表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/108

37.宿屋★

 森の探索から戻って来た俺達は宿で休んでいた。

 湯で汗を流し一階の食堂へ行き夕飯を注文する。

 この宿屋は食事処も兼任しておりお金を払えば料理も食べられる。昼食を食べたのもここだ。


「聞いたよ聞いたよ、アンタら凄腕の冒険者らしいねッ」


 料理を運んで来た女店主が話しかけて来た。他の注文も一段落し暇になったようである。


「うぅん、まあ腕にはちょっと自信あるけど……。でもそんな話誰から?」

「ギルドのネルさんだよ。ウチの男衆じゃ敵わないような大物を獲って来たそうじゃないか!」

「あー、変異種を狩ったからかぁ」


 いつの間にやら情報が広めろめられていることはスルーして、マロンが納得するように頷いた。


「いやぁ、助かったよ! 最近は魔物がやけに増えてたからね。森の奥の強い魔物が減れば他のやつらもまた引っ込むはずさ!」

「魔物が増えてる原因は奥地で変異種が増えたことなんですか?」

「アタシはネルさんにそう聞いたけど」


 先程も出て来たネルさんというのは冒険者ギルドの職員をしているお爺さんだ。

 長年ギルドに勤めているらしく村民からは頼りにされているようである。

 それからも店主といろいろ話をしていると入口の方から声が掛けられた。


「おばちゃーん、ウチにもご飯ちょうだーい」

「あいよっ、それじゃあたしはこの辺で。冒険者活動頑張ってね!」

「はーい」

「はい」


 女店主は最後にそう激励して厨房に戻って行った。

 注文をした女性は俺達の隣の席に腰かける。

 何とはなしにそちらを一瞥すると彼女は《魔道具》を売っていた赤毛の女性だった。


「ほら、声かけなよ。勇気出して」

「うるせー」


 見かけたら声をかけるほど親密なわけではないし、ましてや恋愛感情を抱いているわけでもない。

 小声で茶化してくるマロンをテキトーにあしらっていたが女性の方が反応した。


「あれ、もしかしておにーさん、先週|《養橙のランプ》を買ってくれたお客さんじゃない?」

「あ、はい。その節はどうも。あの《魔道具》にはとても助けられてます」

「私は前衛だからよくお世話になってるよ」


 まさか覚えられていたとは思わなかったが、折角の機会なのでマロンと揃って感謝を伝えた。


「そう言われると気恥ずかしいなぁ。でも役に立ってるなら良かった。あ、ウチの名前はデシレア、今度また街で見かけたらご贔屓に」

「あ、俺はリュウジです」

「私はマロン」


 そんな自己紹介からしばしの間、俺達は互いの話をした。デシレアは商売と《魔道具》の材料集めのためにタセリ村に来たそうで、あと二日ほど滞在する予定なのだとか。

 彼女の料理が運ばれて来るまで世間話に花を咲かせ、その頃には俺達も食事を終えていたため部屋に戻ることとなった。

 夕日は山向こうに沈み、窓から見える空は大部分が紺色に染まっていた。

 電灯のないこの世界ではもう就寝時間だ。


「変なことしないでよー」

「何もしねーよ」


 寝支度を整えて床に就く。ゴワゴワする藁布団にもこの世界に来てすっかり慣れてしまった。

 目を瞑り睡魔の訪れを待っているとマロンが小さな声で訊ねてくる。


「ねぇリュウジ君、気付いてる?」

「何にだ?」

「変異種が量が異常だってこと」

「多いなとは感じたが、そんなになのか?」

「うん」


 普通は森の深部でも変異種は一日に一回出会うかどうか。

 今日のように日に何度もC級以上の魔物が襲ってくるのは異常事態だそうだ。


「クレン山でもないのにこれは明らかにおかしいよ」

「あー、話の腰を折ってスマンがクレン山ってーと何だっけ?」

「森の向こうに見えてる大きな山だよ。窓からも見えるでしょ」

「思い出した、ずーっと東にある奴か。たしか冒険者登録の時に聞いたな」


 クレン山。メルチアから東に何キロも進んだところにある山だ。

 人里離れているため強力な魔物が育ちやすくまた集まりやすい。らしい。


「話を戻すね。前に私がこの辺りまで来た時もちょっと変異種が多いかなとは感じたけどここまでじゃなかった。……もしかするとこれ以上の活動は危険かもしれない」

「帰るのか?」

「それを相談したいの。いくら変異種って言ってもよっぽど強力な個体じゃなければ私達なら負けないし。でも私のためだけに危険を冒させるのは……」

「別にお前のためだけじゃねぇよ。魔物を間引くのは村の人や他の冒険者のためでもある。それに変異種は《経験値》も報酬もいいからな。俺だって利益があるから戦ってんだ、そこに負い目を感じることはない」

「……そっか」


 フッ、と彼女が笑った気配がした。


「でも本当に危なくなったら他の人は見捨てて逃げるよ。私達は騎士じゃなく冒険者だからね」

「……ああ、もちろんだ」


 改めておやすみを言い合ってから目を瞑る。

 ……しばらく目を瞑っていたが眠気が来ない。《ステータス》を確認してみよう。


===============

人間種―魔人 Lv33

個体名 リュウジ


スキル 剣術(下級)Lv1 体術(下級)Lv6 砲術(上級)Lv3 風魔術(上級)Lv1 土魔術(中級)Lv4 火魔術(中級)Lv5 光魔術(中級)Lv8 水魔術(中級)Lv10 闇魔術(下級)Lv6 暗視Lv2 気配察知Lv5 職権濫用Lv3 双竜召喚Lv4 竜の血Lv--

===============


 昨日の今日なので大して変化はない。光と水が上がっているのと、後は《闇魔術》が加わったくらいか。

 その《闇魔術》は昨日の猛特訓で一気に《下級Lv6》になった。他の《魔術》の伸びが悪いのは《闇魔術》にばかりかまけていたからというのもある。

 だが結構な時間を費やして鍛えたというのに未だ《レベル6》。《光魔術》に比べても伸び辛い感じがする。

 元々〈魔術〉講習で覚えられなかった属性であるしやはり俺は《闇魔術》と相性が悪いのだろう。


 ついでにマロンも鑑定してみる。


===============

人間種―獣人 Lv36

個体名 マロン

職業 拳士 槍戦士

職業スキル 体術強化 槍術強化 槍強化


スキル 槍術(上級)Lv1 体術(中級)Lv5 風魔術(下級)Lv7 土魔術(下級)Lv4 火魔術(下級)Lv10 光魔術(下級)Lv7 水魔術(下級)Lv9 闇魔術(下級)Lv6 暗視Lv6 凶神に捧ぐ舞踊Lv4 気配察知Lv8 潜伏Lv7 ビーストボーストLv5


称号 迷宮攻略者Lv2

===============


 《レベル》は俺より上だ。だがパーティー結成当初よりはかなり差が縮まっている。一緒に活動しているおかげだろう。

 《スキル》も順調に成長している。

 《ランク》の高い《スキル》は成長が遅い傾向にあるそうだが《ユニークスキル》二つの《スキルレベル》が上がっている。前に見た時からまだ二週間も経っていないのにだ。よほど《スキル》との相性が良いのだろう。

 《気配察知》や《潜伏》も上がっており斥候兼戦士として非常に頼もしい。


 そこまで考えたところでウトウトとし出し、やがて眠りに落ちたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ