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84 親心

「ん?ティファニーがシリウスの領地に?」

「ええ、行きたいそうで」

「そっか、将来のためにもそれはいいかもね」


朝早くからお仕事を頑張っていたレグルス兄様はそう言って、くすりと笑う。


朝食を終えて、城の中でいつもの様に遊ぼうと思っていたが、ティファニーは俺の領地に行きたいとご所望された。


別に連れて行くのはいいのだが、流石に両親に許可は取らないといけないのでこうしてレグルス兄様にお伺いを立てたのだが、お仕事が忙しい中で突然やって来た弟と我が子への反応が柔らかいものなのは流石兄様と言えた。


「妻には許可は貰ってるんでしょ?だったら、構わないよ。そういえば、ティファニーだけかい?」

「スワロは外はまだ怖いそうで」

「ああ、スワロらしいね」


好奇心旺盛な妹とは異なり、慎重な姉のスワロはあまり外には出たがらない。


姉妹で異なるが、どちらも可愛い姪には違いなく、微笑ましいものだ。


レグルス兄様も娘の様子にホッコリしてるようだし、本当に父親なんだなぁと改めて思わされる。


俺も家庭を持てば変わるのかな?


「おとうしゃま!いいでしゅか?」

「うん、行っておいで。ただ、シリウスに迷惑かけないようにね」

「はい!」


大変元気にお返事をするティファニー。


分かってるのかどうかは不明だが、その元気の良い挨拶には中々ホッコリする。


「じゃあ、すまないけど頼んだよシリウス」

「ええ、お任せを」

「きっと、将来ティファニーはシリウスに嫁ぐだろうし、今から行くのは無駄にならなそうだしね」


……なんだろ、冗談だろうけど、父親としてそれでいいのだろうか?


普通、愛娘が男に嫁ぐのって男親的に思うところがありそうだが……流石は王族というか、その辺はある程度割り切ってるのかな?


まあ、俺を信頼してくれてるのは嬉しいが、ティファニーには好きな人と結婚して欲しいと叔父としては思う。


王族だとそれが中々難しいだろうけど、可愛い姪の幸せを願うのは強欲かな?


しかし、親か……俺の場合は娘とかできたらどうなるのだろう?


うーん、なんかあまり想像は出来ないが、頑固オヤジのように『何処の馬の骨とも知れない奴に娘を渡せるか!おとといきやがれ!』とか言うのだろうか?


我ながらキャラ崩壊が甚だしいが、娘を溺愛したらそうなるかも。


「やったー!おじちゃま!いこいこ!」


俺がそんなことを考えていると、許可を貰って嬉しそうに飛び跳ねるティファニー。


「分かった分かった。じゃあ、レグルス兄様。お仕事中すみませんでした」

「構わないよ。シリウスがくれたこれのお陰でかなり色々楽になったし」


携帯のような魔道具を持ちながらそんなことを言うレグルス兄様。


レグルス兄様はこの携帯のような魔道具で信頼出来る部下に指示を楽に出せるようになり、報告もスムーズになってお喜びのようだ。


シスタシア王国に居るヘルメス義兄様とも前より密に連絡が取れるし、早速重宝してくれてるようで、持ち帰ってきて良かったと思う。


あまりの忙しさにそろそろ何かレグルス兄様を補強出来るような薬でも作ろうかと考えていたくらいには、忙しそうだったしね。


「何かお手伝い出来そうなことがあれば、遠慮しないでくださいね」

「……うん、ありがとう。でも、可愛い弟には頼られるより頼って欲しいかな」


便利な俺をモノ扱いせず、こうしてむしろ大切にしてくれる家族。


うん、やっぱり今世に勝るものはないね。


そうして、レグルス兄様の執務室をティファニーに手を引かれて出ていく。


そんな俺とティファニーを微笑ましそうに見送るレグルス兄様だが、その目はなんだか父親らしい父性に満ちていたようにも見えた。














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第3王子はスローライフをご所望
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