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96 ソルテのお願い

『ご主人様、その……お、お願いがあるのですが……』


フィリアとフローラとの領地観光……まあ、軽いデートみたいなそれを終えてから数日後のこと。


本日の予定はほぼ無く、久しぶりにくつろごうかと思っていると、俺のメイドである、ハーフエルフのソルテが珍しいことに俺に何かを頼もうとしていた。


『ん?何かな?』


ソルテから、何かを頼んだり望むことはあまりない。


かつての境遇と、元からの性質か、溜め込んで壊れてしまいそうな繊細な心の持ち主のソルテは、自分から進んでオネダリや催促なんかをすることもない。


勿論、その辺だけなら他の婚約者とそう違いもないのだが、ソルテの場合は何をするにも本当に良いのかと確認するような間があったり、自己評価の低さも相まって、目が離せないくらい、少し心配な部分があった。


俺へのスキンシップも、セシルが誘ってるから回数こそそこそこ多いが、一人だと自分からは来られないし、むしろ甘えたそうなのを俺が察して甘えさせてる回数の方が多かったりする。


俺に心を開いていても、どこか自信がなく、内気で内向的な部分は何れ、少しづつ改善出来ればいいだろうが、それでももう少し上手に甘えられるようにしてあげたいものだ。


『えっと、あの……』

『慌てなくていいから、ゆっくり話してよ』


過去の境遇から、まだまだ完全には癒えてないその心をいつかは癒したいものだと思っているからこそ、こうして自分からお願いを口にしたソルテに俺は内心かなり嬉しく思いつつも、優しく微笑んでソルテの言葉を待つ。


なお、ソルテとの会話の基本はまだエルフ語であった。


人語もかなり慣れてきているが、こちらの方が落ち着くようなので俺もそれに合わせて、ソルテとはエルフ語で話している。


エルフ語の使用も最近はかなり慣れてきて、前より流暢になっており、その流暢さは、本場のエルフ語を知っているスフィアとセリアにも褒められる程であるが、それは蛇足かな?


『その……ご主人様、連れて行って欲しいところがあるのですが……』


やや、間があってから、ソルテから出てきたのはそんなお願いであった。


『うん、何処にでも連れて行ってあげるよ。ちなみに何処に行きたいの?』

『あの……も、森です……』


ん?何故に森?


そんな疑問も出てくるが、あまりないソルテからのお願いを断るなんて選択肢はなく俺はそれを承諾する。


『いいよ。今から行く?』

『はい……お願いします』

『了解、少し準備するから待ってて』


ソルテ曰く、どこの森という指定はなく、自然の実りが豊かな場所だったらどこでも良いそうなので、軽く俺の覚えている、この世界の地図を思い出して行ったことのある場所から候補を選ぶ。


確か、シスタシアの近くにかなり良さげな場所があったけど……転移で行くのは味気ないな。


なら、久しぶりにあの子に乗るのもいいかもしれないな。


「セシル、ソルテと出掛けるけど2人も来る?」


戻ってきたセシルにそう確認すると、セシルは首を横に振って言った。


「……行きたいけど、ソルテに譲る。この前は私とシャルティアがデートしたから、今度はソルテの番」

「デートってほど素敵な場所でもないけど……まあ、とにかく分かったよ。シャルティアの方は上手く宥めておいてね」

「……大丈夫。チョロいから」


何とも酷い会話だが、護衛無しで出掛けることにシャルティアはあまり賛成出来ないので、宥めるのは俺かセシルの役目であった。


いや、本来はシャルティアの反応が正常なのであって、当たり前のように受け入れているセシルがおかしいのだが……その辺はセシルらしくもあった。


シャルティアも俺の実力は分かっているが、それでも何かあった時に側に居られないのが嫌なのだろうし、その心配も嬉しいのだが……俺のこれまでの人生での死因はどちらも過労だし、危険なことなんて日常茶飯事だったので、その辺の危機感が薄いのかもしれないが……まあ、それは考えたら負けだよね。


そうして、帰ってくるまでのシャルティアのフォローをセシルに頼むと俺はソルテを伴ってソルテご所望の目的地に向かうことにする。


デートか……それもいいかもね。













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第3王子はスローライフをご所望
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