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51 晩餐

パン屋の件で、気づけば夕食時となってしまったが、いい仕事をしたと満足感はあった。


ウチの領地に素晴らしいパン屋が出来たと思えば全然プラスだろう。


「へー、じゃあシリウスの領地に美味しいパン屋さんが出来るんだね」


夕食の席で今日の出来事を聞かれたので答えると、そんな反応をするレグルス兄様。


そのレグルス兄様はお仕事で大変だったそうだ……お疲れ様です。


「パン屋か……シリウスにいい人材を持ってかれたのかもしれないね」


義兄であるシスタシア王国の国王であるヘルメス義兄様はそんなことを言いながら、お土産のパンを食べる。


返せって言われても返しませんよ?


「にしても、まだその手の輩がいたか……ありがとう、シリウス」

「いえいえ」

「本当に、小さいのに偉いですねぇ。流石ローザ様の弟ですね」

「でしょう!」


ドヤ顔のローザ姉様。


本日の、夕飯のメンバーは俺と婚約者3人、レグルス兄様、そして、シスタシアの国王であるヘルメス義兄様と奥さんのローザ姉様。


そして、その子供達に、更にはヘルメス義兄様の側室4人にその子供と豪華な面々となっている。


父様や母様達も呼ぶべきなのだろうが、忙しい上に、今回の訪問のメンバーではないからまた別の機会に……と、鮮やかにスルーしたらしい。


流石イケメン国王の義兄と言うべきか、ローザ姉様以外の側室の4人もこれまた美人さんで、子供も整った容姿をしていた。


ただ、一つだけ気になるのは……人数分に用意されてるであろう椅子なのに一つだけ余ってるという点があった。


俺の目の前の席なのだが……皆が俺を避けてる訳じゃないよね?


左に座るフィリアを見ると、可愛らしく微笑んでくれて何となくホッとする。


「明日はシリウスが夕食を用意してくれるんだよね?」


フィリア達が、ローザ姉様や側室の人達の話に捕まっていると、そんなことを聞いてくるヘルメス義兄様。


「ええ、まあ。お口に合えばいいですが……」

「大丈夫だよ。シリウスの考えた料理は母上の出してる店で実際に大人気だから」

「お義母さんが商会を通じて色々出してるって話は聞いてたけど、シリウスがその元だったんだね」


納得するようなヘルメス義兄様。


「何にしても楽しみだ。明日は婚約者と観光でもするのかな?」

「そうしたいですが……」


側室の人達に捕まっている3人を見ると連れ出せるかは微妙だった。


まあ、明後日までに連れ出せればいいかな。


「まあ、存分に楽しむといいよ。自慢の国……に、やっと近づいてきたからね」

「まだ不完全なのかい?」

「それはもちろん。これでも前より良くはなったけど、やっぱり長年の国の病魔は簡単には無くならないからね。お義兄さんも分かるでしょ?」

「まあねぇ……」


意味深な会話だが、大っぴらに出来ない国の嫌な負の部分のことだろう。


大きな国ともなれば、長年に渡って表沙汰には出来ない後暗いこともあったりするのだろう。


それを無くしてクリーンな国に……言うのは簡単だが、とてつもなく難しい。


それをやろうとしてる若き国王様には正直凄いとしか思えないよ。


そんなことを思いながら、料理を味わう。


あ、これ美味しい。


「ねえねえ、シリウス。明日もフィリアちゃん達借りてもいい?」

「ちゃんと返して下さるなら」

「もちろんよ!」


思わずローザ姉様に許可を出してしまったが……フィリア達も楽しそうだし、それに少し用事もあるからいいよね。


「シリウスも一緒にどう?」

「行きたいですが、少しばかりやる事があるので」


それに、自分の婚約者と姉だけならまだしも、義兄の側室4人も居るとなると1人だけ男でポツンとボッチになりそうなので遠慮する。


……混ざっても違和感ないとかそういう言葉はなしで。


「シリウス叔父さん」


ふと、話しかけてきたのは子供組の場所にいたはずのローザ姉様の長男ルーズリー。


「どうかしたの?」

「シリウス叔父さんは魔法使えるんだよね?」

「まあ、少しね」

「あれで少しとか」


苦笑するレグルス兄様。


いやまあ、世間一般と比べれば上なのだろうが、女神様基準だとまだまだな可能性もあるので、慢心はしないつもりだ。


「何が得意なの?」

「光の治癒が一番かな?」

「凄い!」


他の側室の子供達からも色々聞かれるが、この人数に叔父さんと呼ばれると不思議なものだ。


「叔父さんなら、お姉ちゃんの病気も治せるの?」


――その質問に場が一瞬止まる。


「お姉ちゃん?」

「うん」

「私の妹だよ。第8王女のフローラという」


ヘルメス義兄様の妹で第8王女……凄いね、八女って流石異世界。


「うーん、見て見ないとなんとも言えないかな」

「……そうだな。シリウス、ダメ元でもやってみてくれるか?」

「いいですけど……」


ダメ元……ってことは、教会の治癒魔法使いでもダメだったってことだろうか?


奥の手を使えればいいが、出来れば使いたくないなぁ……フィリア達が嫉妬しそうだし。


そんなことを思いながら、残りの夕食を堪能するのだった。


のんびりしてていいのかなぁと、少し思ったが、ヘルメス義兄様の様子からして、何かありそうだし、お腹を満たして本気モードを使えるようにしとかないとね。































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第3王子はスローライフをご所望
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