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115 ダークエルフの懇願

「これで最後かな」


集められていたダークエルフ以外にも、自分の家で苦しんでいたと思われる人達の所も巡り、感知で確認できる範囲の病人の治療は完了した。


幸いにして、後遺症も残ることなく、俺の治癒でダークエルフ達は全員回復したので、他にも怪我や病気を抱えてる人たちを片手間に治し終わると、あと残っているのは石化した人達とこの騒動の中心であるラーニョセルペンティのみとなる。


「お疲れ、坊主。聞くまでもないが魔力は大丈夫なのか?」

「まあね」


今回は仙術も使っての魔法行使なので、魔力自体はそんなに減ってない。


それに、仙術は自身の内と外から力を取り込んで練るので、逆に先程までと魔物狩りで少し消耗した魔力も戻ってきているくらいだ。


こんな便利な仙術があっても、過労には勝てない現実……うむ、何とも非情なものだ。


「シリウス殿、礼を言う。貴殿が来てくれなければ、我らは滅んでいたかもしれない」


族長が他のダークエルフ達を纏めてくれている間、戻ってきたエデルは先程から何とも感謝をしてくれているが……これで終わりという訳でもないし、感謝される程の事でもないと思ってしまう俺はひねくれてるのかな?


「気にしなくていいよ。それよりまだ終わりじゃないし」

「もしや、石化した者たちのことか?」

「そう。数人分しか回収出来てないらしいから、そっちも何とかしないとね」


石化した者たちは、ラーニョセルペンティに挑みに行ってその場で石化した状態のままにしているらしい。


これは、回収する程の余力が無かったのと、ラーニョセルペンティに近づきすぎると危険なので回収出来ないという現実があったからだ。


一応、石化した状態のまま、保存の魔法をかけているので、石化の解除さえ出来ればダークエルフ達の身に危険はないが、何とかするに越したことはないだろう。


「しかし、あの石化を解けるとは……そもそも、あの魔物の近くに行くのすら我々では難しい」

「そこは俺と虎太郎が居るし」

「おうよ」


何とも自信満々な虎太郎さん。


頼りになるよ。


「2人だけか?それは流石に難しいだろう。シリウス殿の実力は承知してるつもりだが、あの魔物は格が違いすぎる」

「んー、まあ、あの魔物はダークエルフ殲滅に特化してるから、ダークエルフには天敵だよね。でも、俺と虎太郎みたいな少し変わった人間なら、討伐自体は難しくはないよ」


とはいえ、普通の冒険者には難易度が高そうだけど。


ダークエルフ殲滅に特化してるとはいえ、人間が倒しやすいような要素はほとんど無いし、魔法を封じてもなお強いダークエルフを圧倒できるだけのポテンシャルもあるので、油断は出来ないだろう。


「我らも力になりたいが……足でまといなのだろう?」

「討伐と石化解除の後が大変だろうし、ダークエルフの方々はのんびりしててよ」


やんわりと助力を辞退すると、エデルは何とも歯がゆそうな表情を浮かべて呟く。


「そうか……せめて娘を遣いに出すのをもう少し遅くしていれば……」

「ん?もしかして、娘さんに援軍の宛を探しに出て貰ってるの?」

「ああ、まあとはいえ、建前の話だがな。元気で無茶をする娘が心配だったので、そうして逃がしたが……戦いとなると、シリウス殿のような強者のサポートには向いてただろう。故に惜しいことをした」


エデルの娘さんだし、実力自体は期待できそうだったが居ない人を宛にしても仕方ない。


「シリウス殿、決して無理はしないと誓ってくれ。貴殿らは我らダークエルフの恩人だ。生き残って是非後でその恩を返させてくれ」

「別にそんなに大したことはしてないけど……まあ、そうだね、じゃあ、これが終わったらダークエルフの料理人に美味しそうな料理を教えて貰おうかな」

「お安い御用だ」


ダークエルフの民族料理はある程度知ってるが、地域によって差異もあるだろうし、楽しみだよ。


「さてと……虎太郎」

「おう」

「早めに片付けようか」

「背中は任せとけよ、坊主。とはいえ、余計なお世話かもしれんが」

「頼もしいよ」














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第3王子はスローライフをご所望
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