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20 杏仁豆腐

ふと、唐突に杏仁豆腐を使ったフルーツポンチが食べたくなった。


旅館で働いてた社畜のくせに、杏仁豆腐やフルーツポンチなんて食べ物を知ってるのは何故か?


まあ、ぶっちゃけると、旅館のデザート枠で出てた時があったんだよね。


絶妙な甘さとあの食感、個人的には結構好きだったけど、最近までとんと忘れていた。


薄情な奴でごめんよ……と誰かに謝りつつ、早速作る。


ゼラチンは日本みたいに粉末状のものはないので、牛の骨を煮て作る。


アンズも、この世界にちゃんとあるので、種子のところの仁を取り出す。


アンズジュースとアンズジャムも好きなので、作れるようにアンズを大量に入荷することは忘れない。


ゼラチンは本当に大事なんだよなぁ。


これがないと、ゼリーとか固まらないから、お菓子作りには必須とも言える。


寒天なら別だろうけど、寒天は確か海藻から作られるはず。


何故そんなこと知ってるかって?


部署が違うのに料理の仕込みとか、めっちゃ手伝わされたからさ! (キリッ)


……泣いてないよ?


だって、俺は接客担当だと思ってたら、何故か4時起きで仕込みとか手伝わされてたんだぜ?


その時に、お喋りな料理長が色々と話していたのだが……それを意外と覚えていた俺って凄くない?と自画自賛ということにしておく。


……脳裏から離れない嫌な記憶というツッコミはなしでお願いします


そんな感じで、前世のほろ苦さを思い出してながら、杏仁豆腐は完成した。


白く、プルプルしてるこの物体は意外と可愛いと思うんだ。


「あー!おじちゃまいたー!」


厨房で杏仁豆腐の確認をしていると、そんな声が聞こえてきた。


とてとてと、その物体はこちらに向かってくると、俺の横にタックルをしてきた。


もう、見なくても誰か分かるわぁ……


「ティー、どうかしたの?」

「おじちゃまとあそぼうとおもってさがしてたの!……ところで、それはなに?」


レグルス兄様の双子の娘のうちの妹の方であるティファニーは俺の手元を見てそう聞いてきた。


「杏仁豆腐だよ」

「おいしいの?」

「食べてみる?」

「うん!」


じゃあ、早速!とはいかず、俺は厨房の外からこちらを覗いてる子にも手招きをする。


「ほら、スワロもおいで」

「……うん」


姉であるスワロも控えめな足音で近づいてくる。


そんな姉妹に、俺は杏仁豆腐を綺麗に分けるとスプーンと共に渡す。


「あむ……おいしい!」

「……ん」


早速食べた2人の反応は簡潔でありながら、素直なので嬉しくなる。


「おじちゃまは、りょうりのてんさいね!」


2人はよく最近、お菓子を作る時にやって来ては食べて、その情報を2人の母親であるラウル兄様とレグルス兄様の奥さんに渡しているようだ。


後から、催促がくるので、多めに作ってはいるが、作ってこんな反応して貰えるなら嬉しいものだよね。


勿論、婚約者であるフィリアの分も時間がある時に持っていく予定だ。


女の子が甘いもの好きなのは、どの世界でも共通なのだろう。


「おじちゃま、おかわり!」

「……」


元気な声と、無言のアピール。


面白い姉妹だと思いながら、「今日はこれで最後だよ?」と、やんわりと言うことは忘れない。


素直な姉妹はその言葉に笑みを浮かべて頷くので、俺も将来、フィリアとの間にこんな可愛い娘が欲しいものだとしみじみ思う。


フィリアと同じ銀髪か、オッドアイの女の子かぁ……嫁に出す時は涙が止まらない気がする。


男の子なら、イケメンになると断言する。


やっぱり母親の遺伝子が良いと凄いよねぇ。


え?俺?


うーん……母様みたいな美形な感じじゃないし、普通かな?


髪の色は母様に似てるけど、他は……皆が言うには似てるそうだ。


特に性格が。


俺って、あんな風だろうかと疑問もあるが……まあ、別にいいかと気にしないでおく。


ちなみに、杏仁豆腐のレシピは後日、母様主導の俺のレシピを使った飲食店で使われることになり、ゼリーなども俺が教えたので流行るようになるのだった。


何気にゼリー系のお菓子って、まだ、この世界になかったのには少し驚いたが……まあ、俺が食べたくて作っただけだから、いいよね。


なお、アンズジャムは朝食の席で兄家族によって消費されたが、アンズジュースは俺が個人的に楽しむために空間魔法で別空間にしまうことにした。


作ろうと思えば作れるけど、リンゴとかの果物より認知が低いのは何故だろう?


この世界の果物は、気候に左右されにくいようで、最初の世界の果物と時期や気候が違っても実をつけてるものが多いのだが、それでもリンゴの方が定番なんだよなぁ。


ジュースと言えば、リンゴ的な?


あとは、ワインのために葡萄とかね。


葡萄確か、俺の領地の隣の領地が葡萄が名産だったから、今度葡萄ジュース作ろうかな。


ワインは、香りが好きだから、成人して少ししたら飲むのもいいかも。


まあ、そこまでお酒好きじゃないけど。


最初の人生では、お客様に勧めるために好きでもないのに飲まされたり、次の英雄の人生は仕事仲間にエールをジョッキで飲まされてから、あまり手をつけなくなったし、この世界では嗜む程度にしよう。


お酒は程々にね。



















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第3王子はスローライフをご所望
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