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99 ハーフエルフの贈り物

『あ……あった!』


しばらくして、ある程度山菜や木の実なんかを確保してさて、そろそろ帰ろうかというタイミングで、ソルテは目的のものを見つけたのか駆け出して行く。


そういえば、ソルテは元から別に目的があったようだったなぁと少し思い出しながらも、ソルテの安全を確保しながらのんびりと近づくと、ソルテが摘んでいたのは綺麗な薄緑色の花であった。


薄緑色の花というのは珍しいな。


あんまり見たことがない気がする。


あの花はなんていう名前だったかなと、少し考えていると、ソルテはその花の茎の部分に、自身の髪を1本取って、綺麗に結ぶとそれを俺に渡してくる。


『ご主人様……こ、これを……』

『くれるの?』

『は、はい……』


なんだかやけに緊張してる気がするが、はて何故だろうかと少し考えてから、不意に昔読んだ本の内容が脳裏に浮かんでくる。


それは、一部の地域で密かに伝わっている、ちょっとした儀式のようなもので、自分の髪と同じ色の花に、自身の髪の毛を結んで渡すという求愛行為があるらしい。


結婚や告白のような、所謂異性へのアプローチ方法だが、ソルテがそれを知らずにやってるとは思えず、少しびっくりしながらも、俺は特に悩むことなくそれを受け取った。


『ソルテ、ありがとう』

『い、いえ……』

『これからの俺の側に居てくれる……そう取っていいんだね?』


その言葉にソルテはびっくりしながらも、顔を赤くしてこくりと頷く。


『わ、私は……ご主人様のことが、大好きです。こんな私ですが、これからもご主人様と一緒に居たい……そう思って、あの、ご迷惑じゃなければ、その……』


どんどんとボリュームが下がる声だが、俺はそんなソルテを優しく抱きしめると、ぽんぽんと撫でながら言った。


『うん、そばに居て欲しい。ソルテがそう望んでくれるなら、俺がソルテを幸せにしてみせるよ』

『ご主人様……』


少し涙ぐみながらも俺に顔を埋めるソルテ。


まるで告白のような台詞だが、間違ってはいないだろう。


ソルテは勇気を出して、俺に求愛行為をしてきた。


なら、それに答えないという選択肢はなかった。


勿論、今はまだ俺としては異性というよりも、娘や妹のような感覚が強い気もするが……ソルテが本心から俺のそばに居ることを望むならそれには応えたい。


他の婚約者達……というか、俺の婚約者達は皆既にソルテやスフィア、セリアを婚約者扱いしてるし今更というものあるが、その辺は帰ってからちゃんと伝えるつもりだ。


まあ、ほぼ100%予想通りの結果と思われそうだが、ソルテの俺への依存度を考えると無理に断ることもないし、もし俺への気持ちが冷めたなら、その時はちゃんと気づいてフォローすればいいだけのこと。


難しく考える必要もないが……にしても、俺は一体何人の嫁を貰うことになるのやら……フィリアと婚約した時が随分と昔に思えて仕方ないよ。


『ソルテ、もっと甘えていいんだよ。俺は絶対に拒絶したりしないから……信じて伝えてよ』

『はい……はい……ご主人様……』


ぐずぐすと、少し泣き出してしまうが……そんなソルテを優しく抱きしめている俺は、少しはソルテにとって頼れるような人物に見えてるだろうか?


うーむ、自信はないけど、大きい男になりたいものだ。


体というよりは、器や心のような内面の大きさを求めたいものだが……体ももう少し年相応に成長してもいいのよ?


そんな訳で、今回のソルテのお願いと求愛を経て、後日、俺達は形としては婚約者となった。


ちなみに、その時にスフィアとセリアも色々とあって、結局婚約者となったのだが、俺の婚約者達も、領民も家族も、皆が分かりきってたという態度で居たのはなんか複雑であった。


別に俺が女の子連れてたら、その子が確実に嫁になるという法則はないと思うのだが……これが普段からの行いの結果なのか。


にしても、フィリア、セシル、シャルティア、フローラ、ソルテ、スフィア、セリア……今世は7人も婚約者が出来るとは思わなかったなぁ……まさか、まだ増えたりしないよね?


好みのタイプばかりだから、仕方ないのだが、あんまり増えても大変そうだし程々で良いのだが……まあ、流石にこれ以上は増えないだろうとその時は楽観視していた。


うん、その言い方から後のことは察して貰いたいものだが、ただひとつ言えるのは、世の中とは何とも摩訶不思議という今更ながらの事実であった。


『ご主人様、大好きです』


……まあ、向けられる好意には悪い気はしないけどね。


その辺はやはり俺のチョロさが故なのだろうなぁ。















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第3王子はスローライフをご所望
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