俺 「楽しいキャンプ~始まるよ」 飛鳥 『ワンモアセッ!』
――この時の俺は、この世界で素手で地面を簡単に割るような、そんな化け物みたいな奴らが本当に存在しているなんて、全く想像もしていないかったんだ。
「その【マナ】って奴は、経験値みたいな物と考えたら良いかもな? ゲームじゃよくある、モンスターを倒して経験値Get~そしてレベルが上がって強くなる! みたいな?」
『経験値ですか……そうとも言えますね。摩訶不思議ですが、確かに一種のゲームの世界みたいにも思えます。
ですが確かに、現在調査させている子機の状態から分析して判断致しましても、食事などでの形でのマナの摂取よりも、この星での原種生物の討伐や捕獲でのマナの蓄積の方が、実際には多かったと計測されていますね』
「うん、それじゃ~ほぼ確定? つまりこの星では、不確定名称【マナ(仮】が存在し、それを持つ存在はその量? 大きさにより随時強化されていく。そしてこれらは、マナを摂取した俺達にも効果が見られると言う事か」
『はい、私もそう判断致します。今回モニターとなっている私の子機も、製造時の個体限界スペックを超えて現在は稼動しておりますので』
「んじゃ、そのマナをこちらで計測出来るようにも出来ない? 所謂【マナスカウター】みたいなやつ。ピピッ! 戦闘力レベルたったの1……ゴミめ。みたいな(ニヤニヤ)」
『はい、技術的には可能になります。ただあくまで暫定的な測定にはなってしまいますが』
「ん? それって何か難しい話し?」
『ええとですね、例えば大人と子供で考えましょう。身体的には成長した普通の大人ですが、マナレベルは1の人間。そして身体的に普通の子供で、マナレベルは10の子供。大人でレベル1と、子供のレベル10。単純にマナレベルの数値だけで、存在の強さを完璧に計れない部分があると言う事です』
「なるほどそりゃ当然か。単に計測出来たマナレベルだけで判断するのは危険って事か」
『はい。ですが基準を考え、こちらが対象をある程度計測出来るメリットは、非常に大きいと考えます』
「そうだよな! じゃあ早速だけど、その【マナ】スカウター作成を急いでくれる? それと俺も結構暇でさ? そろそろ外に出てもいいかな? ちょっとこの辺を探検してみたい。それと、俺もマナを少しでも摂取してもっと強くなりたいから、今後の俺の食事はこの星の現地食材でなるべく料理してくれるか?」
『……畏まりました。現在までの探索で、周囲は特に危険は無いと判断しましたので、マスターの外出を認めます……。ですが護衛として私が同行する場合のみ、探索は可能とさせて頂きます。それで宜しいでしょうか? 食材の指定は可能ですが、食材は定期的に現地調達が必要です。それにマスターも、同行するって事でまずはいかがでしょうか?』
「うんうん。オッケーオッケー。これでマナの蓄積も踏まえた、ちょっとしたブートキャンプみたいだね。飛鳥も俺と一緒にもっと強くなろうぜ! 目指せ帝国一最強」
『それも楽しそうですね。マスターがお強くなられるのは、私として大歓迎です。それにこの船の修復で本体の私は動けませんので、私はこの子機でブートキャンプ参加させて頂きます』
「(美人秘書が同行だと?)よっしゃ~! オラワクワクしてきたぜ~っ!」
『では早速ですが、マスターの外出用の装備なども、急いで準備させて頂きます。それには多少時間が必要ですので、本日はそのままハウs……ゴホン、待機していて下さいませ』
「は~い。わかった! 今日は室内でトレーニングする」
『はい。それが宜しいかとマスター(にこにこ)』
(び、美人すぎるよ飛鳥! 笑顔の飛鳥さん、マジ半端ないってー! この先の生活が本当に楽しみでしかない)
そして俺は、装備などの準備が整うまで室内自主トレーニングと、現地食材で調理された飛鳥特製の美味しい料理に舌鼓を打ちながら、この日を過ごすのであった。
――この先、美人秘書飛鳥さんとの楽しいブートキャンプ生活を妄想してしまい、どうにもワクワクしてしまって中々寝付けない俺だが、その事は誰にも内緒な?
次回
「楽しいブートキャンプ始まるよ~3.2.1~」
『マスター! 根を上げるのはまだ早いッ! ワンモアセッ!』
「ええ~……(想像していたのと何か違う)」