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56 姪の能力

本日は小豆という収穫物もあり、早速料理に!


……という訳にはいかずに、俺は一部を熱処理をしてから乾燥させておくだけにしておいた。


なんで早速やらないかって?


いや、新しい料理を作るとなると母様に見つかって何か言われそうだし……披露は帰ってからにする予定だ。


「じゃあ、よろしくねバルバン」

「へい!了解でさぁ!」


めちゃくちゃ怖い顔立ちをしている彼こそ、シスタシア王国の王族専門の料理長のバルバンだ。


調理をするのは、スレインド王国の厨房で、彼にはそこで色々と学んでもらうことになったのだ。


まあ、シスタシア王国の厨房でも良いが、慣れてる厨房で慣れてるメンバーで作る方が効率がいいので、そうして貰った。


転移魔法のことは勿論、秘密の約束だが、話してみていい人そうなので多分秘密は守ってくれるだろう。


「おじちゃまー!」

「ごふっ!」


――なんて考えて、スレインド王国の厨房に転移すると、何故か転移先でいつも通りのタックルをかましてくる我が姪、ティファニー。


「……ティーや、どうしてこんな時間に厨房にいるのかな?」

「なんとなく、おじちゃまがいるきがしたの!」


「にひひ!」と笑うのは大変可愛らしいが、俺は現在公的にはシスタシア王国におり、転移魔法で戻ってくる場所もタイミングもランダムなはずなのに当たり前のように当たりを引く姪にある種の畏怖を抱いてしまう。


「お前……ゼフスか!」

「……バルバン?」


一方、俺が姪からの襲撃を受けてる際に、傍らでは男二人が驚いたような声をあげていた。


「あれ?知り合いだったの?」

「え、ええ……昔一緒に働いたことがあります」

「俺は向こうにスカウトされる前はこの国で働いてたんでさぁ!」

「スカウト?へぇー」


なんと、バルバンはこの国でゼフスと肩を並べて競い合っていたそうだ。


そんな2人が今や国最高の料理人とは……凄いものだねぇ。


「さて、ティーや。どいてはくれないか?」


懐かしむ感じで再会を喜ぶ2人だが、俺は当然その輪に入ることはなく、真っ先に声をかけるべき相手に声をかける。


突撃の衝撃で倒れ込んだことにより俺の上で馬乗りとなっているお姫様はその俺の言葉に天使のような微笑みをもって答えてくれた。


「いや!」


……即答って酷くない?


「おじちゃま!わたしもそっちにつれてって!」

「うーん、でも、お母様とかの許可は得たの?」

「もちろんでしゅ!みつけられたらいいっていってた!」


……まあ、普通は転移魔法でいつ来るか分からない俺を捕まえられるとは思わないわな。


偶然なのかは分からないが、見つかってしまった以上、スルーは出来ない。


「うーん、じゃあもう一度確認してきてくれる?それで良かったら夕飯は向こうで食べようか」

「わかったでしゅ!」


動きだけせば止まらない我が姪は、そのままとてとてと、厨房から出て行った。


まあ、我が義姉としても、俺を発見するのは想定外のはずだし、きっと見つけたと言われても却下してくれるはず。


「おじちゃまー!おかあしゃまいいってー!」


……なんて思ってたら、義姉が近くに居たようですぐに戻ってくるティファニー。


少し遅れて、スワロを抱いた我が義姉が姿を見せた。


「ごめんなさいね、シリウス。夕飯だけでいいからお願いできるかしら?」

「えっと……俺はいいですけど、スワロもですか?」

「それがね、この娘は他国は怖いから嫌だって――あら、言っちゃダメだった?」


ペシペシと母を叩くスワロ。


なるほど、スワロらしい理由に微笑んでしまう。


「そんな訳で、ティーのことお願いできるかしら?」

「分かりました……レグルス兄様には俺が伝えますので」

「ありがとう」

「わーい!」


嬉しそうなティファニーに微笑んでから、義姉はスワロと共にその場を後にする。


「……おじさん、えほん」

「今度ね」

「……やくそく」


一刻も早く絵本の続きが読みたいらしい、スワロはそう言ってから満足そうに義姉と共に厨房から出ていく。


「じゃあ、早速送るけど……向こうで良い子にできる?」

「できましゅ!」

「よろしい。ゼフス、バルバン。悪いけど先に始めててくれる?俺はティーを向こうに送ってくるから」

「分かりました」

「へい!喜んで!」


バルバンが言うとテレビで見た寿司職人みたいな感じが凄いな。


ラーメン屋とかにも居そう。


まあ、どっちも本物は見たことないけどね。


そうして、俺はティファニーのことを父親であるレグルス兄様に伝えて、婚約者達にティファニーの面倒を頼んでから厨房に戻って料理をするのだった。


幸いなことに、婚約者は皆、フローラの部屋に居たのでお願いしてきたが、優しい我が姪はフローラの状態を見ても何も言わずに、「ふぃりあおねえちゃんと、おなじくらいきれいなかみ!」とフローラを褒めていた。


確かに、フローラの青い髪はフィリアの銀髪とは違った良さがある。


そこに気づくとは流石我が姪だと思わず褒めていた。


そんな様子を見てフローラは、「その子も婚約者になるのですか?」と兄妹かと聞くより先にそんなことを聞かれてしまった。


その問に幼いティファニーはいつも通りに「おじちゃまのおよめさんになる!」と告げて皆に笑顔を与えていたが……まあ、子供の冗談だよね?


うん、きっとそのうち素敵な王子様が現れるはず。





























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第3王子はスローライフをご所望
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