100 10歳になりました
何だかんだと、楽しく過ごしているうちに、俺はいつの間にやら10歳になっていた。
先日、10歳の誕生日を盛大にお祝いして貰ったのだが、5歳の時のような大きなパーティーが開かれて、5年ごとにこれをやると考えると面倒極まりないが、毎年開かれるよりはマシだと思い無難にこなした。
貴族的なお付き合いもあって、少し面倒だったが、最近はそれらにもそこそこ慣れてきており、特に付き合っても問題なさそうな貴族家とは仲良くしていた。
それとは別に俺の家族と婚約者だけのささやかなお祝いのパーティーも開かれたのだが、そちらは物凄く楽しかったのでやはり身内だけに限るよね。
「うーん……やっぱり伸びないなぁ……」
鏡を見ると、少しは成長してきているが、相変わらず童顔で小柄な自分の姿に少し複雑な気持ちになる。
多分、これまでの前世と比較しても一番童顔で身長の伸びが遅く思われるが……そのうち伸びることを祈ろう。
「……シリウス様はそのままが可愛い」
そんな俺に抱きついてくるのは、この2年で益々美少女になってきたセシルであった。
一応、この世界の基準では今年で15歳のセシルは成人を迎えたのだが、お酒などは飲んでないようだ。
まあ、無理して飲むものでもないし、俺もそこまで好きという訳では無かったので成人しても飲むかは不明だが……悪酔いとかして、みっともない姿だけは見せたくないものだ。
「でも、婚約者としては背が高くて、カッコイイ俺を見たくない?」
「……私的にはこっちが好み」
『わ、私もです……』
セシルの言葉に頷くのは同じく婚約者となったハーフエルフのソルテだ。
ソルテは現在12歳くらいなのだが、ここ数年で徐々に女の子らしさが増してきており、精神も安定してきていると言っていいだろう。
まあ、前より俺への依存度は上がってるようだけど……他の婚約者とも仲良くやれてるようだし、悪いことはないかな。
『シリウス様、お目覚めでしょうか?』
そんなことを考えていると、律儀にドアをノックをして声を掛けてくる俺の騎士こと、シャルティア。
「うん、入っていいよ」
というか、セシルとソルテはいつの間にかそばに居るから、こうしてわざわざ律儀に確認をとるシャルティアは相変わらず真面目と言えた。
「おはようございます、シリウス様」
入ってきたシャルティアは、相変わらず美人さんで、年々綺麗になってる気がするが、俺の前では可愛いのでそのギャップもまた良かったりする。
「おはよう、シャルティア」
「……シャルティア、遅い」
「貴様らが早すぎるのだ。というか、まだ正式に籍を入れてないのにベットに忍び込むのは、はしたないだろう」
「……お堅い年増」
「誰が年増だ!」
何ともいつも通りの光景だが、セシルとシャルティアは何年経っても似たようなやり取りをしている気がするのは多分気のせいではないだろう。
『ご主人様、今日はフィリア様とフローラ様を迎えに行くのですよね?』
エルフ語で話しかけてくるソルテだが、カタコトでなら最近は人語も話せるようにはなってきていた。
まあ、それでも俺との会話は基本的にはエルフ語だけど。
その方が落ち着くようだし、俺も特に苦もなく話せるので普通に切り替えて話していた。
『そうだね。少し早いけど領地入りして貰うからね』
何の話かというと、本日フィリアとフローラを俺の領地に迎えることになっていたのだ。
成人まではあと5年程あるが、もう時期俺とフィリアは学園へと飛び級で通うことになる。
その関係で本来なら学園での寮生活になるはずなのだが、俺の場合は空間魔法……転移が使えるので、婚約者達との時間をもっと作るという名目もあって、寮には入らずに領地から通うことになったのだ。
そして、それらを理由に早めにフィリアとフローラを俺の領地への領地入りさせることに成功していた。
本人達も早く俺と住みたいと乗り気だったので、割とすんなりと話は進んだが……これまではセシルとシャルティア、ソルテの3人だけだったのが、フィリアとフローラ、そして現在領地を任せているエルフのスフィアとセリアも加わって婚約者全員、7人との生活が始まるというのはある意味凄い。
まあ、それらの為に領主館も屋敷も色々と住みやすくはしてあるので、俺も楽しみではあるが……王城の自室から移るのは少し寂しい気もした。
この部屋は俺のために残しておいてくれるそうだが、10年もこの部屋で過ごしているので愛着もあって、向こうでの生活が楽しみと同時に少し寂しさもあったりする。
まあ、何にしても新生活が始まるが……家族の顔を見に来る事もあるし、仕事関係でも会えるだろうから、今は婚約者達との新しい日々に思いを馳せるとしようかな。





