量はそれほどでもないが一助くらいにはなったようだ。


「じゃあ戦利品集めて帰ろっか」

「そうだな」


 諸々の用事を済ませて守護者部屋を出る。

 螺旋階段を下っていると前の方から聞き覚えのある声が聞こえて来た。


「はははははっ! 《魔道具》は凄いや! これがあれば僕だって──」


 見ればそこに居たのはセイル達だった。二日前の様子とは打って変わって大変にご機嫌である。

 彼の後ろにはげんなりした様子の剣士(ネグア)と呆れた様子の魔術師(エザー)がいる。


「あー、たしかに《魔道具》は強ぇが戦いでは何が起きるか分からん。慎重さは忘れずにな」

「大丈夫ですよっ。何が起こったって《魔道具》で何とかして見せます!」

「お、おう……」


 若干引き気味に答えるネグアだったが唐突に後ろを振り返った。


「おっ、そこに居るのはいつぞやのお二人じゃないか」

「……どうも」

「久しぶりー」


 正直、もう少し様子見しておきたかったのだが話しかけられては仕方がない。会釈しながら返事する。


「あっ、リュウジ君! この前はありがとう、この《魔道具》にはとっても助けられてるよ!」

「そ、それは良かったです」

「《魔道具》をやったのはお前さんだったか……」


 明るいセイルとは対照的に渋面を浮かべるネグア。先導するように胸を張ってずんずん進むセイルから徐々に距離を取った彼とエザーが、後ろを歩いていた俺達の隣に並ぶ。

 ひそひそと話しかけてみる。


「あの、セイルさんどうしたんですか? 前とは随分と様子が違うようですが」

「《魔道具》を手に入れて調子に乗ってんだ」

「昔っから気分の上がり下がりが激しかったからねぇ、あの子は」


 それにしてもテンションが乱高下しすぎではないだろうか……。

 それから疑問はもう一つ。


「でも《魔道具》ってそんなに役に立ちますか? 買って数日じゃあ素早く発動させるのも難しいと思うんですが」

「セイルは小器用だからな。剣も教え始めてすぐに上達したし《魔道具》の扱いも昨日のうちにはサマになってたぞ」


 他に要因があるのではないかと思って聞いてみたのだが、どうやら俺が原因で間違いないようだ。


「なんかすいません」

「いい、いい、そーゆーのは。アイツのことを思ってやってくれたんだろ? 実際、落ち込んでたのは治ったしアンタは何も悪かねぇ」

「そうだよ、あんなのあの子にとっちゃよくあることさ。ほら、覚えてるかいネグア。初めて《職業》を貰った時のこと」

「ああ、あんときは大変だったなぁ」


 何やら昔話に花を咲かせ始めた二人。だがすぐに俺達が置いてけぼりになってることに気付き話を打ち切る。


「まぁそういう訳だから気にすんなよ。おじさん達で何とかするからな」

「放っとけばその内収まるしそれまではアタシらでフォローするさ」


 余裕のある声音からはこちらを気遣っての嘘や誤魔化しなどではないことが伝わって来た。きっと本当に大丈夫なのだろう。

 けれどこの事態の原因としてはそれで手を引くのは心苦しい。


「いえ、話すだけ話してみようと思います」


 そう言うと俺は前を歩くセイルの横に並んだ。


「あー、セイルさん。《魔道具》の使い心地はどうですか?」

「うん? もちろん最高さ! お陰で鳥人の奴らも相手にならなかったよ」


 微塵の迷いもなく言い切った。

 なおネグア達の話では、《魔道具》の力も大きかったが、無駄な緊張が消えて動きが良くなったことが好調の理由の大部分を占めているという。

 セイルは実力を十全に発揮できさえすれば、一人で複数体の鳥人を圧倒できるほどの腕前なのだそうだ。

 《ステータス》を見た限りではそこまで強いとは思えないので、師匠としての贔屓目か、戦闘技能が優れているかだろう。


「それは良かったです。でもあんまり《魔道具》を過信しすぎない方が良いですよ」

「どうして?」

「直感的に使える《スキル》よりも操作ミスが起こりやすいですし。それに魔力が切れたら使えなくなりますからね」

「大丈夫だよ。これでも魔力操作は上手い方なんだ。魔力も他のことにはほとんど使わないからね」

「それでも足元を掬われるようなこともあるかもしれませんし、もう少し慎重になった方が……」

「大丈夫大丈夫」


 その後も何とか説得できないかと色々話してみたものの、《魔道具》の力を絶対視しているのは変えられなかった。

 そして話は俺の予期せぬ方に転がって行く。


「そんなに心配なら一度僕と模擬戦してみようよ」

「え」

「どれだけ戦えるか知れば安心してもらえると思うんだ」


 考えてみる。確かに、戦って負けた経験があればセイルも慎重になってくれるかもしれない。

 いや、だがそんなことしていいのか? 喧嘩みたいなものだし止められるんじゃないか……?

 後ろの二人に視線をやると「どうぞどうぞ」とジェスチャーしていた。日本よりも荒事が身近なこの世界ではこのくらいなんてことないのかもしれない。


「そういうことなら、まあ、やりますか」


 こうして急遽、模擬戦をすることが決定した。

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