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70 懐かしき故郷の味

「んー、やっぱりここは難易度高いなぁ」


地下遺跡のトラップの1つであるファイヤーボールの魔法を避けながらそうため息をつくスフィア。


「まあ、遺跡だしそれは仕方ないよ」


同じく、通路の先から転がってくる巨大な岩を受け止めてから魔法で砕く俺だが、別に俺たちが罠に掛かったからではない。


俺の領地の近くの地下遺跡はまだ防衛設備が生きてるようで、侵入者用の罠が勝手に作動してるだけなのだ。


地下遺跡の攻略には俺とスフィアだけしか来ていない。


ソルテをあまり危険な目には合わせられないので、留守番を頼んだのだが、心配そうなソルテを宥めるのは中々大変だった。


まあ、心配されてるうちが花かな?


「にしても……やっぱりこの遺跡は他と何か違うような……」

「そう?」

「だって、一部変な罠があるし、それに未だに防衛のために施設が生きてるのってここくらいだよ?他の所はあっても作動式の罠が大半だしね」


確かに、明らかにオーバーテクノロジーな罠がいくつか混ざっていた。


例えば、巨大な鋼鉄のゴーレム。


魔法で小さな土人形くらいなら、そこそこ作れる人もいるのだが、大きな物を動かすにはかなりの魔力が必要となる。


かつて、大昔の時代には兵器として巨大ゴーレムを運用していたそうだが、今の技術では劣化品しか作れないのが現状であった。


燃費も悪いし、普通に使う分には全く役に立たないのだが、ここのゴーレムは全て動力源である小さな魔石だけで稼働していた。


そして、極めつけは、銃火器を武装した機械仕掛けの人型ロボット達。


いつからこの世界はSFに染まったのだろうかと内心ため息を漏らすが、スフィアの反応とこの世界で生きてきた短い経験でこれが今のこの世界でのイレギュラーであることは分かっていたので大きなリアクションはしなかった。


勿論、銃なんてものは魔法が発達してるこの世界には存在してないのだが、どうやら大昔は普通に存在していたらしい。


過去、この世界がどのくらい栄えて発展していたのかは分からないが、この遺跡の罠の様子を見てるとどうにも現代日本よりも栄えていたように思えた。


「お、これ何だろ?」


倒したゴーレムから魔石を漁っていたスフィアが、何かを見つけたのか声を上げる。


近づくと、スフィアの手元にはかつて俺が何度かお世話になった……この世界には無いはずの懐かしきブツが握られていた。


「シリウス、これ何か分かる?」

「一応ね」

「本当に?私も結構長生きだし、色々知ってる方だとは思ったけど、シリウスも凄いね。それで、これ何?」

「栄養ドリンクだよ」


思い起こせば最初の人生のこと、合法的な飲み物のはずなのに飲むと何故か中毒性が強くて、やけに元気になる栄養ドリンクが存在していた。


魔の飲み物とさえ呼ばれていたらしい(当時の会社の同僚曰く)その飲み物だが、あれを飲むと若干身体が軽くなったような気がしたのだ。


1日5本くらい飲んでたことがあったけど、それ以外何も口にしてない時期もあったので、今思い返すと何故俺は普通に生きていられたのか疑問になってくる……うん、我ながら虫なみの生命力だと自分を褒めてしまうほどだ。


スフィアの手元にからその栄養ドリンクの缶を受け取ると、異世界なのにアルミ缶を握ってることに軽い違和感を覚えてしまう。


英雄の頃の世界にも存在しなかったしね。


「栄養ドリンク?えっと、飲み物ってこと?」

「そういう事かな。古代に存在した飲み物って認識で間違ってないよ」


というか、何故これがゴーレムから出てきたのやら……確かこれを掘り出したゴーレムは、結構ド派手にスフィアが壊していたが、アルミ缶には傷一つなく、しかも中身が普通に入ってるという謎。


魔法で中身を探ってみたが、前世にお世話になった頃から何も代わってないようで謎の安堵を覚えてしまう。


実家に帰ってきた気分だよ……前世2回のどっちも実家というものを知らないけど。


「飲んでみる?」

「うーん、興味はあるけど、シリウスに譲るよ」


懸命な判断で何よりです。

まあ、俺も今世ではお世話になるつもりもないので空間魔法で別空間にしまい込む。


飲んでも害はないし、お疲れのレグルス兄様にでも今度差し入れするとしよう。










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第3王子はスローライフをご所望
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