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9 父からのお願い

「急に呼び出してすまないな、シリウス」

「いえ、父様」


のんびりとした日々、色々と思いつくまま行動していた本日だったが、使用人に連れられて俺はこの国の国王陛下である父様の執務室に呼び出されていた。


なんか悪いことしたかな?


そんなことを思っていると、父様は書類を置いてから微笑んで言った。


「実はな、将来お前に与える領地の視察をして貰おうと思って呼び出したのだ」


俺に与える領地……つまり、将来俺は爵位を貰ってそこを治めるということか。


「出来れば小さいところがいいのですが……」

「安心しろ、最初はその予定だ。必要なら直轄領の一部をまた与えることになるだろう」


えー、要らない。凄く要らない。


なんて言えるわけもなく、また、必要でなければそうならないので良しとしよう。


「分かりました」

「名義としてもうお前の領地なのだが、流石にすぐに任せる訳もいかないからな、何か気づいたことや、やりたい事があれば、現地で代官の者に言うといい」


丸投げじゃダメでしょうか?


聞くところによると、その領地予定地は、王都から少し離れた比較的小さな規模の領地らしい。


領主様とか面倒そうだけど、でも、能力ある人が補佐に居たら、少しは楽できるかな?


今のところその伝手がないが……レグルス兄様にでも相談してみるか。


「レシアも婚約が決まって、後は卒業を控えるのみとなった。お前が大きくなると寂しくなるな」


そう、レシア姉様は先日とうとう、婚約が決まったのだ。


相手は、とある侯爵家の跡取りらしい。


シスコンな俺だが、姉様が幸せそうなので邪魔することはないだろう。


というか、家族の幸せを邪魔するなんてそんな野暮なことしたくないしね。


感慨深げな父様だが、本当ならレシア姉様が巣立った段階で一仕事終えてたので転生したことが少し申し訳なくもある。


「そういえば、シリウスよ」

「はい、なんでしょうか」

「お前の婚約の件に関してなのだが……」


もう勝手に決めたのだろうか?


そんなことを思っていたら、申し訳なさそうに父様は言った。


「まだ決まらなくてな。もうじき5歳の誕生日パーティーもあるし、その時に気になる者がいれば知らせるといい」


王族の誕生日パーティーは、5歳ごとに大きめなパーティーが開かれる。


俺がこの世界に転生してから4年と半年と少し。


もう少しで5歳となるので、その時でもいい子が居たら教えろということらしい。


まあ、選ぶのも大変だろうしね。


その前に、洗礼もあるが、その時に女神様に会えないものだろうか……この国の教会で崇めてるのは男神様だし、無理かなぁ……


管轄違いでも、一応祈っておこう。


「時にな、シリウス。お前玉座には興味はないか?」


試すような質問。


もちろん、答えは決まってる。


「全くありません」

「……キッパリ言うのだな」

「私には荷が重すぎます。ラウル兄様かレグルス兄様のどちらか相応しいかと」

「そうかもしれないな」


英雄ですら辛かったのに、王様とか無理ゲー過ぎる。


まあ、領地を与える時点で俺に王位を継がせる予定は無いと分かっていても、キッパリと意志を示さないといけないだろう。


「父様はどちらを王にするか決めたのですか?」

「迷っておるよ。だが、そろそろ決めないとな」

「どちらが王になっても、きっとこの国は大丈夫かと」

「自慢の息子だからな。もちろん、お前もだぞ、シリウス」


自慢の息子か……初めて言われたかもしれない。


なんて思っていたら、父様が立ち上がって俺に近づくとワシワシとその大きな手で俺の頭を撫でて微笑んだ。


「色々と大変だろうが、期待しているぞ」


……不思議だ、父親とはこうも頼れる存在だったのか。


最初の人生では、そもそも親に売られたようなもので、接点すらほぼ無かったし、2度目は死に別れてる。


うん、そう考えると、この世界で家族が居るのは本当に凄いことだよな。


「父様も、無理はなさらないように」

「孫の顔を見るまでは頑張るつもりだよ」


まあ、上の姉が確か今懐妊してるそうだし、兄達も王位が決まったらすぐだろうし、そう考えると早々に孫の顔は見れそうだなぁと思ったが、空気的に言うことはしない。


レシア姉様も卒業して嫁いだら、早々に出来そうな気もするし、多分末っ子の俺が少し遅いくらいだろう。


その前に、婚約者探さないとか……領地が無ければ婚約者とか急がなくても良さそうだったけど、流石に領地持ちの貴族になるなら、早めに婚約はしないとな。


まあ、英雄時代の前世より待遇がマシだし、今度こそは可愛いお嫁さんを!


……なんて言ってると、あの悪夢を思い出しそうになる。


初夜で心を折られたあの悲劇は早々に忘れられないのだ。


はぁ……どこかに、俺を癒してくれる美少女が居ないものだろうか……そんなことをしみじみ思うが、高望みだろうか?


まあ、美少女じゃなくても、心根が良い娘ならいいんだけどね。


あのささくれた心に潤いを……!


4歳児の心の叫びじゃないのは、ご勘弁願いたい。


でも、精神年齢的にはどんな相手でも俺はロリコン扱いされそうだなぁ……まあ、それでも心が綺麗な娘なら構わない!


あの悪夢をぬぐい去るような癒しを求めて……そんなことを口には出さずに願いつつ俺は執務室から退室するのだった。












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第3王子はスローライフをご所望
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