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47 温泉が手に入る

「なるほどな……デモンシュ男爵か……」


王都に戻ると、俺はレグルス兄様とすぐに父様にこの件を報告していた。


父様は俺の報告を聞き、ため息混じりに言った。


「元々、あまり評判は良くなかったが……貴族の責務も果たせないとは嘆かわしい。あまつさえ、大切な領民を守れない領主など不要でしかないな」


民を愛してる国王っぽい父様。


こういう人だからこそ、国民も敬うのだろう。


俺も、こういう父親だと自慢出来るくらいカッコイイと思う。


「とりあえず話は分かった。支援のために人と物資を送ろう。それと、デモンシュ男爵は領地の没収と貴族の称号を剥奪だな」

「では、そちらにも人を送らないとですね」

「ああ、全く仕事が増えたものだ……」


レグルス兄様と父様の深い深いため息。


しかし、それを吹き飛ばすような笑いをする人が約一名。


「何にしても良くやったぞシリウス!流石俺の弟だな!」

「ラウル兄様、痛いです」


上機嫌に俺の背中をバシバシ叩く我が兄ラウルは、俺が1万のアンデットを浄化して怪我人を治癒したことを大層褒めてくれた。


嬉しいけど、一撃一撃が重いから、骨折れそう。


「ああ、シリウス。本当によくやってくれた。とりあえず、この件はこちらで処理をしておくが……その領地に関しては、デモンシュ男爵から没収した後にシリウスに渡そうかと思う」

「私がですか?」

「飛び地だが、悪い場所ではない。領民たちもお前を慕ってることだし、直轄地にするよりその方が皆が幸せだろう」


俺の幸せは?とか、聞いたらダメかな?


「そういえば、あの街は温泉が盛んだったか。基本代官に任せて、休暇にでもフィリア嬢達を連れて遊びに行けば良いのではないか?」

「温泉……確かにそれは魅力的ですね」


別荘感覚ならあるいは……まあ、現代官であるステイルが過労死しそうなので、代官のチェンジは必要かもしれないが、有能そうな人材と温泉は魅力的だ。


上手いこと、俺好みに改革させれば、素敵な温泉地になるのなら多少の苦労は仕方ない。


「分かりました」

「まあ、今は旅を楽しむといい。レグルスは朝まで付き合って貰うがな」

「……やっぱりですか?」

「シリウスがアンデット退治と領民のケアをしたのだ。私達もそれなり働かないとな」


ここで、俺にも手伝わせるという選択肢を取らない父様本当にいい人。


まあ、まだ子供な上に久しぶりに魔力を大量に使ったから正直眠くはある。


なので、非常にありがたいが、付き合わされるレグルス兄様は悲壮な顔をしていた。


レグルス兄様、過労死だけはしないようにね。


朝になったら、レグルス兄様を迎えに来るということで、俺は一旦街に戻ると、今後の流れをステイルに連絡する。


将来的に俺の領地になる事に関しては喜んでおり、そして、代官は彼の息子にやらせる事にした。


ステイルの息子はステイルの補佐をしているそうだが、かなり有能らしく、任せられる人物ではあった。


ステイルは引退……と言いたいが、他にも仕事はあるので過労死しない程度に頼むと涙ながらに感謝された。


今までのブラックな待遇が消えて、ホワイトになるので、彼からしたらこれ以上の喜びはないだろう。


聞けば、部下の負担を減らすために色々と1人で仕事を回して、方々への根回しに説明に謝罪と色々と大変だったそうで、思わず彼の背中をそっと撫でていた。


うん、ブラックだね。


本当によく頑張ったよ。


後は、孫の顔を楽しみにして出来ることをして過ごすといい。


ステイルに報告してから、俺は念の為アンデットの居た場所を回ってみるが、特にこれといって何かある訳ではなかった。


思い過ごし……ならいいが、人為的にこんな事が出来て、する理由があった人が居るなら面倒事になる。


とはいえ、付近にそれらしき気配も痕跡もないし、フィリア達の方も特に問題はなさそうだ。


これは……後々、調べるとするか。


そう思って今度こそ、野営の屋敷に戻ると、婚約者3人が起きていた。


「あれ?寝てなかったの?」

「シリウス様をお待ちしてました。何があったか分かりませんが、また困ってる人を助けてきたのでしょうし、私達はそんなシリウス様のお帰りを出迎えようと思いまして」


フィリア達の中で俺がいい人になってるが……本当に当たり前のことをしただけなんだよなぁ……それに、俺は自分がしたいと思ったことしかしないし、好きに生きると決めてるので、少し違う気もするが、せっかくの婚約者の好意なので素直に受け取っておく。


「ありがとう」

「……シリウス様、お疲れ様。一緒に寝る?」

「そうだね、4人で寝ようか」


さり気なくそんなことを言うが、レグルス兄様が朝まで仕事してる中、婚約者と寝る弟……悪い子だよねぇ、でも、俺もアンデットの浄化とか治癒とか頑張ったしご褒美はあって然るべきだろう。


そう、これはご褒美なのだ。


だから、レグルス兄様――ファイト!


過労死しない程度に頑張ってくださいな。


父様にも同じくエールを送るが、ラウル兄様は必要ないかな?


まあ、あの人は嫌なら適当に抜け出して稽古してそうだけど、あれでもやれば出来る子らしいというレグルス兄様情報なので大丈夫だろう。


……多分。


そうして、俺はすやすやと最高の眠りを味わうのだった。










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第3王子はスローライフをご所望
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