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128 妖精界

「ようこそ、妖精界へ〜」


楽しげなミルの声と共に、一面には鮮やかに咲き誇る花畑が広がる。


どこか不思議な空の色に、見た瞬間に、記憶に残る程の美しい花達、空気も澄んでおり、心做しか落ち着く香りにも感じる。


まさに、楽園と形容するのが最適な場所だが、その美しい光景を見るのには、当然対価というものは発生するようで、人間にとってはこの景色を見て帰るのは難しいのだろうと、実感するくらいの負荷を体に感じる。


すぐに魔力で強引にそれらを遮断するが……前よりも、幼い体なので少し心配だったけど、魔力だけで言えばこちらの体の方が優れてるからか、前回よりもスムーズに魔力で遮断することが出来た。


むしろ、二度目というのもあって、コツも掴んでおり、この程度なら楽にも感じられる。


我ながら、少しづつでも前に歩みを勧められているようで、何よりだよ。


「相変わらず、美しい場所だね」

「ふふふ、そうでしょう〜」


ドヤ顔気味な、ミルだが、妖精達は妖精界に強い愛着を持っているので、どの妖精でもこの世界のことを褒めれば皆喜ぶらしい。


まあ、その質問をする権利すら得られないのが大半らしいが……俺は何ともラッキーだったのだろうなぁと、しみじみ思う。


「じゃあ、お城まで案内しますね〜」

「うん、よろしく」


門からでも遠目で薄らと見える位置にあるのが、妖精女王の住まう城である。


煌びやかでありながら、気品や美しさを主張しすぎず、かと言って威厳が無い訳では無い程には、現実離れしたお城だが、まさかもう一度訪問する事になるとは……人生、分からないものだ。


「あ、人間さんだ」

「人間さん、こんにちは」

「こんちには。皆久しぶり」


ミルに案内される途中、話したことのある妖精達が俺に気づいて挨拶をしてくれるが、彼女たちも覚えていてくれてるとは、少しびっくりした。


「皆、よく俺の事分かるね」

「それはそうですよ〜、多少姿形が変わっても、本質的な魂の形が変わってないのなら、絶対皆さん覚えてますよ〜」

「その割には、ミルは少し思い出すのに時間かかったようだけどね」

「そ、そんなことないですよ〜」


めちゃくちゃ目が泳いでいるミルさん。


まあ、この子は他の妖精と比較しても、少しというか抜けてる部分が大きいので仕方ないのかもしれない。


それを補って余りある程に、ミルには凄い所もあるが、こうして眺めているとぼんやりした感じの何ともぽわぽわした癒し系の妖精さんという感じなので微笑ましいものだ。


「でも、覚えていてくれたのは嬉しいかな。ミルと話すのは楽しいし」

「私も、人間さんとお話するのは楽しいですよ〜。お菓子と同じくらい好きです〜」


ミルとしては、最上級とも取れるランクには俺の存在があるようだ。


妖精に転生していたとしても、楽しくやれたかもしれないが……まあ、女神様への敬愛が薄れることにはならないし、フィリア達婚約者の皆や、今世の家族とは出会っていたかったので、やはり俺は今世が大好きなのだろう。


「人間さん、これからは頻繁に来てくださいね〜」

「出来るようなら、そうするよ。まずは、女王様に挨拶しないと」

「そうですね〜、女王様も久しぶりに楽しそうにして居られるようですし、今もお城の中でワクワクしながら待ってるようですし、私が独占したら怒りますからね〜」


妖精達は、全ての妖精が妖精女王と意識をリンクされている。


主導権は全て妖精女王にあるが、彼女たちにとっては絶対の主であり、母親のような存在なので、個々人の意思があろうと、それで不都合は生じないらしい。


その妖精女王本人も、我が子である妖精達を愛してるからこその関係とも言えるが……そんな訳で、ミルには離れていても妖精女王の声が聞こえて、会話も出来るし、多少なりとも気持ちも伝わるらしいのだが、そのミルからしてもワクワクして待機してるらしい妖精女王さん。


……少しこそばゆい気持ちにもなるけど、そこまで気に入られていたのなら、悪い気はしないかな?


何にしても、会うのが楽しみになりつつ、景色を見ながらミルと共に城へと向かうのであった。













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第3王子はスローライフをご所望
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